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アルゼンチンのコルドバ州、行政サービスを支えるクラウドの障害をAIエージェントに見張らせ、試験の環境で原因探しから直すまでを試した

2026.10.26
アルゼンチンのコルドバ州、行政サービスを支えるクラウドの障害をAIエージェントに見張らせ、試験の環境で原因探しから直すまでを試した

アルゼンチンのコルドバ州は、行政サービスを支えるクラウドの障害を、AIエージェントに見張らせて直す仕組みを作りました。州の文書によると、開発と試験用の環境で、わざと起こした障害を使って試しています。見つけるまでの時間は、人のふだんの平均で最大45分だったものが、2分未満に縮みました。本番での数字はなく、比べた人の時間の測り方も、外の人による検証もありません。今の段階とAIがどこまで操作するかも、OECDの掲載ページと州の文書で書き方が違います。

この事例で分からないこと

  • 数字は、開発・試験用の環境でわざと起こした障害の試験のものです。件数は「25件超」(OECDの掲載ページ)と「28件」(州の図解)で、本番の数字はありません
  • 比べた人の時間は「ふだんの平均で最大45分」「2〜4時間」とだけ書かれていて、測り方がありません
  • OECDの掲載ページは「本番の第1段階で、読むだけの形」、州の文書は「本番に移す計画の初めの段階」と書いています。AIがどこまで操作するかも食い違い、外の人による検証はありません

何が起きたか

コルドバ州は、アルゼンチンの中部にあり、住民は約380万人です。州は、電子の身分証明「シウダダノ・デジタル(CiDi)」、ネットでの手続き、支払い、案内のサイトなどを住民に出しています。これらはアマゾンのクラウド(AWS)の上で動いています。

州の文書は、これまでの障害の対応に弱みがあったと書いています。担当者がいない時間は対応が遅れ、直し始めるのは障害の知らせが来てからで、記録は手作業で、遅れがちでした。

そこで、州の技術基盤の担当部署が、障害を見張って直すAIエージェントの仕組みを自分たちで作りました。この事例は、2026年9月21日にOECDのAIの政策のページに載りました。

AIの使い方

OECDの掲載ページによると、仕組みはAWSの上で動き、アマゾンのBedrockを通してアンソロピックのClaudeを使います。AIの処理は、州のクラウドの中で行います。

  • 見張り:Claude Sonnetが1分ごとにサイトの具合を見て、最初の分析をします。
  • 具合の点数:つながるか、ページの作り、中身が正しいか、エラー、外から読む部品の5つの面で点数をつけます。州の文書では、点数が75%を下回ると次に進みます。
  • 調べる:専門のエージェントに切り替わり、Claude Opusが原因を深く調べて報告を書きます。

専門のエージェントは、7つの段階で進みます。障害を見つけて記録を開き、ログを読んで原因を探し、直し方を決めます。そのあと実際に直し、直ったかを確かめ、報告を書き、関係者にメールで送って閉じます。どの段階も、その場で記録に残します。

AIがどこまで操作するかは、出典で書き方が違います。州の文書は、エージェントが決めた権限でサーバーや通信の設定を操作し、7つの段階の中で本物のコマンドを実行すると書いています。OECDの掲載ページは、今は読むだけの形で、AIは調べる手伝いに限ると書いています。次は危なさの低い操作だけを人の承認つきで行い、壊す操作はずっと禁じるという段取りです。危なさは5段階の表で分けます。

発表された数字

📊 仕事 人のふだんの時間 試験でのAI 出典
障害を見つける 最大45分 2分未満 州の文書
原因を調べる 約1時間 3分未満 州の文書
直し終える 2〜4時間(OECDは「数時間」) 20分未満 州の文書・OECD
人の手なしで解いた割合 ― 90%超 州の文書・OECD
試した障害の数 ― 25件超(図解は28件) OECD・州の図解

出典:OECD.AI「AI for resilient digital government services」(2026-09-21追加)、コルドバ州の文書、州の図解

数字は、開発と試験用の環境でわざと起こした障害を使って出したものです。OECDの掲載ページは、仕組みが66のAWSのアカウントで動くと書いています。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ 確認できていない点
見つけるまでが最大45分から2分未満になった 人の45分をいつ、どの障害で測ったか
人の手なしで90%超を解いた わざと起こした障害の中身と、うまくいかなかった件の中身
本番の第1段階に入った(OECD) 今どちらの段階か。州の文書は「本番に移す計画の初めの段階」と書いている
今は読むだけの形(OECD) AIが今どこまで操作しているか。州の文書は、本物のコマンドを実行して直すと書いている
66のAWSのアカウントで動く(OECD) 本番のアカウントで何件の障害を扱ったか
試験の数字(州の文書・OECD) 外の人が確かめた記録

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:OECD.AI(2026-09-21追加)、コルドバ州の文書(日付なし)、州の図解

州の文書は、本番に移すときは、大事な操作の前に専門の人が確かめる仕組みを作ると書いています。

誰に関係するか

客先のサーバーの見張りや夜間の障害の対応をしている運用の技術者なら、コルドバ州のように、AIエージェントにまず読むだけの権限を渡し、障害を見つけて原因を調べ、報告を書くところまでを任せられます。

社内の情報システムの担当者が少ない会社では、コルドバ州の7つの段階のように、エージェントが何をしたかを段階ごとにその場で記録させる形がとれます。担当者がいない夜の障害も、あとから流れを追えます。

効果を比べるなら、入れる前に、人が障害を見つけて直すまでの時間を、件ごとに記録しておく必要があります。

まとめ

AIが本番で直す操作まで行う段階は、OECDの掲載ページでも州の文書でも、まだ先です。試験で出た時間の短さが本番でも変わらないかを示す記録は、ありません。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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