フランスのパン屋「ボ・エ・ミ(Bo&Mie)」は、毎日の仕込み量をチャットGPT(ChatGPT)とグーグル(Google)スプレッドシートで決めています。業界紙『ラ・トリビューン・デ・ブーランジェ=パティシエ(La Tribune des Boulangers-Pâtissiers)』(2024年3月22日)が、共同創業者のジャン=フランソワ・バンデ(Jean-François Bandet)氏に聞いています。
中心は、売れ残りと欠品を同じ数字の流れで減らす設計です。高い専用ソフトをすぐ買う代わりに、いまの表計算へチャットGPTで計算の仕組みを足しました。
ボ・エ・ミは2017年に始まりました。取材時点ではパリ4店、バルセロナ1店の計5店です。店はカフェに近く、商品は自家製です。
パン屋では、発注・在庫・焼く量が毎日発生します。店が分かれると、表で数字を追う必要も増えます。バンデ氏は次のように話します。チームはもともとグーグルスプレッドシートを使っていました。複雑な数式が多く、運用が重くなっていました。そこでチャットGPTに、人が普通の言葉で「こう計算したい」と伝え、スプレッドシート用のスクリプト(自動で動く計算の手順)を書いてもらいました。プログラミングの専門家でなくても進められた、とも話します。無料で使える範囲も含め、「手作りの計算」と「専用ソフト」のあいだのやり方だ、という説明です。
各店はもともと、その日の生産、閉店時の残り、商品ごとの売り切れ時刻を、2週間ぶん表で見ていました。ショーケースの商品は約150種類でした。
バンデ氏によると、チャットGPTで作った仕組みで、5店のデータから毎日の生産予測を自動化しました。クリスマスやイースターなど特別な日は、人が数字を見直します。普段はおよそ95%まで自動で回り、担当は2人です。人手だけなら4人は必要だった、と説明しています。
本人の説明では、使い始めて約1か月後、閉店時の売れ残り在庫は平均25%減り、店頭の欠品は15%減りました。2023年には約7200万円(約45万ユーロ。おおよそ1ユーロ=160円)の節約になり、売上の約3%にあたる、といいます。この余裕が、スタッフ向けの余力や新しい工房への投資につながった、と本人は話します。
ほかにもチャットGPTを使い、生産指示をグラム単位で各部門へ送ったり、就業規則のたたき台、口コミへの返信案、職務の説明文を作ったりしています。ただし本人は注意もしています。「時間は節約できる。機械なので、必ず人が確認する」。
売れ残りと欠品を同時に減らし、散らばった表計算を一本化する必要がある現場でも使えます。
毎日の売れ行きと閉店時の残りをまず表に残し、汎用AIに翌日の仕込量の計算やスクリプト案を作らせます。特別な日やおかしい数字は人が直し、売れ残りと欠品を同じ数字の流れで見ます。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 約1か月後、売れ残り平均25%減・欠品15%減(共同創業者インタビュー) | 第三者の再測定 |
| 2023年の節約を約7200万円(売上の約3%)と説明 | 集計期間・内訳の厳密な切り方 |
| 普段は約95%自動、担当2人(人手なら4人、との説明) | 計測条件の独立確認 |
| 当時5店・約150商品 | — |
約7200万円は、「2023年の売上に対する約3%」として語られています。導入後1か月だけの効果、とは書いていません。『ラ・トック(La Toque)』など別の媒体は、リンクトイン(LinkedIn)の発信を紹介し、商品説明文や発注メールなどほかの自動化にも触れます。本稿の中心は、業界紙インタビューで確認できた「仕込予測のスプレッドシート自動化」です。
ボ・エ・ミの中心は、売れ残りと欠品を同時に減らすため、汎用のチャットGPTで表計算の仕組みを組み立てた点です。小さな店へ写すなら、毎日の数字を表に残し、計算の組み立てをAIに助けてもらい、人は例外だけ直します。