2017.08.13 Sun |

尊敬する人達①

尊敬する人今回は、僕、鈴木瑞人が尊敬する人物について書きたいと思います。

目標とする方々に少しでも近付けるように日々がんばっています。
以下が尊敬する人(の中でもシニアまたは故人の方たち)です。敬称は省略します。
順序に意味はありません。思いついた順です。
1,John Craig Venter
2,佐々木正
3,紺野大介
4,Linus Torvalds
5,Frederick Terman
6,John von Neumann
7,菅裕明
8,合田圭介
9,Hadley Wickham
10,Jeffrey Dean

今回はこのうちの最初のお二方、
1,John Craig Venter氏
2,佐々木正氏
について、なぜ僕が尊敬しているのか、どんな方なのかをご紹介しようと思います。

1,John Craig Venter
漫画ワンピースでいうなら”白髭”でしょうか(風貌もそんな感じです)。世界最強の男と言ってよいと思います。
ベトナム戦争の前線で、周りがバタバタと倒れていく中、ケガが浅くても意思の弱い兵士は死に、ケガの程度が重くても生きる意志の強い人が一命をとりとめた不思議な現実に直面し、生命の神秘を体験したことで、生命に興味を持ち、アメリカに還って、大学に入り、ゼロから英語を勉強し始め、大学院(UCSD)では、生命科学を専攻して、Ph.Dコース終了までに、Nature、Cell、ScienceやPNASに7報くらい論文を掲載させ、その後、NewYork州立大学バッファロー校にて教授となり、その後NIHに引き抜かれ、ヒトゲノムを解読するために民間に移り、ヒトゲノム解読計画の国際チーム(国際チームは3000億円かけた)と戦って勝利し、趣味のヨットでも大西洋横断レースで優勝し、その後人工生命合成やメタゲノム解析の分野、寿命延長の分野で大活躍しています。
彼が2014年に幹細胞研究の大御所と設立したベンチャーHumanLongevity.Incは、人の全ゲノム・腸内や体表のバクテリアのDNA・体全体のMRIやCTによるスキャンなどあらゆる情報を取って将来かかる病気を教えてくれ、ガンにかかったときの適切な抗がん剤情報も教えてくれます。1人200万円しますがすでに2万人ほどがサービスを利用しており僕も将来利用したいなと考えています。

話が戻りますが、彼はもはや”生きる伝説”で、正直一部でも真似はできるか微妙なんですが、民間から研究予算をとってきたり、民間の研究所を作ったり、研究成果でベンチャー企業を作ったりと、僕が将来やりたいことに非常に合致するので、彼には注目し、目標としています。

2,佐々木正
今をときめく孫正義氏のポテンシャルを一番初めに見極め資金提供したのは佐々木氏です。
孫氏がUCBerkeley在学中に共同開発した「音声機能付き電子翻訳機」のサンプルを携え、シャープ中央研究所を訪ねてきたとき、佐々木氏は、英語版翻訳機の研究開発費として2000万円出すことを即決最終的には一億円で買い取ったそうです。また1982年、日本ソフトバンクを起業してまだ間もない頃、ソフトの卸を業務にしていた孫氏は、運転資金に行き詰まり、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に1億円を無担保で貸してくれるように頼んだとき、佐々木氏が、自宅と退職金を担保とすることで倒産を免れたそうです。

今はとてつもなく大きなスケールで動いている孫氏ですが、佐々木氏が語る若いときの孫氏のエピソードは、我々若手に参考になると思うので、佐々木氏のインタビュー記事から抜粋します。http://toyokeizai.net/articles/-/9565
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孫(正義)君を初めて知ったのは米国です。大学でコンピュータやパソコンの勉強会をやっていた彼に、偶然会ったんですわ。熱心な学生で、すぐに親しくなりました。そんなとき、テキサス・インスツルメンツが、翻訳機を出したんです。次の時代はこれや!と感じた。孫君もそうだったそうです。

それからしばらくしてからです。技術本部長兼中央研究所長をしていた私の所へ、孫君のお父さんが公衆電話から連絡してきて「息子と一緒に会いたい」と。翻訳ソフトを買ってくれないかとのことでした。

初めに、松下電器産業に行ったがけんもほろろだったそうです。「うちはスタンフォード大学の教授を所長にした研究所も作って、翻訳機なんかもうできとるよ。おまえがいるんなら売ってやろうか?」と言われたいうて、怒っとるんです。三洋電機では、「カネさえ出してくれたら、翻訳機なんていつでも作ってやるよ」と侮辱された。最後に、僕を思い出したという。縁ですね。私は、彼の開発した翻訳ソフトを1億円で買い取りました。

いい商売のアイデアがあっても、どこでも儲かるかといったらそうではない。「場」がないといかん。孫君は奥様の実家の熊本でソフトバンクを創業したけれど、最初はうまくいきませんでした。

孫君は有能だけど、ちょっと飛びすぎるんで困るんですよ。もう若いときから宇宙の向こうばっかり見て話をしていましたからね。今、メガソーラーをやっとりますが、日照量の確保に限度があるんだよ、地球上では。やるなら宇宙ですよ。「だから、駄目だ」言うても聞きません。
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以上で抜粋終了です。大学で出会った人に売り込みに行くあたり参考になりますね。また、競合がいても分野として熱いところなら恐れず突っ込んでいくあたりも参考になりますね。
営業に行ってぼこぼこに言われてもめげないところも参考になります。

さて話が孫氏ばかりになってしまいましたが、佐々木氏の話題に戻りましょう。

佐々木氏は、当時テーブルを占領してしまうほどのサイズの電卓をポケットに入るサイズにまで小さくし、またMOS-LSI、液晶、太陽電池といった新技術を極め、日本人で5人目の「IEEE 2003 Honorary Membership」(IEEE名誉会員)に認定されました。シャープの技術担当専務として活躍し、シャープ副社長を歴任しています。

彼の生涯のモットーは「共創」で、「分からなければ聞けばいい。持っていないなら借りればいい。逆に聞かれたら教えるべきだし、持っているものは与えるべきだ。人間、一人でできることなど高が知れている。技術の世界はみんなで共に創る『共創』が肝心だ」(引用元)と言っています。ちゃんとした情報ソースは見つけられませんでしたが、ネット記事にちらほら書かれているのは、Steve Jobsにも共創のアドバイスをしていて、それがSteve JobsがAppleに舞い戻ったときに発表したAppleとMicosoftの提携だったらしいです。これが事実かはわかりませんが、1985年にJobs氏をSonyに紹介したのは佐々木氏というのは本当みたいなので、あながち嘘でもないかもですね。

「共創」哲学が生まれた背景には佐々木氏の生い立ちが関係しているようです。
佐々木氏は、戦時中、B29爆撃機を撃墜するためにレーダー技術をドイツで学び、潜水艦「Uボート」で帰国終戦直後にGHQの要請で米国に渡り、一線の技術者に教えを乞い技術を学んだ背景があります。 たしかにこのような背景があれば、「共創」にたどり着きそうですね。

1970年当時、単なる商社だったサムスンが半導体分野に進出する際、技術的に行き詰まり、助けを求めた先も、佐々木氏のようですね。佐々木氏がシャープを説得して、シャープとサムスン間で、4ビットマイコンの製造技術の提携が成立したようですね。
さらに「今度は液晶を教えてくれ」と頼まれたときは「依頼心はサムスンを殺す」とのことで断りそれを社長の李氏は納得したものの、李氏の部下は納得せず、シャープの液晶のキーマンを、土日に韓国に連れて行って技術を教えてもらっていたらしいんですが、それすら佐々木氏は許していたらしいです。心が広いですね。

サムスンが今のように大企業になり、佐々木氏を「国賊」と呼ぶ人も出てきたみたいですが、「国賊」ここまで影響力を持つのはうらやましい限りです。

佐々木氏のことを調べていたらLSI関連で面白い事実がでてきたので、それについてちょっと書きたいと思います。
基本的に佐々木氏の業績は、小型電卓の作成なんですが、どうやらこれが、業務用だけでなく家庭用に大量に販売されたことで、LSI(Large Scale Integration:ICに比べてより集積度の高い複雑な回路をおさめた集積回路)や液晶などの部品が劇的に下がって、そのあとのパソコン業界の繁栄の基礎を築いたらしいです。

インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが唱えた、LSI上のトランジスタ数が18ヶ月ごとに2倍になるという「ムーアの法則」というものがあります。この法則が1965年に唱えられてから2010年まではだいたいこの法則が当てはまっています。重要なのは、LSI上のトランジスタの数が増えても、LSIの値段は劇的に下がっているということです。1960年~1990年に小型電卓の普及によりLSIの値段が劇的に下がり、1990年~2005年にはパソコンが普及し、さらにそのあとには、スマートフォンが普及してジャイロセンサーなどの各種部品が安くなり、OculusVRなどのHeadMountDisplay(HMD)の値段が下がった、という流れになっています(なっていると思います)。

ということで、僕の尊敬する人の最初の二人をご紹介しました。
できるだけ二人みたいになりたいです。

鈴木瑞人
東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士課程
東京大学機械学習勉強会 代表
NPO法人Bizjapan テクノロジー部門BizXチームリーダ

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