フィンランド気象研究所(Finnish Meteorological Institute)は、フィンランドの国の天気予報を出す機関です。同研究所は1時間ごとに、0〜12時間先の短い予報を出しています。このうち気温・湿度・風速・最大瞬間風速について、計算が出す値の癖を、過去の予報と観測の差から学んだAIで直す仕組みを作りました。この仕組みは、本番で動く予報の仕組みに組み込まれています。同研究所の筆者による査読つき論文(2025年8月20日オンライン公開)によると、学ばせていない1年分の検証で、外れ幅が直す前の計算より24〜29%小さくなりました。
この事例で分からないこと
短い時間の予報は、大気の動きを式で計算するモデルの値をもとに作ります。同研究所が使うのは、北欧の気象機関が共同で動かすモデルです。1時間ごとに12時間先まで、2.5キロメートル四方の細かさで計算します。
計算の値には、決まった方向にずれる癖があります。たとえば、このモデルには風を少し強めに出す傾向があります。前の直し方は、いちばん新しい観測と予報の差を、固定の重みで4時間先まで足し引きするものでした。この方式には2つの弱みがありました。朝と夜でずれ方が変わることを扱えないことと、4時間より先に広げられないことです。
新しい直し方は、気温・湿度・風速・最大瞬間風速ごとに1つずつ、計4つのAI(XGBoost。簡単な判定の木をたくさん重ねて、数値を当てるやり方)を使います。学ばせた材料は、2020年1月〜2023年7月の約3年半分です。795〜888か所の観測所で、予報と実際の観測の差を集めました。記録は約4000万件です。
AIに渡す項目は次のとおりです。
本番では毎時20分に動かします。観測が集まるのを待つためです。観測所ごとに出したずれを地図の上の細かいます目に広げ、計算の値から差し引きます。項目ごとに1つのAIで全部の観測所と先の時間を扱うので、新しい観測所が増えても学び直さずに使えます。
検証には学ばせていない2023年8月〜2024年7月の1年分を使いました。比べた直す前の値は、本番で同じ時刻に手に入る、1時間新しい計算の値です。正解は観測所の実際の観測です。外れ幅は、予報と観測の差を、大きなずれほど重く数えてならした値です。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 直したあとの外れ幅は、直す前の計算より24〜29%小さい | 本番に入れたあとの外れ幅。本番に入れた時期 |
| 先の時間・項目ごとでは17〜43%小さい。単純な式で直した場合は5〜35% | 外の人が同じ条件で測り直した結果 |
| すべての先の時間で、前の直し方より外れ幅が小さい | 前の直し方より何%小さいか(図のみで数字なし) |
| 直せる先の時間が、前の直し方より7時間延びた | 予報を使う人の側で変わったこと |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:Hieta & Partio, Meteorological Applications(2025-08-20オンライン公開)
気温と風は、どの方式でも冬の外れ幅が大きめでした。観測所ごとに見ると、ほぼすべてで良くなりました。ただ、スカンジナビア山地の1か所では、湿度の予報が直す前よりわずかに悪くなりました。理由は分かっていません。
直すプログラムは公開されています。学ばせたAIのファイルは含まれていません。
樹脂部品の金型設計者にも使えます。流し込みの解析ソフトが出す反りの値と、試し打ちで測った反りの差を、形・材料・肉厚・成形の条件と一緒にためます。差の癖をAIに学ばせれば、次の解析の値から差し引けます。使う前に、学ばせていない時期の分で、直す前と直したあとの外れを比べます。部品の種類ごとに、かえって悪くなるものがないかを確かめることも必要です。
フィンランド気象研究所は、0〜12時間先の予報の値の癖を、過去の予報と観測の差から学んだAIで直す仕組みを、本番の予報の仕組みに組み込みました。学ばせていない1年分の検証では、外れ幅が直す前の計算より24〜29%小さくなり、直せる先の時間が7時間延びました。本番に入れた時期と、入れたあとの数字は書かれていません。