デンマーク・オーデンセの冷凍デニッシュメーカー「メッテ・ムンク(Mette Munk)」は、ライン上の品質選別と行そろえを自動化しています。仕組みは、ロボット・ノルディック(Robot Nordic)とデンマーク技術研究所(Danish Technological Institute、以下DTI)が作りました。AI-MATTERSのユーザーストーリー、ロボット・ノルディックの紹介、デンマーク側AI-MATTERSの記事が、この導入を紹介しています。
毎時約3.5万個の目視選別を、種類ごとの専用AIモデルとロボットの流れに寄せました。形・フィリング(具)・アイシング(かけた糖衣やクリームなど)・飾りを見て、品質を三段階に分け、ロボットが正しい行にそろえます。
メッテ・ムンクは冷凍デニッシュを世界へ出荷する会社です。スパンダウアー(spandauer)、シナモンロール、ピーカン系など、形・具・アイシングが品ごと・個ごとに違います。以前は、数秒で変形を見つける目視と、手で行をそろえる反復作業が中心でした。毎時約3.5万個が流れると、目も手も疲れやすい、というのが出発点です。
予備の検討は2023年からです。ロボット・ノルディックがライン設計を担い、AIビジョンはDTIが担当しました。DTI側は、シニア専門家のミカエル・ニールセン(Michael Nielsen)氏と、カルステン・パンク・イサクセン(Carsten Panch Isaksen)氏が関わりました。
いまの仕組みは、2ラインに16台のロボットです。冷凍庫から出てくる菓子を、毎時約3.5万個処理します。ロボットは選別だけでなく、包装パターンに合う行へ並べ替えます。
ビジョン側は複数の専門AIモデルで、一つがくっついた個体も分け、ほかが品種別の品質分類をします。形(丸・四角・ねじれなど)、フィリング、アイシング、飾りを見つつ、量や位置のばらつきも織り込みます。品質は三段階で、オペレーターが押した数千枚の画像で学習しています。1スキャンで約24個を、0.5秒で評価します。
ビジョンは、包装ラインのPLC(機械制御の装置)と、HMI(操作画面)のレシピ管理につながります。品や包装パターンが変わっても、レシピ側で合わせやすくしています。位置のリアルタイム画像から、動かす菓子と空き場所も計算します。
生産エンジニアのイェッペ・ホルム(Jeppe Holm)氏は、パン製造から包装までの流れを管理しやすくなったこと、品質がそろいやすくなったこと、反復の手作業が減ったことを挙げています。ロボット・ノルディックのカミラ・ティンガード・ハートマン(Camilla Tinggaard Hartmann)氏は、16ロボット・2ライン・毎時3.5万個の構成と、DTIへの相談の経緯を説明しています。
事例が公表する数字は次のとおりです。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 16ロボット×2ライン、毎時約35,000個 | 稼働率、不良率、測定期間 |
| 品質は3段階。オペレーターが押した数千枚の画像で学習 | 「数千」の正確な枚数、品種別の内訳 |
| 1スキャン約24個を0.5秒で評価 | 実測ログ、混雑時の上限 |
| 個体分離+品種別品質分類など複数の専門AIモデル | モデル数・学習手法の公開詳細 |
| ビジョンはPLC/HMIレシピ管理と連携 | レシピ切替の所要時間と失敗件数 |
| 予備調査は2023から。協力はロボット・ノルディックとDTI | 投資額、回収期間 |
| イェッペ・ホルム氏のコメント(流れ・品質・反復作業) | 社内アンケート等の定量裏づけ |
部品の外観検査、薬の包装チェック、衣料の検品など、多品種の見た目ばらつきを目で分け、並べ替える作業がいちばん手間がかかる現場でも使えます。焼菓子・惣菜・青果の食品加工でも、品種別の専用モデルで形・具・仕上げを見て品質を分け、ロボットや後工程へ渡す流れが考えられます。ただしメッテ・ムンクは、2ライン・16ロボット・毎時約3.5万個の規模です。日本の小さな加工場へそのまま写すと、設備費と量が合いません。写すなら規模そのものより、品種別モデル・現場が押した画像での学習・選別と行そろえ・レシピ管理との接続です。
品種別のAIモデルで形・具・仕上げを見て品質を三段階に分け、現場が押した画像で学習し、ロボットが選別と行そろえまで担い、レシピ管理につなぎます。