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デンマークの冷凍デニッシュ工場。ライン上の目視選別をAIとロボットに寄せたこと

2026.09.12
デンマークの冷凍デニッシュ工場。ライン上の目視選別をAIとロボットに寄せたこと

デンマーク・オーデンセの冷凍デニッシュメーカー「メッテ・ムンク(Mette Munk)」は、ライン上の品質選別と行そろえを自動化しています。仕組みは、ロボット・ノルディック(Robot Nordic)とデンマーク技術研究所(Danish Technological Institute、以下DTI)が作りました。AI-MATTERSのユーザーストーリー、ロボット・ノルディックの紹介、デンマーク側AI-MATTERSの記事が、この導入を紹介しています。

毎時約3.5万個の目視選別を、種類ごとの専用AIモデルとロボットの流れに寄せました。形・フィリング(具)・アイシング(かけた糖衣やクリームなど)・飾りを見て、品質を三段階に分け、ロボットが正しい行にそろえます。

何が起きたか

メッテ・ムンクは冷凍デニッシュを世界へ出荷する会社です。スパンダウアー(spandauer)、シナモンロール、ピーカン系など、形・具・アイシングが品ごと・個ごとに違います。以前は、数秒で変形を見つける目視と、手で行をそろえる反復作業が中心でした。毎時約3.5万個が流れると、目も手も疲れやすい、というのが出発点です。

予備の検討は2023年からです。ロボット・ノルディックがライン設計を担い、AIビジョンはDTIが担当しました。DTI側は、シニア専門家のミカエル・ニールセン(Michael Nielsen)氏と、カルステン・パンク・イサクセン(Carsten Panch Isaksen)氏が関わりました。

何が変わったか

いまの仕組みは、2ラインに16台のロボットです。冷凍庫から出てくる菓子を、毎時約3.5万個処理します。ロボットは選別だけでなく、包装パターンに合う行へ並べ替えます。

ビジョン側は複数の専門AIモデルで、一つがくっついた個体も分け、ほかが品種別の品質分類をします。形(丸・四角・ねじれなど)、フィリング、アイシング、飾りを見つつ、量や位置のばらつきも織り込みます。品質は三段階で、オペレーターが押した数千枚の画像で学習しています。1スキャンで約24個を、0.5秒で評価します。

ビジョンは、包装ラインのPLC(機械制御の装置)と、HMI(操作画面)のレシピ管理につながります。品や包装パターンが変わっても、レシピ側で合わせやすくしています。位置のリアルタイム画像から、動かす菓子と空き場所も計算します。

生産エンジニアのイェッペ・ホルム(Jeppe Holm)氏は、パン製造から包装までの流れを管理しやすくなったこと、品質がそろいやすくなったこと、反復の手作業が減ったことを挙げています。ロボット・ノルディックのカミラ・ティンガード・ハートマン(Camilla Tinggaard Hartmann)氏は、16ロボット・2ライン・毎時3.5万個の構成と、DTIへの相談の経緯を説明しています。

事例が公表する数字は次のとおりです。

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
16ロボット×2ライン、毎時約35,000個 稼働率、不良率、測定期間
品質は3段階。オペレーターが押した数千枚の画像で学習 「数千」の正確な枚数、品種別の内訳
1スキャン約24個を0.5秒で評価 実測ログ、混雑時の上限
個体分離+品種別品質分類など複数の専門AIモデル モデル数・学習手法の公開詳細
ビジョンはPLC/HMIレシピ管理と連携 レシピ切替の所要時間と失敗件数
予備調査は2023から。協力はロボット・ノルディックとDTI 投資額、回収期間
イェッペ・ホルム氏のコメント(流れ・品質・反復作業) 社内アンケート等の定量裏づけ

誰に関係するか

部品の外観検査、薬の包装チェック、衣料の検品など、多品種の見た目ばらつきを目で分け、並べ替える作業がいちばん手間がかかる現場でも使えます。焼菓子・惣菜・青果の食品加工でも、品種別の専用モデルで形・具・仕上げを見て品質を分け、ロボットや後工程へ渡す流れが考えられます。ただしメッテ・ムンクは、2ライン・16ロボット・毎時約3.5万個の規模です。日本の小さな加工場へそのまま写すと、設備費と量が合いません。写すなら規模そのものより、品種別モデル・現場が押した画像での学習・選別と行そろえ・レシピ管理との接続です。

まとめ

品種別のAIモデルで形・具・仕上げを見て品質を三段階に分け、現場が押した画像で学習し、ロボットが選別と行そろえまで担い、レシピ管理につなぎます。

参考文献

  • Bots in the bakery: Robots and AI lift the baking at Mette Munk(AI-MATTERS User Story、2025-10-16)、https://ai-matters.eu/user-story-robots-in-the-bakery/ 、確認日 2026-09-11
  • Bots in the bakery: Robots and AI elevate baked goods at Mette Munk(Robot Nordic)、https://robotnordic.dk/mette-munk-2/ 、確認日 2026-09-11
  • Bots in the bakery: Robots and AI elevate baking at Mette Munk(AI Matters Denmark、2025-10-08)、https://dk.ai-matters.eu/en/bots-in-the-bakery-robots-and-ai-elevate-baking-at-mette-munk/ 、確認日 2026-09-11

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)