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ケニアの町の薬局。期限切れ在庫を先に見える化したこと

2026.09.11
ケニアの町の薬局。期限切れ在庫を先に見える化したこと

ケニア・ナイロビの町の薬局「ライチ・ファーマシー(Ryche Pharmacy)」は、在庫と期限切れの薬を、AI付きのアプリ「ゼンダワ(Zendawa)」で見ています。マイクロソフト(Microsoft)の取材記事(2026年1月15日)が、薬剤師のブラムウェル・オティエノ(Bramwel Othieno)氏の話を載せています。

期限と残数を同じ画面で見ます。紙や手作業の棚卸しから抜け出し、期限が近い薬を先に動かす仕組みを入れました。小さな店では、棚の広さも人も足りません。ロスはすぐに利益を食います。

何が起きたか

ケニアの薬局の多くは、富裕層向けのチェーンではなく、個人が営む小さな店です。ゼンダワの共同創業者でCEO(最高経営責任者)のウィルフレッド・チェゲ(Wilfred Chege)氏の説明では、近所の人が歩いて来る店が中心で、利益の幅は細いです。

記事では、約18〜20㎡(約200平方フィート)の店を回すのに薬剤師が3〜4人必要、と書かれています。WHOの数字として、ケニアは薬剤師が人口1000人あたり2人、米国は111人、という比較も出ています(出所はGlobal Health Observatory、とマイクロソフト記事)。

ゼンダワという名前は、zen とスワヒリ語の dawa(薬)を足したものです。始まりはコロナ禍の配送でした。のちに在庫や事務のデジタル化へ広がっています。文章作成のAI「マイクロソフト365コパイロット(Microsoft 365 Copilot)」と、数字を見る表の仕組み「パワーBI(Power BI)」を組み込んだアプリ、とマイクロソフト側は説明しています。

何が変わったか

オティエノ氏は次のように話します。導入前は、期限切れの薬で月に約6700円(約6000ケニアシリング。記事は約45米ドル/おおよそ1ドル=150円)を失っていました。ゼンダワ導入後は、期限が近いものを先に出せるようになり、少なくとも約4500円分は節約できました。店は、期限切れロスをさらにゼロに近づけたい、としています。

棚卸しも変わりました。以前は丸1日かけて在庫を数えていましたが、いまは半日で済みます。チェゲ氏の説明では、デジタル化前は、定期的に店を丸1日閉めて棚卸しする店もありました。

オンライン経由で客が増えた、という文脈もあります。オティエノ氏は、最低の日商が約1万3500円から約2万2500円へ上がった、と話します。ただし「ゼンダワの在庫機能だけ」が原因か、配送や販路全体かまでは、公開記事だけでは切り分けられません。

配送・融資・信用スコアは別論点です。本稿は期限切れと棚卸しに限定します。

ディスラプト・アフリカ(Disrupt Africa、2026年1月22日)も、ゼンダワが導入した薬局は約820店で、在庫管理や信用スコアのAIツールを出した、と報じています。創業は2022年、本格運用は2023年以降、という説明がマイクロソフト記事と概ね揃います。

誰に関係するか

歯科の滅菌パック・印象材の期限、美容室のカラー剤ロット、動物病院のワクチン、介護施設の消耗品でも、期限が近い在庫の見方と、棚卸しで止まる時間が課題になります。

期限と残数を同じ画面/表で見て、期限が近いものを先に使うルールを決め、棚卸しで現場を止める時間の上限を半日以内にします。棚が狭く、仕入れの現金が少ない現場でも、この手順が使えます。

主張と、確認できていないこと

数字の主な出所は、マイクロソフトの取材記事における薬剤師本人の発言と、ゼンダワ創業者の説明です。

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
期限切れロスは月約6700円から、少なくとも約4500円分の節約 第三者の会計監査・独立した効果測定
棚卸しは丸1日から半日へ 測定日・方法の詳細
最低日商は約1万3500円から約2万2500円へ 在庫機能単体の寄与の切り分け
導入した薬局は約820店 各店の導入深度
融資・信用スコアの説明あり デフォルト率などの実績

いずれも当事者・紹介記事の説明として記録します。

マイクロソフト記事はパートナー企業の紹介でもあります。ディスラプト・アフリカはCEOインタビューでネットワーク規模を補強しますが、ライチ・ファーマシー単店のロス数字は再測定していません。

WHOの薬剤師密度の比較は、マイクロソフト記事が引用した背景です。本稿の成果主張には使いません。

まとめ

小さな店へ写すなら、期限と残数を同じ場所で見て、人が止まる時間を短くします。

参考文献

  • Microsoft Copilot Zendawa AI: Transforming Pharmacies in Kenya(Microsoft Source、Catherine Bolgar、2026-01-15)、https://news.microsoft.com/source/emea/features/microsoft-copilot-zendawa-ai-kenya-pharmacies/ 、確認日 2026-09-09
  • How Kenya’s Zendawa is using tech to address inefficiencies in the pharmacy sector(Disrupt Africa、Tom Jackson、2026-01-22)、https://disruptafrica.com/2026/01/22/how-kenyas-zendawa-is-using-tech-to-address-inefficiencies-in-the-pharmacy-sector/ 、確認日 2026-09-09

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)