ENTRY

◀︎ AI NEWS TOPへ

ソニー銀行と富士通の勘定系。実開発に生成AI、設計から結合テストまで

2026.09.20
ソニー銀行と富士通の勘定系。実開発に生成AI、設計から結合テストまで

ソニー銀行と富士通(Fujitsu)は、勘定系システムの実開発に生成AIを本格適用した、と2026年9月14日付のソニー銀行発表で伝えました。本番で動いている勘定系の、設計・製造・テストの工程そのものに、生成AIのエージェントを入れました。期間と工数の数字は両社の自社測定です。基盤はアマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services、以下AWS)上のアマゾン・ベッドロック(Amazon Bedrock)で、中核モデルはアンソロピック(Anthropic)のクロード(Claude)です。

勘定系は、預金や振込など銀行の中核取引を支えるシステムです。日本の金融では、企画から提供までに数ヶ月から年単位かかることが多く、変更への追随が難しい、というのが背景です。

何が起きたか

両社は2025年9月から、ソニー銀行の勘定系開発へ生成AIの適用を始めました。採用しているのは、富士通の勘定系ソリューション「コアバンキング・クロスバンク(Fujitsu Core Banking xBank)」です。AWS上の、初めからクラウド向けに組んだ構成(クラウドネイティブ)で、生成AIサービスとの接続や試行を速く進められます。

使い方の中心は、単一工程のコーディング支援ではありません。設計書、ソースコード、テスト資産を、AIが工程横断で使えるしくみを作り、基本設計・製造・単体テスト・結合テストなど主要工程へ段階的に広げました。

ベッドロック上のクロードと、開発支援のクロード・コード(Claude Code)を中核とするAIエージェントが、前工程の成果物を後続で再利用します。設計書からソースやテストケースを生成する、といった流れです。エージェントは、モデルと外部ツールをつなぐ取り決め(モデル・コンテキスト・プロトコル、Model Context Protocol、MCP)や各種ツールとも連携します。最終判断と品質保証は人が担います。

効果の数字は、2026年7月時点の両社の自社測定では、基本設計から結合テストまでで工数は40%減、開発期間は30%短縮です。内訳では、基本設計の影響調査工数が最大90%減、詳細設計の設計書作成工数が最大40%減、製造ではソースコード生成率99%、結合テストのテスト実行工数が最大90%減です。

適用の範囲は、オンライン取引やバッチを含む多様なアプリケーションです。処理形態を限定せず、本番稼働中の勘定系の実開発へ入れました。概念実証(PoC)や限定試行にとどめず、標準プロセスに組み込みました。

今後は、要件定義を含む工程全体や、セキュリティ・運用保守、周辺系への拡大を計画しています。富士通は、得た知見をクロスバンクや他金融機関向け開発、金融向けAI基盤「ユーバンス・フォー・ファイナンス(Uvance for Finance)」関連へ展開します。発表には、AWSジャパンとアンソロピック・ジャパンのコメントも並びます。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
基本設計〜結合テストの期間を従来比30%短縮、工数を40%削減(2026年7月時点・両社発表) 第三者監査、比較対象の従来期間の定義、対象機能の母数
影響調査工数最大90%減、設計書作成工数最大40%減(同) 工程ごとの測定方法、サンプル規模
ソースコード生成率99%、テスト実行工数最大90%減(同) 生成コードのレビュー却下率、本番障害との因果
2025年9月から適用。PoCではなく本番勘定系の実開発(同) 適用機能の一覧、段階導入の内部マイルストーン
ベッドロック上のクロード/クロード・コードが中核。人は最終判断と品質保証(同) プロンプト、評価指標、却下・差し戻しの運用手順の公開
クロスバンク(AWS上)が基盤。MCP等でツール連携(同) 読者環境での同構成の再現手順

出典の中心はソニー銀行の発表です。期間・工数・生成率は自社説明です。

誰に関係するか

受託の基幹改修では、設計書の差分調査とテストケース作成を、同じ資産の流れに乗せて機械に寄せます。製造業の設備ソフトでは、仕様変更の影響範囲の洗い出しと回帰テストの下書きを、人が承認する前提で分けます。病院やクリニックの予約・会計周辺の改修では、画面仕様からテスト項目のたたき台だけを先に作り、診療判断や金額確定は人が行います。

まとめ

設計書・コード・テストを工程横断の同じ文脈として渡し、生成は機械が行い、最終判断と品質保証は人が行います。期間・工数の%は2026年7月時点の両社の自社測定です。

参考文献

  • ソニー銀行と富士通、勘定系システムの実開発に生成AIを本格適用(ソニー銀行 PR TIMES、2026-09-14)、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000914.000000157.html 、確認日 2026-09-19

Tags

タグ一覧へ ▶︎

Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)