2017.10.19 Thu |
中国の電子決済の動向調査
いつも記事書いている鈴木瑞人です。今回は早稲田大学3年生の後輩が、中国の電子決済について興味を持ち、中国からの留学生などからの聞き取りを行いそれを記事にしてくれました。それではお楽しみください。
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今日中国を中心に利用者が急速に増えているオンライン決済の中でも注目されているのが、中国アリババグループのAlipayです。
今回はAlipayについてご紹介していきます。
30以上の国で2000以上の店舗がAlipayでの支払いを受け入れており、14の通貨に対応しています。現在では金融商品も買うことができ、幅広い使い道が提供されています。
例を挙げると、2015年7月には友達タブが新たに作られ、ユーザーが友達とコミュニケーションをとる事ができるようになりました。起業家、売り手、組織や個人のためのオープンプラットフォームとなっており、これらを取り巻くコミュニティを作る架け橋となっています。
次に、そのほかのAlilpayの特徴を三つほどご紹介します。
まず一つ目は、簡単にチャージすることができるということが挙げられます。
チャージの方法は3つあり、
1,Webサイトからオンラインでチャージする方法、
2,コンビニ店に設置された「拉卡拉(ラカラ)」という端末からチャージする方法、
3,友達や家族との送金も簡単なため送金してもらいチャージするという方法
があります。
多様で簡単に、リアルタイムでチャージできる仕組みになっています。
Alipayには月間アクティブユーザーが約6億人以上おり、実名SNSとしても機能を持ちます。銀行口座を使ったいわゆる「振込」の場合、営業の営業日かつ営業時間内に着金しなければデビットの残高として利用できませんが、ポイントはすぐに使えるようになるため、送られたポイントはすぐに使うことができとても便利です。
二つ目は、割り勘機能やお財布携帯機能です。
三つ目は、それらのサービスが無料で使えることです。こういったサービスを利用すると手数料を請求されることが多くありますが、Alipayは基本的に無料であるため、ユーザー数がさらに上がる大きな要因となってます。
そして、Alipayにお金をチャージし、預金サービス「余額宝」に預けるだけで、銀行に比べ高い利息を得ることもできます。今日マイナス金利とさえ叫ばれている日本の利息と比べると、人気が出ることもよく分かります。
では、Alipayはどうやって利益を得ているのでしょうか。
Alipayの収益源としては、
1,広告掲載収入、
2,手数料収入、
3,金融商品や公共料金を取り扱う際のサービス料
がメインです。
Paypalと比較したAlipayの特徴として、Paypalはユーザーの手数料を最大にしていますが、Alipayは小さい金額を扱う個人ユーザーには無料で大きい金額(2016年10月12日より2万元超の取引には0.1%の手数料)を扱うユーザーから手数料を取るという体制をとっています。
そのため、Alipayは最初利益が出ていませんでしたが、個人ユーザーにやさしい設定にしたために、市場で大きいシェアを占有することに成功し、企業などの大口取引が増えたようです。
日本人がAlilpayを使うにはどうしたらいいのでしょうか。
原則として、日本人がAlipayを使う場合、中国の銀行口座を持っている必要があるため中国に住む日本人が中心の対象となります。そのためそのような方向けに大まかな登録方法をご説明します。
必要なものとしては、
1,中国の銀行口座
2,SMSが受信可能な携帯
3,パスポート
です。
これらは登録する際に使います。登録の手順は以下のようになります。
1.Alipayのアプリをダウンロードする。
2.個人情報を入れアカウントを作成し、登録する。
この際携帯番号を入れて、その電話番号でSMS受信をしますが、中国の携帯番号のほうが好ましいとされています。
3.パスポート情報と銀行のカード番号を入れ、銀行口座を紐づける。
4.本人確認情報を入れて承認する。
このような簡単な手続きで登録できます。
さらに補足をすると、実名認証については身分証明の数によって3つのランクに分かれ,
モバイル決済アカウントの「钱包」の年間支払い可能金額の上限が変わります。
1,身分証明が1つ
「钱包」年間支払い額上限1,000元(約17,000円)
2,身分証明が3つ
「钱包」年間支払い額上限10万元(約170万円)
3,身分証明が5つ
「钱包」年間支払い額上限20万元(約340万円)
最後に、Alipayの大きな競合相手であるWeChat Paymentについて軽くご説明します。
WeChat Paymentは、中国大手IT企業テンセントが提供するインスタントメッセンジャーアプリWechatで使うことのできるモバイル決済サービスであり、Alipayの次に大きなシェアを持ちます。
WeChatは2011年1月に中国でサービスを開始し、同年4月にはWeChatとして海外向けに展開され、インドネシアとフィリピンでは一番よく使われるメッセンジャーアプリとなっています。中国でも広く普及しており、中国人の方が使っているのをよく見かけるのではないかと思います。
WeChat Paymentは、以下のようなAlipayにはない特徴を持ちます。
・タクシーを呼ぶ。
・食品や生活用品を買う。
・友達や家族にお金を送金できる。
WeChat Paymentは日本への導入も積極的に進めています。
主に中国人の利用を想定して導入を進めていますが、既に去年の2月1日からはロフト3店舗(渋谷店、有楽町店、なんば店)での導入が始まりました。
システムの大枠としては、決済用端末としてiPadが設置され、来店客がWeChat上に表示するQRコードを読み取ることで決済するというものです。
決済の仕組みは、購入者の中国の銀行口座からテンペイ(テンセントグループが提供している第3者決済サービス)に引き落とされ、テンペイから、WeChat Payment側の手数料を引いた金額が受取側の店舗の三井住友信託銀行の口座に送金されるというものになっています。
受け入れる店舗側のコストは、iPadの初期導入費以外には決済手数料のみであるため導入しやすい環境となっています。これで、中国人の顧客が増えるとよいですね。
中国の大きなモバイル決済の流れを受けて日本の現金社会がどう変化していくのか、これからも注目していきたいと思います。
今回は以上になります。
早稲田大学3年 Y.T