AIが一般化した現在、「Git」と「GitHub」はプログラマーなどのITエンジニアだけのものではなくなったと言えます。
なぜなら、私たちが日々行っている資料作成や編集にAIという“共同編集者”が参加するようになるからです。AIエージェントは自律的にファイルを作成したり、書き換えてくれますが、何かの拍子に誤って削除してしまい、元に戻せなくなるといった事故も起こり得ます。
こうしたリスクを避けるために、バージョン管理ツールである Git を理解しておくことは、もはや現代の知的労働者すべてにとって重要になりつつあります。

この記事ではGitHubを以下のような内容を初心者でも理解できるように丁寧に解説していきます。
Gitは専門用語も多く難しく見えますが、ファイルの更新と管理という用途に限っては覚えるべき知識や必要な操作はそれほど多くありません。難しいコマンドを覚えずに操作できる「GitHub Desktop」の使い方も紹介します。
Gitはひとことで言えば「バージョン管理ツール」です。
しかし、「バージョン管理」と聞いてピンとこない人も多いかもしれません。
もしあなたがITエンジニアでなくても、事務や総務などのデジタル文書を扱う仕事をしているならば、WordやGoogleドキュメントなどの「変更履歴」を確認したことがあるかもしれません。
バージョン管理とは、どのファイルに、誰が、いつ、どのような変更をしたか、といった変更の履歴を記録して管理することを指します。
どこが変更されたか確認して、不本意な変更や削除があれば過去の状態に戻したり、他の人が行った変更と自分が行った変更を同時に反映したり——Git はこれを あらゆる形式のファイルで可能にする仕組み です。
Gitでは、次のように変更内容が記録されます。
GitHub上のプロジェクトは「過去のコミット(変更履歴)の積み重ね」でできており、もしファイルが誤って削除されたり、意図しない変更が加わってしまった場合でも、この変更履歴をたどることでいつでも好きな時点に復元することができるのです。

人間が一人で作業を行う場合にはGitは必須ではありませんでした。しかし、これからはAIエージェントが共同でファイルの作成や編集を行うことが増えていくと考えられています。
GitHubはこれらの問題をすべて解決してくれます。

GitHubは、Gitで管理するリポジトリ(プロジェクト)をクラウド上に保存できるサービスです。
Gitが「ローカルPCでバージョン管理するツール」だとすれば、GitHubは「そのプロジェクトをクラウドに保管・共有する場所」です。
GitHubを使うメリットは大きく3つあります。
特にAIとの組み合わせが強力で、例えば次のようなAIエージェントとの連携が簡単に実現します。
「スマホからGitHubのリポジトリに入ってAIエージェントにタスクを依頼する」
「クラウド上でAIが自動的にコード修正や校正を行い、人間にレビューを依頼する」
GitHubの基礎を理解しておくことで、AIの活用範囲はさらに広がっていくでしょう。

Gitを活用する上で、最低限押さえておきたい用語がいくつかあります。
Gitで管理されるプロジェクト全体のこと。
ファイル・フォルダ・変更履歴がここに集約される。
変更内容を1つにまとめた単位。
追加・削除・修正した行やファイルが記録され、任意の時点に戻せる。
コミットには説明文(コミットメッセージ)が必要で、GitHub Copilotを使うと AIが自動生成 してくれる。
個人利用なら基本はプッシュのみを行うことが多いですが、AIやチームメンバーと協業する場合はプルも行う機会が多くなります。

ここからは、初めてGitに触れる方に向けて、インストールから初期設定の操作手順を紹介します。
Googleアカウントでログインすれば数十秒で完了する。
本来のGitは専用のコマンドで操作を行いますが、コマンド不要でGitの基本操作が行えるので初心者はこちらを利用するのがおすすめです。
インストール方法は以下のURLにアクセスして確認してください。
https://docs.github.com/ja/desktop/installing-and-authenticating-to-github-desktop/installing-github-desktop
GitHub Desktopを起動して、リポジトリを選び「Clone」を押すだけです。
test.md を作成GitHub側を更新すると、ファイルが追加されているのを確認できます。
Gitを使う上で最も重要な概念が ブランチ(Branch) です。
ひとことで言うと、変更履歴の“分岐”を作る機能です。
例えば「メインの編集作業」と「それ以外の作業」を区別したいとき、同時に編集してしまうと混乱したり、お互いの編集が干渉して事故が発生してしまうかもしれません。ブランチを作れば同じファイルに対する編集でありながら、干渉せずに作業できます。
方法は2種類。
ローカル環境で自分一人だけで作業を完結させたいケースに向いています。
AIエージェントや他のメンバーにレビューしてもらう場合はこちら。
AIにプルリクエストを作らせることは、クラウドAI×GitHub運用の第一歩と言えます。
「やっぱりこの変更いらない」と思った時、作業中の変更をなかったことにする機能です。
過去のコミットを「打ち消す」ための操作です。
複数のコミットの中から問題があるコミットだけを取り消したい場合に使う。
複数人(またはAI)が同じ箇所を違う内容で編集し、マージしようとした場合に発生します。
コンフリクトが発生した場所を確認して、どちらの変更を採用するかを選択すれば解消されます。
パスワード、APIキー、秘密鍵などは 絶対にGitHubにアップロードしてはいけません。
プライベートリポジトリであればネットに公開されていないため簡単には盗まれませんが、GitHubはインターネット上にあるため100%安全とは言えません。
万が一に備え、個人情報や機密情報などは安全な場所に保管しましょう。
GitとGitHubを理解すると、次のようなメリットを得られます。
専門的な知識や技術が必要そうでハードルが高いイメージがあり、敬遠されていた方もこの機会に学んでみてはいかがでしょうか。