2019.02.01 Fri |
生徒を校外と繋いで、普通じゃない体験を!【吉川牧人先生の挑戦】
あなたには心に残っている恩師がいますか?
リツアンSTCのある掛川に、「きっとたくさんの高校生に、恩師と呼ばれるだろうなぁ」と思わされる、唯一無二の先生がいました。
やらなきゃいけないことが山積みの学校の中で、「普通と違う」に挑戦するのはリスク。
でもそれを実践できる、掛川西高等学校の吉川(きっかわ)牧人先生にインタビューしました。
担当:杉山大樹 東大卒フリーランスファシリテーター・編集者
noteはこちら!
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杉山:静岡で一番「普通と違う」先生だと聞いて来たのですが、合ってますか?
吉川先生:そうだと思いますよ! 他の先生からは大体白い目で見られてるので
杉山:(大丈夫だろうか…)
ググって分かることなら、授業はいらない
取材班:科目は何を担当していますか?
吉川先生:世界史です。
でも教科書読めば分かるし、今の時代ググればいくらでも出てくるじゃないですか。
だからアクティブラーニングで、生徒を巻き込みながら進めてますね。
杉山:世界史でアクティブラーニングですか…?
吉川先生:
授業が始まる4月に、「年度末の授業で、チームで世界史の心に残ったところを題材に、動画を作って発表してもらう」って言ってるんです。
それまでの授業で、まずパワポをつくってみたり、チームで発表してみたり、段々と積み上げて行きます。
杉山:超絶アクティブですね! 全然付け焼き刃のアクティブじゃない。
吉川先生:チームの中で、どの役割でもいいから、貢献して一緒に作っていく。そういうチームづくりを経験して欲しいんです。
杉山:とはいえ、授業範囲自体も進めなきゃですよね。
吉川先生:それもできるだけアクティブにできる工夫をしてます。
先生の話を聞くんじゃなくて、2人組で教科書を読み聞かせし合うようにしてるんです。
お互いに内容の確認をしたり、説明をしたり。
杉山:生徒自身が大事なところを発見し合える、素敵な仕組みですね!
高校生がプロジェクションマッピング!?
杉山:一番「他の先生はやらないだろうな」っていう活動を知りたいです!
吉川先生:生徒にプロジェクションマッピングしてもらってます。
今年は掛川城に自分たちで作った映像を投影して、かなりの人に見てもらいましたね。
杉山:プロジェクションマッピング!?
そんなの大学生でもやらない、というか出来る人が日本に数えるほどしか居なさそうですけど!しかもお金かかりそうですし!
吉川先生:生徒だけでは出来ませんけど、地域のいろんな人に助けてもらいながら。
去年有志で、今年からはパソコン部の部活としてやってるんですが、どんどん生徒が変わっていくんです。
例えばある生徒は、あまり人と話せなくて、引っ込み思案だった。
でもそんな彼が、企業協賛を取りに行ってくれた時は感動しました。商店街で3000円もらってきた。
額は関係ないんです。変わったな!火がついたなと。
他にも、真面目に頑張ってるのに勉強が得意になれない子が、このプロジェクトで、みんなを率いて、企業を引っ張る。プレゼン力もついて、本当にお金をとってくる。そして実現してきたんです。
杉山:高校生でそんなことできる子、想像できませんね。。
吉川先生:
普段オタクだと思われてるような子たちがです。でもこういう魅力的なオタクこそが、世界を変えていくんだと思うんです。
人を変えることのスリルがたまらなくて、教師をしてますね。
教師が全部やれるわけない。助けを求める
杉山:でも先生がプロジェクションマッピングの技術を持ってるって凄すぎです!
吉川先生:いや別にできないですよ?
杉山:え、そうなんですか!?
吉川先生:先生が全部やれるわけない。助けてくれる人を呼んでいるだけです。
先生自身知らないことばかりのはずなのに、知ってるふりして威張ってることが多いです。
先生はスターじゃなくていい。人を繋げる、ファシリテーターになれればいいんです。
杉山:ファシリテーター!それ僕と一緒だ!!
(僕の主な仕事です。ファシリについてはここで書いています)
吉川先生:授業の中でも、海外と電話を繋いだりと、生徒を学校の中で閉じ込めないようにしています。プロジェクションマッピングについても、リツアンさんに助けてもらって、東大の学生さんたちにも繋いでもらって、実現できたんです。
杉山:吉川先生と繋いでもらって、インタビューを掲載させてもらってるこのサイトが、そもそもリツアンSTCさんですからね。
自分の学校を作りたい
杉山:吉川先生の今後の野望って何なんですか?
吉川先生:
新しく学校を作りたいですね。
今の教育は全然うまくいってない。クソみたいです。
でもそんなこと思ってる先生はそんなにいない。自分が受けてきた教育を悪いと思ってないんです。そこで優等生をしていた人が多いからです。
杉山:過激だ。。。
吉川先生:もちろん今の教育のいいところはたくさんあります。それが受けたいって人は居るべきだし、これからも残っていくべきです。
問題なのは、教育を選べないこと。
本当は別の教育の方が自分に合っていたとしても、気づく機会がないし、選ぶチャンスもない。それを変えたいですね。
杉山:確かに、日本の教育の形って、どの学校でもあまり変わらないかも。
吉川先生:日本の教育は、モノづくりで勝ち上がってきたときの成功体験をひきずって、「優秀な労働者」を作り続けています。
でも既にゲームのルールは変わっている。そんなことみんな気づいてますよね。
解くべき課題を自分で作ったり、新たなものを自分で形にすることこそ求められている。
杉山:正解がないって言われつつも、暗記したら点が取れるテストが多いですよね。
吉川先生:分かってるのに、日本の教育は変わろうとしない。
日本人が使われる側になります。すぐに。
いろんなアジアの国を視察するんですが、インドネシアとか凄く変わろうとしてる。一人一人教育を選べるものにしようとしてます。
日本の教育も、何とかしたいんです。
吉川先生が掲げるのは、どうしようもなくデカい野望です。でも、選べる教育を作ることは、絶対必要なことだと思いました。
僕にもできることがあるだろうか。
皆さんはどう思いますか?