2017.01.16 Mon |
AIが音楽や芸術を作り出す!? Google「Magenta」プロジェクトの挑戦
まずはこちらの曲を聞いてみてください。(YouTubeに飛びます)
https://www.youtube.com/watch?v=6ZLB2-_0Hxw
…いかがだったでしょうか?
何かのBGM?ゲーム音楽?
と想像させるような、親しみやすい軽めの音楽だったと思います。
実はこの曲…
AIが作曲したんです!!
タイトルに書いてあったのでわかりましたかね?(笑)
これはかのGoogle社の「Magenta」というプロジェクトの一環で昨年の6月1日に発表されたものです。
ディープラーニングプロジェクトチーム「Google Brain」が開発を行っています。
「Magenta」プロジェクトの目的は、機械学習を音楽や芸術創造の領域に発展させることだそうです。音楽や芸術を作り出すアルゴリズムの開発によりAIが自ら魅力的な音楽を作り出すとGoogleは考えています。
先ほどの曲では、AIは最初に4つの音を与えられたあとアルゴリズムによって音楽を自力で作曲しました。ドラムは人が後から加えたそうですが。
また、AIが作り出した世界初の芸術作品であるそうです。
なるほど、この曲が作られた背景がわかったところで…
AIが作曲したということを意識してもう一度聞くと驚くことと思います。
自然な普通の曲に聞こえますよね。
これって結構すごいことだと思います。
なぜなら音楽や芸術の良し悪しは感性によるところが大きいからです。
音楽や芸術などの感性が大切になる領域は、現在人工知能が得意としている画像認識や言語処理などの領域と違って明確な正解がない。つまり、音楽や芸術の理論でガチガチに固めて作ったものが素晴らしいとは限らないのです。
私たちは曲を聴くときや絵を見るとき、このメロディが正しいからこの色づかいが正しいから、という理由で聴いたり見たりしませんよね。かっこいいから、きれいだからという感性で好みを決めていることと思います。
素晴らしい曲、つまり人間の耳に心地よい曲を作るということは、人間の感性を理解してないとできないわけで、この「Magenta」プロジェクトが成功することでAIが人間の感性を獲得した、と言うことができるのではないでしょうか。
ますますAIが人間に近づくような気がしますね。
また「Magenta」プロジェクトでは、オープンソースの機械学習ライブラリ「TensorFlow」を使用し、製作したモデルやツールをGitHubにて公開しています。
これは機械学習の研究者、コード開発者、アーティストによるコミュニティを作るという、プロジェクトのもう一つの目的を実現するためだそうです。MIDIなどのフォーマットに対応するツールを開発することで、より多くの人が「Magenta」を利用できることを目指しています。
これから先、アーティストが「Magenta」を取り込んだ作品を発表したり、はたまたAI自身がアーティストとなってCDデビューやファンを獲得したりするような時代が来るかもしれません。
「Magenta」が音楽や芸術業界に新しい風を吹かせる日はそう遠くないことでしょう。
【出典】
https://magenta.tensorflow.org/welcome-to-magenta
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/060201601/?rt=nocnt
https://digitalfan.jp/126874
K.M
東京大学
工学部航空宇宙工学科 4年