AIエージェントの基本機能としては、主に「タスクを分解する機能」「過去の履歴を覚えておく機能(長期記憶)」「自律してPDCAを回す機能」の3つが中心となります。 それぞれについてご説明します。
タスク分解
人間が実際に行うのと同じように、AIエージェントもタスクを分解します。
例えば、「来月15日に夏祭りイベントを告知して、参加希望者がフォームで登録できるようにする」というゴールを設定すると、AIはそれを次のようにタスクに分解します。
- イベントの概要を整理する
- 告知ページの草案を作成する
- 参加フォームを発行する
- 従業員向けにメールを配信する
さらに、各タスクをプロセスに分け、最終的には具体的なアクションにまで落とし込みます。
例えば、「イベント概要の整理」というタスクであれば、「NotionのAPIを使ってテンプレートを取得する」「レイアウトの柔軟性をスコアリングして最適なテンプレートを選択する」といったアクション単位まで分解します。
このように、複雑なタスクであっても、単純なAIが理解できるアクションにまで分解し、自動で実行してくれるのです。

長期記憶(長期メモリー)
最近のChatGPTでも導入されていますが、AIエージェントはチャットの履歴以外の情報も記憶し、それを基に回答を生成します。
これが長期記憶です。
例えば、私が「ウェビナーを作りたい」と依頼したとします。 するとAIは、私がAI関連の会社の代表で、普段からエンジニアに関する質問を多くしているという長期記憶から、「おそらく最新のAIに関するエンジニア向けのウェビナーだろう」と推測します。
そして、「AIのウェビナーをこのような内容で作成してよろしいですか?」と、個別最適化された提案をしてくれます。

適用のサイクル(自律的なPDCA)
計画を立て、アクションに落とし込むだけでは、実行できなかった場合に対応できません。
Iエージェントは、タスクが失敗した際に、自ら計画を立て直し、改善案を実行する「適用のサイクル」を持っています。
これは、人に仕事を依頼した際に「できませんでした」とだけ返ってくるような手戻りをなくす仕組みです。
AIエージェントは自ら考えて対応してくれるため、非常に効率的です。 さらに、設定によっては「どういうタイミングで人間に質問するか」を決めることも可能で、自分に最適化された部下のように機能させることができます。

外部システム連携とMCP
先ほど、AIエージェントは外部システムと連携できるとお話ししました。
これまでは、システム連携のためにAPI(Application Programming Interface)と呼ばれるものを使って、Gmail用、Notion用など、それぞれ個別に開発を行う必要がありました。
しかし、今後様々なAIエージェントが登場するたびに開発を行うのは大変です。そこで登場したのが「MCP(Machine-readable Capability Profile)」という考え方です。これは、APIの仕様書をAIが読みやすいように標準化したもので、一度MCPを作成しておけば、様々なAIエージェントから簡単に呼び出せるようになります。
多くのサービス提供企業が自社のMCPを公開していくため、今後はGmailやGoogleカレンダーだけでなく、皆さんが使っている様々なシステムと簡単に連携できるようになっていくでしょう。

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