2016.11.17 Thu |

人工知能の歴史Part1~第一次AIブーム~

三回のブームと二回の冬の時代

 人工知能はこれまでブームと冬の時代を繰り返してきました。人工知能は、「今度こそ『人工知能』が実現できるかも知れない」という熱狂ののち、「やはり人工知能なんてできっこないんだ」という失望を二回経験しました。そして、ここ最近のブームは、機械学習とディープラーニングに象徴される第三次ブームなのです。

第一次AIブーム~推論と探索~

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第一次ブームは、1960年代に起こった「推論と探索」に関するブームです。推論と探索というのはあるルールとゴールが決められているゲームの中で、コンピュータがなるべくゴールにたどりつけるように選択肢を選んでいくものです。推論と探索には迷路を解く際にしらみつぶしに選択肢を探索してゴールにたどり着く方法や、チェスなどの対戦ゲームにおいてなるべく自分が有利になるように選択肢を選んでいく方法などがあります。

 この推論と探索によって人工知能はパズルや迷路を解いたり、数学の定理を証明をしたり、チェスを指したりといった知的な活動を行えるようになりました。

一回目の冬の時代~おもちゃの限界~

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第一次ブームの推論と探索では一見知的な活動を行えるようになりました。しかし、これはあくまで適用範囲はルールとゴールが厳密に決まっている枠組みの中での話であり、ルールが記述しきれず、またルールやゴールが曖昧である現実世界では全く役に立ちません。(ちなみにこの時期の人工知能が解く、ゲームのような問題の事をトイプロブレム(おもちゃの問題)と呼びます。)

このようなことが露呈し始めた事と当時流行していたパーセプトロンというアルゴリズムの限界が示されたことなどにより第一次AIブームは終結し、1970年代に一回目の冬の時代に突入していきます。

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 次の記事ではこの後に起こる第二次AIブーム「エキスパートシステム」と二回目の冬の時代について説明します。

 

東京大学工学部航空宇宙工学科4年

T.Y.

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