米シアトル市は、住宅の建築許可の申請に不備がないかを、出す前にAIの道具で確かめる試験をしました。過去の申請29件では、試験で調べた項目について、職員が見つけた不備の87%を道具も見つけました。審査中の申請57件では、道具の判定が審査員の最後の判断と91.7%一致しました。受付の期間が最大46日縮むという数字は、申請者が指摘を全部直し、受付の点検を全部自動にしたと仮定した見積もりです。道具はまだ本番では使っていません。
シアトル市では、住宅の値段と、家を建てる費用が上がり続けています。市は、建築許可の手続きを速くすることを、自分で動かせる手段のひとつと見ています。
建築許可の申請は、2つの段階で審査します。最初の「受付の点検」では、書類がそろっているかを見ます。次の「審査」では、設計が建築の規則に合っているかを見ます。どちらの段階でも、市が不備を戻し、申請者が直して出し直すことをくり返します。タウンハウスや一戸建てなど小さな住宅の申請では、真ん中の値で受付の点検を2.6回、審査を3.7回くり返し、1回にほぼ1か月かかります。
市の改善の担当部署と建築・検査局(SDCI)は、2025年3月から10月まで、シブチェック(CivCheck)という道具を試しました。本番ではない、区切った環境での試験です。試験の途中で、シブチェックはクラリティ(Clariti)というソフトウェアの会社に買われました。報告書のまとめは2026年6月に出ました。
シブチェックは、AIで申請の書類を読みます。図面のPDFなどから中身を取り出し、項目ごとのデータにまとめます。
そのデータで、書類がそろっているか、書き漏れがないか、設計が規則に合っているかを判定します。判定は、決めた規則どおりの計算で行い、AIに推し量らせていません。市は報告書で、この道具のAIの使い方は限られていると書いています。
判定の理由は画面で見え、職員は判定を上書きしたり、説明を足したりできます。
本番では、申請者が自分で道具に書類を入れて結果を見る形を考えています。ただ試験では、シブチェックの社員が過去の申請を道具に入れ、市の職員が結果を確かめました。職員約40人が使える状態になり、少なくとも14人が結果を確かめました。
試験の対象は、タウンハウス、一戸建て、離れの小さな住まいなどです。書類がそろっているかの項目を34個、規則に合うかの項目を67個、道具に入れました。
| 📊 試験 | 件数 | 結果 |
|---|---|---|
| 受付の点検(過去の申請) | 29件 | 職員が戻した理由90件のうち、35件は試験の対象外。対象の55件のうち48件(87%)を道具も見つけ、7件は見逃した |
| 受付の点検の食い違い | 4件 | 道具は測量の図が要ると指摘したが、職員は事情を見て免除していた |
| 審査(審査中の申請) | 57件・1,262項目 | 審査員の最後の判断との一致は91.7% |
| 審査の誤り | 同上 | 直すべきなのに合格とした割合6.4%、合格なのに不合格とした割合1.9% |
出典:シアトル市「CivCheck AI Pre-Screening Pilot Report」(2026)
市は、期間がどれだけ縮むかも見積もりました。下の表の「実際」は、道具を使っていない今の手続きの数字です。受付の2行では、「見積もりA」は試験と同じ項目だけを点検した場合、「見積もりB」は受付の点検を全部自動にした場合です。審査の2行では、見積もりAは用途地域と構造の審査を1回ずつ省けた場合、見積もりBは審査を1巡まるごと省けた場合です。どちらも、申請者が道具の指摘を全部直してから出すと仮定しています。
| 📊 真ん中の値・平均 | 実際 | 見積もりA | 見積もりB |
|---|---|---|---|
| 受付の点検を通るまでの日数 | 54.5日 | 29日 | 8日 |
| 受付の点検の回数(平均) | 2.55回 | 1.75回 | 1回 |
| 審査を通るまでの日数 | 161日 | 146日 | 117日 |
| 審査で直す回数 | 3.72回 | 3.39回 | 2.72回 |
出典:シアトル市「CivCheck AI Pre-Screening Pilot Report」(2026)
報告書の「最大46日」は、受付の点検の54.5日が8日になる見積もりBの差です。
試験に関わった職員14人の調査では、71%が試験の前よりAIに好意的になったと答えました。86%は道具の役に立つ点のどれかに賛成しました。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ 確認できていない点 |
|---|---|
| 受付の期間が最大46日縮む | 申請者が全部直し、受付の点検を全部自動にした場合の見積もりで、実際の申請では測っていない |
| 受付の点検の正確さは87%(市のブログ) | 報告書では「職員が見つけた不備のうち道具も見つけた割合」で、職員が見つけなかった不備は数えていない |
| 正確さは使うほど上がる | 試験の途中で調整した前と後の数字 |
| 職員の71%がAIに好意的になった | 答えたのは14人 |
| 申請者が自分で使う形にする | 申請者が実際に使った結果。外の20人は、AIが動かない見本で説明を受けただけ |
| 本番の試験を勧めた | 費用。会社が買われたあとの、市の新しい安全の審査とAIの審査の結果 |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:シアトル市の報告書(2026)・ブログ(2026-06-17)
市は、書類がそろっているかの点検だけに絞り、申請者が選んで使う本番の試験を勧めています。規則に合うかの点検は、効果を見積もりにくく、申請者の期待の扱いも難しいためです。市の2026年の予算には、AIの許可の道具に75万ドルが入っています。ただ、2026年7月1日の市の情報技術部の報告では、建築・検査局はまだ道具を入れておらず、いくつかの試験を比べているところです。
取引先から請求書や見積書を受け取り、書き漏れや添付の不足を戻している経理の担当者に関係します。シアトル市と同じく、AIには書類の読み取りだけをさせ、そろっているかの判定は決めた規則で行えます。
保育園や介護の施設の入所の申し込みを受け付ける役所や団体で、必要な書類が事情によって変わる場合は、どの事情でどの書類がいるかを先に決めておかないと、自動で判定できません。
結果を数えるときは、見逃した不備と、要らない指摘を分けると、どちらを減らすべきかが見えます。
87%と91.7%は、試験のチームが自動で判定できると考えた項目だけの数字です。職員が戻した理由90件のうち35件は、試験の対象の外でした。