2018.04.15 Sun |

Ripple

今回は、仮想通貨が大きな注目を集めている中、その中でも特に注目されているリップルについてご紹介したいと思います。

目次
1.サービスとしてのリップルについて
2.XRPについて
 ①XRP懸念点1(XRPは他通貨に比べ価格が上がりにくい)
 ②XRP懸念点2(XRPの取引量が今後増えるかまだ分からない)
  1.リップルのサービス自体の普及の不透明性
  2.XRP採用の不透明性

1.サービスとしてのリップルについて

リップルは、仮想通貨としても有名ですが、根本的にはリップル株式会社の提供する「リップル・トランザクション・プロトコル」というサービスのことを指します。
優れたブロックチェーン技術をベースに、銀行や送金業者、デジタルアセット取引所などをRippleNetで繋げ、これまでの国際送金を大幅に革新した新しい国際送金サービスとなっています。

リップルは主にxCurrent、xRapid、xViaという3つのソリューションを提供しています。

xCurrent
 送金の全てのプロセス全てが可視化された、銀行による即時国際送金の決済を可能にする法人向けソフトウェアソリューションです。銀行間でリアルタイムメッセージングができ、取引前の決済内容の確認や決済後の着金確認も可能となっています。

xRapid
送金業者やその他の金融機関向けのソリューションです。
XRPという法定通貨間のブリッジ通貨としての機能を持つデジタルアセットを活用することで、ノストロ口座(銀行間で資金決済を行う決済口座または現地の通貨で保有する現地の決済口座)を事前にファンディングする必要がなく、即時決済で為替手数料も不要な国際送金を可能にしています。
例えば、新興国への送金には世界中の現地通貨口座への事前の資金の用意が必要であることが多くあり、そのため流動性コストも高くなってしまいます。しかし、xRapidを使えば即時に送金し流動性コストも大幅に下げることができるのです。

xVia
RippleNetという銀行や送金業者を繋ぐグローバルなネットワークを活用することができ、ユーザーは可視化された国際送金を行うことができます。例えば支払い状況を追跡したり、決済に関わる多様な情報を添付したりすることができます。
また、xViaはAPIがシンプルであるため、ソフトウェアのインストールも不要です。

このような新たな顧客体験をもたらしたリップルのメリットをまとめると次の大きな利点があります。

4秒で決済(既存の国際送金では3~4日、ビットコインの場合でも1時間以上かかる)
24時間365日毎秒1500件の取引を処理可能(ビットコインの場合は3~6TPS(Throughput Per Sec)
高い分散性(オープンソーステクノロジーであり、世界中にバリデーターが拡大、分散化している)
高い安定性(世界レベルのエンジニアがサービスの管理を担当しており、サービス開始から元帳の記録で問題は起きたことがない)

では、XRPは投資対象として高い価値があるのでしょうか。

2.XRPについて

XRPには次のような懸念点があります。

①XRP懸念点1(XRPは他通貨に比べ価格が上がりにくい)
XRPは総数1000億枚ありますが、そのうち約6割をリップル社が保有しています。大きな割合のXRPをリップル社が持っていることにもリスクがありますが、去年の12月に550億枚を一定期間自由に売却できないようにロックしたため、以前よりはリスクが低減されました。しかし、それでもそのうち毎月10億枚は自由に放出することができます。そのため、XRPの購入量が少し増えても供給量も増える可能性があり、他の通貨に比べて需要が供給を上まわりにくく、価格が上がりにくいという特徴があります。

②XRP懸念点2(XRPの取引量が今後増えるかまだ分からない)
発行上限数が決まっているためXRPの取引量が増えれば価値は上がりますが、ここにも2つの懸念点があります。

1.リップルのサービス自体の普及の不透明性
XRPがブリッジ通貨として使われているこのリップルのサービス自体の普及がいつどれだけされるのかは分からないという点です。
既に様々な著名金融機関がリップルネットワークへの参加を表明していますが、実際に世界的にこのサービスを導入するのがいつになるかはわかりません。
というのも、XRPを用いた国際送金のサービスに需要が生まれるにはマーケットメーカーと呼ばれる流動性供給を行う取引参加者が必要だからです。

例えば、JPYからBTCに替えたいと思ったとします。
リップルのサービスを使う場合、JPYからXRP、XRPからBTCに替わるという過程を踏むのですが、そのためには自分が買いたい額分以上のBTCを売りたいという人を見つけなければなりません。しかし、常に売りたい人が必ずいるということは保証されておらず、そのためリップルのサービスが正常に機能するためにはマーケットメーカーが必要となります。
ちなみに、リップルのマーケットメーカーの利益としては、裁定取引による利益が挙げられます。裁定取引とは、安い時に買って高い時に売ることで、その差額を利益として得る取引です。例えば、JPYが安い時に買い、その後JPYの値段が上がった時に売却すればその差額分が手に入ります。

一方、マーケットメーカーがさらに今後参入するには、XRPを用いた国際送金のサービスがある程度普及する必要があります。XRPを使いたいという需要がなければ、カウンターパートも必要ではなく、マーケットメーカーが参入する必要もないからです。そのため、このサービスの需要がある程度でてきた時点で参入するのが、マーケットメーカーのコストと利益を考えても賢明であると考えられます。これが、XRPの鶏が先か卵が先かという問題です。ただ、これに対してリップル社も策を打ってくると考えます。

現に、Cuallix社が国際送金サービスにリップルを導入することを発表しています。xRapidを利用し、Cuallet(Cuallix社のサービス)アカウント同士での送金を実現します。送金テストを行なっているというニュースは出ていましたが、実現は予想以上に早く衝撃的なニュースであったと思います。
また、マーケットメーカーに対しても報酬としてXRPを与えるプログラムを導入するのではないかという噂もあります。実際にこれが実現されるかはわかりませんが、XRPを使った国際送金サービスが本格的に動き出し始めているのかもしれません。

2.XRP採用の不透明性
仮にこのサービスが導入されることになっても、ブリッジ通貨としてXRPが採用されない可能性があるという点です。

リップル社の収入源はXRPだけではなく、リップルネットワークに関連した製品、サービスからも収入を得ているからです。

このように、XRPには未だ様々な問題がありますが、一方でXRPやリップルの国際送金サービスに大きな希望もあります。それらを考慮した上で、XRPに投資するかを判断することが大切です。また、金融業界がこれらの革新を踏まえどう変わっていくのか注目されます。

早稲田大学4年 Y.T

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