2018.06.07 Thu |

若い子たちへの教育方法(AI編)その2


前回、「AI教育はどうあるべきか」について、
1, AIの技術進歩速度の観点から
2, ビジネスマン・エンジニアという職種による違いの観点から
の二つの観点から書いてみました。
初めは大学生1,2年生くらいを対象に書いたつもりでしたが、少々上の年齢の方々向けの文章となってしまいました。
今回こそ若い世代向けに書いてみたいと思います。

今回は以下の二つの観点から「AI教育」について書いてみたいと思います。
3, ビジネスの開発・運用という立場から
4, Amazon、Tencentといった、海外のIT企業の今後という観点から

まずは、
3, ビジネスの開発・運用という立場から「AI教育はどうあるべきか」について書きます。

みなさんご存知かもしれませんが、ビジネスモデルでもITシステムでも、「開発」の段階と、「運用」の段階があります。
将来的に、
・ビジネスモデルまたはITシステムの「開発」に携わりたいか、
・ビジネスモデルまたはITシステムの「運用」に携わりたいか、
で、どのような準備をしておくべきかが異なります。

多くの大学生(多分90%程度)は大学を卒業すると、ビジネスモデルまたはITシステムの「運用」に携わります。
「運用」のルートは、いわゆる大企業にいくパターンです。
すでに、ビジネスモデルまたはITシステムは存在していて、それほど創造性は必要とされません。
創造性は比較的必要ないのですが、競合が多くいたり、市場がしぼんでいたりと楽なわけではありません。
ビジネスモデルなどがすでにできているので、AIを含めた創造的なソリューションも必ずしも必要というわけではありません。

基本的に大企業は、社内で新規事業を作ってそれを大きくすることは難しく、M&Aによって他のビジネスモデルを持っている企業を吸収することで、ビジネスモデルを増やしていきます。
M&AによってAI系の企業を買収することもあると思いますが、大企業に入ることを目指している学生は、AI系ベンチャーの人たちと最低限コミュニケーションできるくらいのAIリテラシーを身に着けておいた方が良いでしょう。

また、最近は上層部が、AIを各部署で活用する具体的なプランを立てるようにとの通達があるところが多いみたいなので、それっぽいプランは立てられるようにしておいた方がよいでしょう。

それでは次に、
ビジネスモデルまたはITシステムの「開発」に携わりたい人たちが、必要なAIリテラシーについて書いていきます。

「開発」に携わりたい人はできるだけ広く深く学ぶ必要があります。
「運用」に携わる人たちとは桁違いの努力をする必要があります。
単純に勉強時間で言っても1000倍は必要でしょう。
彼女・彼氏を作ってラブラブする時間や、人とコミュニケーションする時間、飲み会への参加時間は、切り捨てる必要が出てきます。僕は、AIに加え、脳科学も遺伝学も生物学も最先端についていくまで学んだので、寿命とか、もっとたくさんのものを捨ててきました。何かを選択することを決めることは、何を選択しないかを決めることでもあります。

さて、
「開発」に携わりたい人は、少なくとも以下の分野をしっかり学ぶ必要があります。
英語
PythonまたはRプログラミング
SQL
AWSやGCPやAzureといったクラウドでのデータ移動・処理
統計
線形代数
最適化数学
自然言語解析(Natural Language Processing:NLP)
画像解析(Computer Vision:CV)
時系列データ処理
地理情報システム(Geographic Information System:GIS)
DeepLearning
・Convolutional Neural Network系(CNN系)
・Reccurent Neural Network系(RNN系)
・AutoEncoder系(AE系)
・Generative Neural Network系(GAN系)
・Reinforcement Learning系(RL系)

これだけのことを学ぶのは大変です。ここに入ればすべて学べるような学校なども日本にはないので独学がかなり必要になります。僕は3年かけて独学で大体学び終えました(といってもどれもまだまだのレベルですが)。

ということで、ビジネスの開発・運用という立場から「AIをどれくらい学ぶ必要があるか」について書いてきました。

本当は、「AI教育はどうあるべきか」を書きたかったのですが、たぶん今は教える能力のある人が、AIの最先端についていくのが精一杯で、人に教えている余裕・暇がないのが現実かなと思います。「AI教育はどうあるべきか」について理想は言おうと思えば言えますが、ただでさえ基礎からちゃんと教えられる「ほぼなんでもできる上級AIエンジニア」が少ないので、独学で学ぶのが現実的な気がします。Stanford大学やU.C.Berkeleyの講座(Coursera)やMITの講座(EdX)などから学ぶか、書店にある書籍から学ぶとよいでしょう。

4, Amazon、Tencentといった、海外のIT企業の今後という観点から
アメリカには、Apple、Amazon、Facebook、Google、Microsoft、Uber、AirBnbといったTechGiantがあり、
中国には、Tencent、Alibaba、Baidu、XiaomiといったTechGiantがあります。
これらのどの企業も世界中から優秀なAIエンジニアを獲得しており、彼らのサービスも世界規模で展開されています。

どうすればアメリカや中国のTechGiantに日本の企業が勝てるか、という観点から「AI教育はどうあるべきか」を考えてみます。

以下に思いついてことを列挙してみます。
・ハングリー精神のある人を増やすか発掘する
・国の産業を創るコアとなるような人をできるだけ逮捕しない。
・AIができる男の子がもてるような社会にする(男の子は単純だから)。
・学生と社会人向けのAI教育機関を作る。

あまりAI教育とは関係ないことを書いてしまった気がしますが、
今の何事にも事欠かない恵まれた環境で育った若者たちが、
「挑戦することがcoolという価値観」
「何が何でも大きく成功してやるという執着心」
を持つことが第一段階として必要で、その上で、
AI教育やComputer Science教育、IT教育を行うと今のアメリカや中国のようなTechGiantが生まれるのではないかと思います。

鈴木瑞人
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士課程
株式会社パッパーレ 代表取締役社長
実践的機械学習勉強会 代表
NPO法人Bizjapan テクノロジー部門BizXチームリーダー

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