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AI知りたきゃこれを観ろ!:⑥「テスラジオ」

AI知りたきゃこれを観ろ!:⑥「テスラジオ」

カモネです!

今、生成AIの話題で最も注目されるのは、モデルの性能ではないでしょうか。

どのモデルが一番賢いのか。

コーディングならどれか。文章ならどれか。推論ならどれか。

Claude Fable 5が登場してからは、「難しい仕事にはフロンティアモデルを使うのが正解」という空気がさらに強くなったように思います。私自身も、性能が低いAIをあえて使うことに本質的な価値はないと考えています。

しかし、その後にはGPT-5.6 Solのような追随するモデルも登場しています。今ある差が今後も保たれるとは限りません。各社の競争が続けば、どのモデルを使っても大きな差を感じなくなる可能性もあります。

では、モデルの性能差が小さくなったとき、何が価値として残るのでしょうか。

今回紹介したいのは、YouTubeチャンネル「テスラジオ」のこちらの動画です。

AIの主役はモデルではない。Palantirが93%成長した本当の理由

この動画を観て、AI時代に本当に蓄積すべきものは、モデルではなく、自分にしかないコンテキストなのだと思いました。

Palantirはなぜ93%も成長したのか

動画では、PalantirのCEOであるアレックス・カープ氏のインタビューをもとに、同社が急成長している理由を解説しています。

Palantirが発表した2026年第2四半期の売上高は、前年同期比93%増。米国事業は115%増、米国の商業部門は149%増でした。

同社の公式発表でカープ氏は、この成長の背景に「AI sovereignty」への需要があると説明しています。

Sovereigntyは、日本語では主権や自主権と訳されます。

AIで生み出した価値を、AI企業ではなく、利用した企業自身が持つ。企業の業務、データ、意思決定を自ら管理し、どのAIモデルを使うかも自分たちで選べるようにする。それが、カープ氏のいうAI sovereigntyです。

この考え方では、AIモデルは目的に応じて交換できる部品です。

主役になるのは、モデルそのものではありません。企業が持つデータや業務知識を整理し、現実の仕事とAIをつなぐアプリケーション層です。

その中心にあるのが、Palantirの「オントロジー」です。

AIに仕事の世界を理解させる

オントロジーという言葉は難しく聞こえますが、動画では、企業に存在する顧客、商品、工場、在庫、判断履歴などを、AIが理解して扱える形にする仕組みとして説明されています。

単に大量の文書をAIへ読ませるのとは違います。

どんな人や物が存在するのか。それらはどう関係しているのか。誰が何を判断し、その結果として何が変わったのか。データと実際の業務を結びつけます。

Palantirの公式ドキュメントでも、オントロジーは単なる抽象的なデータモデルではなく、組織の実データと結びつき、利用者の判断や知見が記録されるほど豊かになるものと説明されています。

同じAIモデルを契約するだけなら、競合他社にもできます。

しかし、自社が何をしてきたのか、どのように判断してきたのか、何を失敗し、何を学んだのかという蓄積は、他社が同じ契約をしても手に入りません。

AIが十分に賢くなった後に差を生むのは、AIへ渡せる固有のコンテキストなのです。

個人にも、自分だけのオントロジーがある

動画では企業の話として語られていますが、これは個人にも当てはまると思います。

自分が何をしてきたのか。

何を考え、どんな基準で決めたのか。

どんな言葉を使い、誰とどのような関係を築いてきたのか。

何を好み、何を嫌い、どんなときに考えを変えたのか。

こうした情報は、自分の中にしかありません。一般的な知識とは違い、検索しても出てこないし、後から一度に作ることもできません。

高性能なAIであることは大前提です。しかし、どれほど優秀なモデルでも、私が何を考え、何をしてきたのかを知らなければ、返せるのは一般論です。

反対に、これまでの仕事や思考、判断の履歴を共有できれば、AIは私の現在地を理解したうえで一緒に考えられます。

この固有のコンテキストこそ、AI時代の個人にとって大きな資産になるのではないでしょうか。

自分の記憶を明け渡さない

だからこそ、この資産の扱いには注意が必要です。

一つは、一般公開によって独自性を失うことです。

自分の考えや経験を発信することには価値があります。一方で、仕事の進め方、詳細な判断履歴、人間関係を含む情報まで、何もかも公開すればよいわけではありません。それらはAIが自分を理解するための材料であると同時に、自分にしかない知的な資産でもあります。

もう一つは、特定のAIサービスだけに記憶を預けることです。

そのAIとの会話が増えるほど、自分のことを理解してくれるようになる。しかし、その記憶を別のサービスへ持ち出せなければ、モデルを乗り換えるときに大きなスイッチングコストが発生します。

より優秀なモデルが登場しても、これまで積み上げた記憶を失うのが惜しくて移れない。それでは、モデルを交換可能な部品として扱えません。

最強モデルは、自分の所有物ではありません。提供企業の都合で料金、仕様、利用条件が変わり、サービス自体が終了することもあります。

だから、自分の記憶は自分で持つ必要があります。

第2の脳を、AIと一緒に育てる

よく「ObsidianやNotionに第2の脳を作ろう」と言われます。

私も、開発しているプロダクトはGitHub、タスクはNotion、日々のジャーナルやメモはObsidianに保管しています。

保存先が分かれていると、AIに「この仕事なら、ここを見て」とスキルやメモリなどに書いておく必要があります。特に大きな問題があるわけではありませんが、、まだ人間とAIが完全に同じ記憶を共有できている状態とは言えないかもしれません。

一方で、すべてを一つのサービスへ移すことだけが正解だとも思いません。

プロダクトにはGitHub、タスクにはNotion、日記やメモにはObsidianと、それぞれに適した保存先があります。重要なのは、置き場所を一つにすることではなく、どこに置かれていても、人間とAIが一つのコンテキストとして扱えることです。

AIが必要な情報を探し、読み、追加し、古くなった情報を整理する。モデルやAIサービスを変更しても、蓄積されたコンテキストはそのまま使える。

その状態になって初めて、第2の脳は単なるメモ置き場ではなく、AIと共有できる自分の知識基盤になるのだと思います。

最強モデルより先に、残るものを考える

Claude Fable 5の発表では、長時間の作業や知識労働、コーディングなどで、それまでのモデルを上回る性能が示されました。今後も、同じように大きな進歩を感じさせるモデルは登場するでしょう。

高性能なモデルを選ぶことは、これからも重要です。

しかし、モデルの首位は入れ替わります。今日の最強が、半年後も最強とは限りません。

一方で、自分が積み上げた仕事、思考、言葉、人間関係、判断の履歴は、別のモデルが登場しても古くなりません。むしろ、時間をかけて蓄積するほど価値が増していきます。

どのAIが一番賢いのかを追いかけるだけではなく、そのAIへ何を渡せるのかを考える。

優秀なモデルを使う。そのうえで、自分のコンテキストに接続できること、蓄積した記憶を別のAIにも持ち運べることを重視する。

最強モデルは借り物です。

自分の記憶だけは、自分の手元に残しておきましょう。

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)