2018.10.10 Wed |

企業のパフォーマンスを最大化するためのGoogle社の人事施策

この記事は前回の記事(企業のパフォーマンスを最大化するためのGoogle社の人事研究)の続きです。
この記事は、鈴木瑞人が執筆します。

前回の記事では、「企業のパフォーマンスを最大化するためのGoogleの人事研究」と題して、
プロジェクト・オキシジェンとプロジェクト・アリストテレス、をご紹介しました。

プロジェクト・アリストテレスでは、生産性が高いチームの最大の特徴として、「心理的安定性が高い」というものがあることをご紹介しました。

では実際に、Google社が、心理的安定性を高めるために、どのような施策を行っているか、いくつかご紹介していきます。

ここでの内容も、引き続き、過去4年間Google社にて人事戦略に従事した、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏の著書、「世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法」に書かれている内容を、要約、抜粋していきます。

Google社が実行している、心理的安定性を高めるための施策として以下があります。
1, ワン・オン・ワン
2, ライフジャーニーセッション
3, ピアボーナス

では順にご紹介していきましょう。

1, ワン・オン・ワン

「ワン・オン・ワン」は、マネージャーとチームメンバーとの1対1のミーティングのことを指します。
Google社ではマネジャーは週1回1時間、メンバーと1対1で個人面談してコーチングすることが義務化されています。
良いワン・オン・ワンができないマネジャーは、どんなにチームの成果が上がっていても、評価が下がる仕組みになっているそうです。完全成果主義に思えるGoogle社ですが、成果ではない、ワン・オン・ワンが評価のKPIになっているとは意外ですね。

 

2, ライフジャーニーセッション

価値観ベースの会話が心理的安定性を高めることが知られているため、Google社では、「ライフ・ジャーニー」というセッションをマネジャーが進行役になって、よくやっているそうです。
A3の紙に、自分がどんな人生を歩んできたのか、人生のターニングポイントにおける「①行動、②その意図、③味わった感情」がわかるように、各自できるだけ具体的に書くらしいです。書式の指定はなし。書いた内容を、4分程度で各自がみんなに説明するらしいです。
確かに、自分の過去を知ってもらい、共感してもらえば、今の自分を周りが受け入れやすくなる気がします。

 

3, ピアボーナス

これは同僚(Peer)にボーナスをあげられるという制度で、社員一人ひとりに約1万5000円の決裁権が与えられていて、あげたいというときには、いつでもシステムに相手の名前とその理由を入力して、ピアボーナスをあげることができるというものらしいです。1年間で払える人数や回数は決められているものの、何か助けてもらったり、お世話になったお礼としてあげるものらしいです。支払いには、マネジャーの承認が必要とのことですが、これは、マネージャーがピアボーナスを認知して、良いことをしたチームメンバーを褒め、あとで業績として認知される効果があるようです。メルカリでもピアボーナスの仕組みは存在するようです。

また、上記本の冒頭でも書かれていましたが、サイバーエージェント社の終身雇用制度も、心理的安定性に貢献しているらしいです。
日本の大企業の特徴である、年功序列、終身雇用は、時代遅れな面もある一方、社員の心理的安定性をもたらし、結果として企業全体の生産性を高めていたのかもしれませんね。さすがに、年功序列の仕組みを今更取り入れる企業は、ないと思いますが、年功序列でない新し形で、社員の心理的安定性をもたらす施策を実行するのが今の企業がしなければならないことでしょう。言うは易し行うは難しですが。

今回はここまで。

鈴木瑞人
株式会社パッパーレ
東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士課程
NPO法人Bizjapan テクノロジー部門 BizXチームリーダー

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