2016.12.10 Sat |

国家に監視される私たち

多くの国家には情報機関が実在します。映画やドラマにもよく登場しますし、その存在は多くの人が知っているとは思いますが、目立つのはアクションシーンで、彼らがビッグデータをどのように扱っているのか描いているものはあまりありません。しかし、彼らはとてつもない量の個人情報、つまりビッグデータを持っていて、それらを活用していることが明らかになっています。

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アメリカ政府は「Facebookや個人的な電話やメールさえも監視している」と元CIA・NSA職員のエドワード・スノーデンが語ったのは世界に衝撃を与えたはずです。しかし、アメリカ国民の中にも保守派を中心に「テロを未然に防止するためにはこういうことはしょうがない」と、そういう政府の監視に対し寛容な人たちも多くいます。

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明確なことはまだ分かりませんが、アメリカだけではなく、中国のサイバー部隊はWeChatなどの国内を中心としたSNSを監視していて、韓国の情報機関は日本でもよく使われているチャットアプリであるLineを監視していると言われています。

では、それらの情報が「テロを未然に防止する」というのはどういうことでしょうか。FacebookやTwitterなどのSNS上をはじめ、オンライン上には相当な量の情報があふれていて、それらの情報がテロリストによるものでも、その情報がテロと結びついていると判断するのは用意ではありません。その中からどう的確にテロリスト予備軍を探すのでしょうか。

その答えの一つが人工知能と言われています。その人物に関する情報を収集し、処理する人工知能は、十分な情報さえあれば、その人物の住んでいる場所、収入、経歴はもちろん、思想や宗教、性的趣向さえも明らかにできます。インターネット上の情報から誰がテロリストになり得るか予測する、つまりテロリスト予備軍のラベリングをすることはそんなに難しくないはずです。

テロリストかどうかだけではなく、国家は我々についてあらゆる観点でラベリングし、その国家にとって不都合となる可能性のある人間を、手間なしで明らかにすることができます。それは国家に絶大な力を持たせる危険なことかもしれません。

石井大智

慶応SFC 学部2年

一般社団法人Bizjapan

 

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