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生成AIの新潮流、オンプレで作る自社特化LLM

2025.09.26
生成AIの新潮流、オンプレで作る自社特化LLM

クラウド経由で使うChatGPTやGeminiといった大規模言語モデル(LLM)に加えて、最近注目されているのが「オンプレ型LLM」です。オンプレ型とは、自社サーバーやローカルPC上で動かす生成AIのこと。

クラウド利用と比べてどのような特徴があるのか、また実際の事例について紹介します。


クラウドとオンプレの違い

クラウド型LLM

  • 仕組み:ユーザーが入力したプロンプトは外部のサーバーに送られ、処理結果が返ってくる。
  • 特徴:最新かつ高性能なモデルを利用できる。使用量に応じた従量課金制。
  • 注意点:入力データ自体は外部に送信されるため、機密情報の扱いには制約がある。

オンプレ型LLM

  • 仕組み:モデルを自社内に設置し、入力から処理までを自前環境で完結。
  • メリット
    • データが社外に出ないためセキュリティが高い
    • 利用量が多い場合、ランニングコストを抑えやすい
    • 自社ネットワーク内で完結するため応答速度が安定
  • デメリット
    • 初期導入コスト(サーバーやGPU)が高い
    • 利用できるモデルのサイズが比較的小規模で、処理できる範囲が限定的

実際の事例

1. 金融業でのレポート作成

  • 課題:機密情報を外部に出せない。レポート作成に時間がかかる。
  • 解決:オンプレでLLMを導入。100点の精度は求めず、「叩き台を自動生成してくれるだけで十分」という要件を満たす。
  • ポイント:セキュリティ重視+中程度の精度でOKならオンプレが適する。

2. IT企業の問い合わせ対応

  • 課題:自社サービスの問い合わせに使いたいが、データを社外に出せない。
  • 解決:検索拡張(RAG)の仕組みを活用。ただし回答文の自動生成(G部分)は省略し、関連情報をリストで提示する方式に。
  • ポイント:ハードウェア負荷を軽くしつつ、必要な情報を安全に検索可能にする。

3. 施設内でのチャットシステム

  • 課題:施設ごとにネットワークが分かれており、外部クラウド利用不可。
  • 解決:オンプレに特化した翻訳モデルや検索モデルを組み合わせ、顧客対応チャットを構築。
  • ポイント:用途に合ったモデル選定が精度を大きく左右する。

オンプレLLMを成功させるポイント

  1. ユースケースを明確にする
    • どんな入力を受け、どんな出力が得られれば成功なのかを最初に定義する。
    • 期待値を整理することで、モデルの軽量化や精度の調整が可能になる。
  2. ハードウェア要件の把握
    • GPU・メモリなどの環境に合わせてモデルを最適化(量子化など)する必要がある。
  3. 業務特化カスタマイズ
    • 汎用モデルをそのまま使うより、特定業務向けに調整することで精度が向上する。

まとめ

オンプレ型LLMは「高精度の汎用モデルが必要な場面」には不向きですが、

  • データを外に出せない
  • 利用コストを抑えたい
  • 処理スピードを安定させたい

といったケースでは非常に有効です。

生成AIを自社に導入する際は、クラウドとオンプレのメリット・デメリットを見極め、自分たちのユースケースに合う選択肢を検討することが重要です。