2018.10.06 Sat |

AIの経営に対する応用を考える

この記事は鈴木瑞人が執筆します。

今回は、経営に対するAIの応用の可能性について、考察してみたいと思います。

最近、ジャパネットたかたの創業者の高田明氏の著作「伝えることから始めよう」を読み、会社経営について重要なことを学んだので、それをAIでできないかを検証してみます。

ちなみに、高田明氏は、テレビショッピングの司会者というイメージが強いですが、実際は、凄腕の経営者でもあるようです。

著書に書かれていた経営の極意を3つほど要約・抽出し、それに対して、考察をしていきたいと思います。
まずは一つ目、
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・高田氏が敬愛するエリヤフ・ゴールドラット氏(イスラエルの物理学者。全体最適化のTOC(Theory of Constraints)の生みの親)は「ザ・ゴール」という著書の中で、「ボトルネック」の概念を語っている。TOC理論を高田氏が解釈すると、「すべての問題は、本質的な原因(ボトルネック)を探し出して、そこさえ解決すれば全体の問題も解決する。」ということであり、高田氏が今までやってきたことは、売り上げが上がらない原因(ボトルネック)を現場に立って、探して、解決してきたということである。

・ボトルネックに関して、ラーメン店を引き合いに出してみる。以下の順でボトルネックは現れるだろう。
1, 味 → 創業者が満足する味を作る
2, 味 → 第三者が満足する味を作る
3, アルバイトの接客 → 社員教育をして、愛想よく、スピード感を出させる
4, 店内の雰囲気 → お客さんがくつろげる雰囲気を作る、おしゃれなトイレを作る
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AIが介入する余地のあることとして、
1, ボトルネックを定義するための指標の候補を列挙(上記だと売り上げが指標となっている)
2, ボトルネックの探索・発見
3, 発見されたボトルネックを解決する候補の列挙
があると思います。

1, ボトルネックを定義するための指標の候補、は、例えば、利益、新規契約数、ユニークアクティブユーザー数、だったりします。業種によって違いますが、これを元にボトルネックを定義します。
業種やビジネスモデルを入力すると、これら候補が出てくるAIは、データベースを用意できれば作れるでしょう。現状そういったものは知りませんが。

2, ボトルネックの探索・発見、は、既存の選択肢の中でどれがボトルネックかを探すのであれば、AIでも対処可能でしょう。
また、ボトルネックが既存の候補の中にあるかないかの判断もできるでしょう。
しかし、未知のボトルネックに関しては、見つけることが難しいのが今のAIの問題です。今後多少解決されて行くでしょうが、未知の世界をいかに効率よく探索するかが、今のAIの課題です。経営に関しては、ここは有能な経営者にはまったく及ばないところです。

3, 発見されたボトルネックを解決する候補の列挙
これも、データベースを作っておけばそれなりのAIは作れると思いますが、変化する時代に伴い、過去によかった解決策でも、今では時代遅れな解決方法となる可能性があります。なので、解決策を具体的なものでなく、抽象的な概念で表すなどの対策が必要です。

さて次に、著書に書かれていた経営の極意の二つ目を要約・抽出します。
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・今まで心掛けてきたことの一つに「他人と自分を比べない」「他社と自社を比較しない」というのがある。誰かと自分を比較して、動こうとすると、無謀な目標に向かって不適切なことをしてしまう危険がある。大切なのは軸足には常に自分の信念を据え置くこと。意識すべきは、他社ではなく、自分のミッションとお客様。
他人と比較するのは、勝ち負けを決めることである。勝ち負けばかりを考えていると仕事は面白くない。息も詰まってしまう。常に自分たちしかできないことを考えていればよい。
周囲の誰かと比べると、優越感や劣等感を持ってしまう。しかし、昨日の自分と比べると、自分の成長につながる。常に自分史上最高を目指すべき。
「目標を設定しない」「自己更新を続ける」「他社と比較しない」が、ジャパネットたかたを経営していく上での基本的な考え。
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高田氏が掲げた、「目標を設定しない」「自己更新を続ける」「他社と比較しない」は、企業のDNAとも呼べるものなので、基本的にAIが介入する余地はない気もしますが、「目標を設定しない」に関しては、一度だけ「売り上げが前年を下回らない」と例外的に設定している年もあり、絶対ではないようなので、状況に応じて、企業ポリシーの一時変更を推薦するAIを作ってもよいかもしれません。これも、様々な企業の過去の事例を集めてデータベースを作成すれば可能ではあります。

最後に経営の極意の三つ目を要約・抽出します。
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・「社員を大切にする」ことも重要視していた。働く社員に満足がなければ顧客満足度は高まらないと考えていた。創業以来社員旅行を年中行事としていたのもそのためである。最近の社員旅行はほとんど海外。従業員20人のころから社員旅行を始めた。元は観光写真を撮っていたカメラ店なので社員旅行の後は必ず写真コンテストを開催する。社員旅行は二つのグループに分けてスケジュールをずらしていく。
また、本社の近くには独身者や単身者のための社員寮があるし、2009年には、社員がいつでも体を動かせるように体育館を作った。温泉を引いた露天風呂もある。
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社員の満足度を高めることが、顧客満足度を高めることにつながると考える経営者は、稲盛和夫氏を初めとして、多いようですね。社員の満足度やモチベーションを測定・可視化するツールは、すでに、モチベーションクラウドなどが販売されていますね。
ただ、社員の満足度を上げるために、たとえば社員旅行やスポーツ大会をしましょうと提案してくれるサービスはないのではないかと思います。会社のカルチャーに合った、社員のモチベーションを上げる方法を提示してくれるAIは、あってもよいのかなと思います。データベースを作成すればそれなりのものはできるでしょう。ただ、データベースにない新しい「モチベーションを上げる方法」は、探索が必要なので、もしこのAIを作るとすれば、以下に効率よく、新しい「モチベーションを上げる方法」を生み出せるかがカギになってくると思います。

ということで、今回はここまで。

鈴木瑞人
株式会社パッパーレ
東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士課程
NPO法人Bizjapan テクノロジー部門 BizXチームリーダー

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