ソニー銀行と富士通(Fujitsu)は、勘定系システムの実開発に生成AIを本格適用した、と2026年9月14日付のソニー銀行発表で伝えました。本番で動いている勘定系の、設計・製造・テストの工程そのものに、生成AIのエージェントを入れました。期間と工数の数字は両社の自社測定です。基盤はアマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services、以下AWS)上のアマゾン・ベッドロック(Amazon Bedrock)で、中核モデルはアンソロピック(Anthropic)のクロード(Claude)です。
勘定系は、預金や振込など銀行の中核取引を支えるシステムです。日本の金融では、企画から提供までに数ヶ月から年単位かかることが多く、変更への追随が難しい、というのが背景です。
両社は2025年9月から、ソニー銀行の勘定系開発へ生成AIの適用を始めました。採用しているのは、富士通の勘定系ソリューション「コアバンキング・クロスバンク(Fujitsu Core Banking xBank)」です。AWS上の、初めからクラウド向けに組んだ構成(クラウドネイティブ)で、生成AIサービスとの接続や試行を速く進められます。
使い方の中心は、単一工程のコーディング支援ではありません。設計書、ソースコード、テスト資産を、AIが工程横断で使えるしくみを作り、基本設計・製造・単体テスト・結合テストなど主要工程へ段階的に広げました。
ベッドロック上のクロードと、開発支援のクロード・コード(Claude Code)を中核とするAIエージェントが、前工程の成果物を後続で再利用します。設計書からソースやテストケースを生成する、といった流れです。エージェントは、モデルと外部ツールをつなぐ取り決め(モデル・コンテキスト・プロトコル、Model Context Protocol、MCP)や各種ツールとも連携します。最終判断と品質保証は人が担います。
効果の数字は、2026年7月時点の両社の自社測定では、基本設計から結合テストまでで工数は40%減、開発期間は30%短縮です。内訳では、基本設計の影響調査工数が最大90%減、詳細設計の設計書作成工数が最大40%減、製造ではソースコード生成率99%、結合テストのテスト実行工数が最大90%減です。
適用の範囲は、オンライン取引やバッチを含む多様なアプリケーションです。処理形態を限定せず、本番稼働中の勘定系の実開発へ入れました。概念実証(PoC)や限定試行にとどめず、標準プロセスに組み込みました。
今後は、要件定義を含む工程全体や、セキュリティ・運用保守、周辺系への拡大を計画しています。富士通は、得た知見をクロスバンクや他金融機関向け開発、金融向けAI基盤「ユーバンス・フォー・ファイナンス(Uvance for Finance)」関連へ展開します。発表には、AWSジャパンとアンソロピック・ジャパンのコメントも並びます。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 基本設計〜結合テストの期間を従来比30%短縮、工数を40%削減(2026年7月時点・両社発表) | 第三者監査、比較対象の従来期間の定義、対象機能の母数 |
| 影響調査工数最大90%減、設計書作成工数最大40%減(同) | 工程ごとの測定方法、サンプル規模 |
| ソースコード生成率99%、テスト実行工数最大90%減(同) | 生成コードのレビュー却下率、本番障害との因果 |
| 2025年9月から適用。PoCではなく本番勘定系の実開発(同) | 適用機能の一覧、段階導入の内部マイルストーン |
| ベッドロック上のクロード/クロード・コードが中核。人は最終判断と品質保証(同) | プロンプト、評価指標、却下・差し戻しの運用手順の公開 |
| クロスバンク(AWS上)が基盤。MCP等でツール連携(同) | 読者環境での同構成の再現手順 |
出典の中心はソニー銀行の発表です。期間・工数・生成率は自社説明です。
受託の基幹改修では、設計書の差分調査とテストケース作成を、同じ資産の流れに乗せて機械に寄せます。製造業の設備ソフトでは、仕様変更の影響範囲の洗い出しと回帰テストの下書きを、人が承認する前提で分けます。病院やクリニックの予約・会計周辺の改修では、画面仕様からテスト項目のたたき台だけを先に作り、診療判断や金額確定は人が行います。
設計書・コード・テストを工程横断の同じ文脈として渡し、生成は機械が行い、最終判断と品質保証は人が行います。期間・工数の%は2026年7月時点の両社の自社測定です。