2022.01.31 Mon |

弦楽を一緒に楽しむ参加型ツアー!【キャラバン・ストリングス掛川ツアー後編】

世界的に活躍されている指揮者・芸術監督の木許裕介さんが、弦楽旅団「キャラバン・ストリングス」を率い、11月23日にコンサートを開催しました。

23日の掛川市生涯学習センター大ホールでのコンサート本番だけなく、掛川の街の至る所をめぐって届けたのは、全部で10公演以上!
ツアーの一部始終を、写真と共に前後編に分けてお伝えしていく、後編です。
(19日からの前編はこちら)

21日朝には、大日本報徳社仰徳記念館にて、「音楽と報徳-分断を乗り越えるために音楽ができること-」というテーマで対談。
木許さんが世界中に届けている音楽を、弦楽四重奏の生演奏で例示いただきながら語り合いました。(後日動画公開の予定です!)

「音楽に国境はない」と言われますが、音楽には厳然として国境がある。文化圏ごとに音楽の捉え方は全然違う。互いに違うことを認めたその先に、「ひとつのもの」を目指して共に歩むことができる。

舞台に立てばみな良い音楽をしたい。それは楽器を手にした人間の本能のようなもので、生まれも文化も言葉も違うひとたちが一つのものを目指して全身全霊を捧げるとき、音楽ははじめて国境を超える。

どんなに雄弁に言葉をつむいでも語り得ないものを、音楽はわずか一音、一瞬にして届けることができる。木許さんが戦っている領域を垣間見た対談でした。

そして昼には、掛川の誇る「ステンドグラス美術館」で2公演!

「人はステンドグラスの窓のようです。 太陽が現れるときらめき輝きますが、暗闇が訪れると、内部に光のある人だけが、その本当の美しさを現すのです。」というエリザベス・キューブラー・ロスの言葉を紹介しつつ、コロナ禍で世界を覆った暗闇を照らすように、演奏を楽しんでいただきました。

神様という存在を感じずにはいられない神聖な曲や、「辛い時にはあなたを元気づける」という気持ちが込められた美しい曲を演奏。天井から降り注ぐようなその響きに、会場では涙する方もいらっしゃいました。

夜にはキウイフルーツ園で野外ライブ。
なんと、キウイが育つビニールハウスのなかで歩き回って演奏するという前代未聞の試みが成されました。クラシックを聞いて育ったスペシャルキウイができるかも?!

22日は朝から高齢者施設「ききょう荘」にて懐かしい曲の数々をお届け!大好評を頂いたそうです。

障がい者の方の就労施設「掛川工房つつじ」では、本格的なクラシック作品を演奏し、圧倒的なサウンドで会場を包み込みます。

施設利用者さん手作りの「軒花(のきばな-掛川のお祭りで使われる飾り花です)」を頂き、「これで指揮してほしい」というリクエストに快く応えて、軒花を指揮棒にして鮮やかな指揮を披露しました!(しかも、拍子が次々に変わって指揮するのがとっても難しい曲です!)

夜には大日本報徳社の大講堂で、日本人作曲家作品の公開レコーディング!

日本人作曲家の作品を畳のうえで演奏したら絶対に面白くなる!という木許さんのイマジネーションが炸裂。こんな写真見たことありますか?

大講堂で聴いていた杉山も、「弦楽って和風にもできるんだ、和の空間にも合わせられるんだ!」と大興奮でした。

更に、音楽を今までにない形で楽しんでもらうべく、普通ではありえない、禁断のワークショップまで企画されたのです。
場所は、新たな学びを得るのにふさわしい、掛川の誇る重要文化財、大日本報徳社の仰徳記念館。

まず、約20人の弦楽アンサンブルが真剣に演奏している中に、自由に混じっての写真撮影大会!

なんと指揮までさせてもらってしまいました。こんな体験、絶対できないです……!


ちなみに指揮しているはずの木許さんまで自撮りしていました(笑)


更に凄かったのが、杉山がファシリテーターとして共同企画させていただいた”オーケストラ大解剖実験”。

楽団の本気のリハーサルに、お客さんを入れてしまうというこの企画。
普段は完成品しか見られないところを、「練習ゼロ状態」からじっくり見ることで、プロの演奏者が何を考え、どんな工夫をして、曲を完成させていくのかを見せてもらいました!


そして、「指揮者の仕事って一体何なのか」という最大の謎も、指揮者としての木許さんに容赦なくツッコんでいく中で、解き明かされて行きました。


楽譜に書かれていないことがたくさんある。どの方向に一つひとつの楽器を合わせていくか、そこには無限の答えがある。だからこそ導き、調和させていく、指揮者という役割が必要なのです。


最初に聞いた演奏も既に凄かったのに、たった40分のリハーサルの後では圧倒的な迫力に仕上がっていました!

木許さんによると、もっといくらでもこだわるべきポイントがあるらしく……。
23日のファイナル・コンサートも、このワークショップがあったからこそ、普段の数倍楽しめました!


そして、ついに迎えたファイナルコンサート。
木許さんの想いが詰まったもので、ただ演奏するだけでなく、さまざまな工夫が成されていました。

「いつも座席が限定されてしまっている車椅子の方々に、自由にのびのびと聴いて頂きたい」ということで、掛川市生涯学習センターの客席をあえて絞って、ホールうしろのスペースを車椅子の方々に開放して無料招待。

そして、「未来を担う子どもたちに気軽に弦楽の響きに触れてほしい」ということで、掛川の中高吹奏楽部に所属する子どもたちを無料招待。

さらには、「地域の人々と音楽を共にしたい」、という想いから、掛川市民オーケストラのメンバー4名とも数曲で共演!

フィンジ作曲「弦楽のための前奏曲」やグリーグ作曲「ホルベアの時代」をはじめ、掛川の街からインスピレーションを受けて選曲された珠玉の作品の数々。

演奏者たちの「掛川で出会った人たちに全身全霊の音楽を届けたい!」という思いが心に強く響いてくる、感動的な時間になりました。

ちなみに、ファイナルコンサートのアンコールは、日本初演となる「弦楽のための小品<月>」。
そう、本陣通りで満月のもとに演奏したあの演奏会(前編に詳述)は、ここへの布石でもあったのです。実は、このツアー期間はちょうど満月と月蝕にあたりました。掛川の街をリサーチして曲を決めただけではなく、月齢まで計算して選曲されていたことには驚かざるを得ません。

アンコール二曲目には、今回のツアーのために編曲され、世界初演となった大野雄二作曲・前田和宏編曲「弦楽アンサンブルのための<掛川市歌> 」を!それにしても、アンコールが日本初演と世界初演というのもすごいですね(笑)

掛川の街を奏で尽くした今回の企画。
機動力のある弦楽アンサンブルならではの、他では味わえないツアーとなりました。
キャラバン・ストリングスのみなさま、本当にありがとうございました!

こちらのInstagramも、ぜひチェックしてみてください。
掛川だけでなく、世界を駆けまわっておられます。
(なお、本ツアー期間およびツアー終了から二週間のあいだで、出演者および関係者にコロナウイルス感染者は一切発生しませんでした)

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