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イタリアの皮革衣料。SKUごとの需要予測を毎日回し、発注下書きだけ人に渡したこと

2026.09.10
イタリアの皮革衣料。SKUごとの需要予測を毎日回し、発注下書きだけ人に渡したこと

何が起きたか

イタリア・エンポリの皮革衣料メーカー、ペレモーダ(Pellemoda)は、在庫の見方を変えました。以前は表計算と担当者の判断で、カタログの一部だけを週次で見ていました。いまは、5,000を超える商品レコードを対象に、毎日の需要予測と在庫の健康状態の判定、仕入先向け発注の下書きまでをエージェント(指示に沿ってツールを使い分けるプログラム)が行い、人が承認してから発注します。

仕組みの説明と数字は、開発者のアビシェク・チャウハン(Abhishek Chauhan)氏の事例ページおよび関連ブログによります。ペレモーダ側の独立した測定レポートは、本稿では確認していません。会社の実在は、公式サイトのAboutで確認できます。

何が変わったか

毎日の流れは、次のとおりです。まず会社のシステムから、いまの在庫量と販売履歴を取り込みます。つぎにSKU(在庫管理の最小単位)ごとに、過去の売れ方と季節性から需要の見通しを出します。1商品あたりおおよそ入力1,500トークン・出力400トークンで、モデルはGPT-4o-mini(OpenAIの言語モデル)です。

見通しのあとに、欠品や過剰在庫へ向かいそうな品を理由つきで印を付けます。発注が必要なら、仕入先向けの発注文を下書きします。送る前の承認待ちに置き、担当者が理由を読んでから承認します。商品データは、スパベース(Supabase)のpgvector(データベース内のベクトル検索)に約5,000件埋め込んでおり、専用のベクトルDBは置いていません。判断の痕跡は、ラングスミス(LangSmith)で追える、と事例は書いています。

単発の長い指示文ではなく、ラングチェーン(LangChain)のツール利用エージェントとして、いまの状態を見ながら次に何を確認するかを決める、という説明です。

誰に関係するか

SKUが多く、週次の表計算では端まで見切れない現場に近い話です。歯科技工所なら、合金・レジン・人工歯など季節と症例で偏る材料を、毎日の見通しと発注下書きに載せ、技工士長が承認する形が考えられます。病院の滅菌・消耗品でも、発注権限は看護部が持ち、下書きだけ夜間バッチで揃える使い方ができます。眼鏡のフレーム特注や、版元・取次をまたぐ専門書店の季節SKUでも、毎日の需要見通しから発注下書きを出し、人が送る前に承認する使い方ができます。

皮革工場そのものを、そのまま別の皮革工場へ写す必要はありません。写す中身は、多SKUの需要見通しと、人が送る前に止める発注です。

主張と、確認できていないこと

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
5,000超の商品を毎日監視・需要予測。以前はカタログの一部を週次の表計算で確認 対象期間、SKUの定義、導入前後の比較方法
1商品あたり約0.0005ドル(約0.08円。1ドル=150円で概算)。1日の実行はコーヒー1杯未満/1ドル未満(約150円未満) 実請求額、トークン単価の時点、対象SKU数の揺れ
仕入先向け発注はエージェントが下書きし、人が承認。判断は追跡可能 承認率、差し戻し率、誤発注の件数
人手より数日早く、在庫のずれを表面化 測定方法と「数日」の定義
欠品を約30%減らし、月あたり約1.5万ユーロ超(約250万円。1ユーロ=165円で概算)の売上回収に相当(開発者ブログ) 第三者の再測定、比較期間、売上換算の式
LangChain、GPT-4o-mini、Supabase pgvector、LangSmith 本番のバージョンと社内権限設計の詳細
マーケティングのバージニア・カポーニ(Virginia Caponi)氏のコメント(事例ページ) コメントの日付と、社内での役割の公式確認

まとめ

多SKUの在庫を、週次の一部点検から毎日のSKU予測と発注下書きへ移し、人が送る前に一度止めます。効果の数字は開発者側の説明として記録し、第三者の再測定は未確認のまま分けておきます。

参考文献

  • An autonomous inventory agent for Pellemoda — demand forecasting and supplier coordination on autopilot(Abhishek Chauhan Case Study)、https://www.abhishekchauhan.it/work/pellemoda-inventory-agent 、確認日 2026-09-10
  • How Much Does It Cost to Build an AI Agent? A Developer's Breakdown(Abhishek Chauhan Blog)、https://www.abhishekchauhan.it/blog/how-much-does-it-cost-to-build-an-ai-agent 、確認日 2026-09-10
  • About – Pellemoda(Pellemoda 公式)、https://pellemoda.it/about/ 、確認日 2026-09-10

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)