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ライム、返事を文字にしてから話す電話向けの音声AIを公開、自社で測った試験でオープンAIとグーグルのすぐ答えるモデルを上回る

2026.11.02
ライム、返事を文字にしてから話す電話向けの音声AIを公開、自社で測った試験でオープンAIとグーグルのすぐ答えるモデルを上回る

米サンフランシスコの音声AIの新興企業ライム(Rime)は2026年10月28日、客の声を聞いて声で答えるAI「プリズム(Prism)」を公開しました。声の調子まで聞いて返事を決め、話す前にその返事を文字に書く作りです。ライムはこの文字を会社の決まりに照らして点検できると説明しています。ライムが自ら測った電話応対の試験では、すぐに答える種類のオープンAIとグーグルの音声モデルより17〜30ポイント高い成績でした。話す前に考える段を挟むオープンAIのGPT-Live-1など2つのモデルは、プリズムより高い点数でした。開発者向けの説明書には、アプリは話す前に返事の文字を変えられないとも書かれています。

この記事はライムのブログ、製品ページ、比較ページ、発表文、開発者向けの説明書(どれも2026年10月)にもとづきます。試験の数字はライムが自分で測ったもので、ほかの機関による確認はまだありません。

何が困っていたか

ライムの説明では、電話をAIに任せる仕組みには、これまで2つのやり方がありました。

1. 声を文字に起こし、文字で返事を考え、それを声にするやり方。返事の文字を前もって確かめられます。一方で、客がためらっている、怒っている、笑っているといった声の様子は、文字にした時点で消えます。2. 大手が作る、声を聞いて声で返すやり方。声の様子は残りますが、AIが何を言うかを前もって読めず、書き換えることもできません。

ライムは、AIが言うことを前もって確かめる決まりのある業界でも、プリズムなら使えると書いています。

何をしたか

プリズムは「聞く」「返事を文字に書く」「話しながら聞き続ける」の3つを1つのモデルでこなすように学習させています。返事は声を聞いた段階で決まり、文字は話す前に確かめるための場所です。ほかに、次のことができます。

1. 店や会社の実際の通話を使って、モデルを自分用に調整できます。ライムはこれを、声を聞いて声で返すモデルでは初めてだとしています。今はライムが客と一緒に調整を進める形で、客が自分で調整できる仕組みは一部の客と作っている途中です。2. 調べものが要るときは「確認します」のように一言つなぎ、裏で調べます。客が話にかぶせると、話をやめて答え直します。3. 返事ごとに文字が届くので、字幕や記録に使えます。

使える言葉は英語だけです。客と同時に話すことはできず、順番に話します。料金は毎月50ドル分まで無料で、その先は1分あたり0.08ドルです。

試した結果

測ったこと プリズム 比べたもの
📞 電話応対の試験の平均航空・小売・通信の客対応の電話を模して、用件を最後まで終えられた割合 56.6%
考える段を挟まない設定
オープンAIのGPT-Live-1は59.3%(考える段を挟む設定)
同じくオープンAIのGPT-Realtime-2.1 Highは45.7%(考える段を強めた設定)、グーグルのGemini 3.8 Liveは30.1%
📱 通信会社の電話だけの成績口座番号や電話番号を正しく扱う用件が多い 82.5% GPT-Live-1は45.6%
⏱️ 相手が話し終えてから話し始めるまで 0.57秒 GPT-Live-1は1.24秒(考える段を挟む設定)
🍽️ 取引先の実際の注文の電話レブモ(Revmo)の電話で約10時間分の通話を使って調整したもの 客の同意を得て注文を通せた割合94% レブモがそれまで使っていたオープンAIのモデルは57%
どのモデルかは書かれていない

数字はライムの発表文、製品ページ、オープンAIとの比較ページ(2026年10月)による。上の3行は、AIの性能を比べている会社アーティフィシャル・アナリシス(Artificial Analysis)の試験の仕組みを使って、ライムが自分で測った値。他社の値は同社の公開の表から取ったとライムは書いている。

成績がプリズムより高い2つのモデルは、話す前に考える段を挟んでいて、話し始めるまでに1.24〜1.35秒かかるとライムは書いています。この2つのうち表にあるのはGPT-Live-1で、もう1つは名前が書かれていません。

まだ確かめられていないこと

もとになったのは、開発したライム自身の資料です。同じ会社の資料の中でも、言っていることが合わない所があります。

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
アプリは、客が聞く前にすべての返事を決まりに照らして点検できる製品ページと発表文。開発者向けの説明書には「返事の文字は書かれる端から流れてくる。アプリは話す前にそれを変えられない」とある ⚠️ 話す前に止めたり書き換えたりできるのはどこまでか
自社のサーバーでも動かせる。電話にもそのまま使える製品ページと比較ページ。説明書に載っている接続先は米国東部の1か所だけで、電話の音声の形式は受け付けないので間をつなぐ仕組みが要るとも書かれている ⚠️ 自社のサーバーで動かす方法(見た説明書のページには書かれていない)
話し始めるまで約300ミリ秒(0.3秒)ブログの冒頭。同じブログの試験の結果は0.57秒 ⚠️ 約300ミリ秒をどの条件で測ったか
レブモの電話で、オープンAIのモデルより成績が上がった比較ページは同意を得た注文57%→94%、発表文は注文と受け取り方の確認68%→100%、無言の間のない通話66%→88%。比較ページの数字は、ライムが学習に使っていない同じ通話で両方を測ったもの ⚠️ 比べたモデルの名前と通話の数
⚠️ 二つの資料で数字と項目が違う理由
電話応対の試験で56.6%ライムが自ら測った値。10月31日に見たアーティフィシャル・アナリシスの音声対話の比較の一覧には、プリズムは載っていなかった ⚠️ アーティフィシャル・アナリシス自身が測っても同じ点数になるか
⚠️ 17〜30ポイント差をつけた相手のモデルの名前と点数

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、またはこちらで確認できていない点
説明は、ライムのブログ・製品ページ・比較ページ・発表文・開発者向け説明書(2026年10月)による。

誰に関係するか

電話の受付をAIに任せたい、クリニックや飲食店、ホテルに関係します。たとえば、整形外科の予約の電話で「料金の約束はしない」「最後に予約の日時を読み上げる」といった決まりを守らせたい場合です。そのとき、決まりを話す前に止められるのか、話したあとに記録で確かめるだけなのかで、使い方が変わります。ただしプリズムは今は英語だけで、日本語の電話には使えません。

AIの導入を提案する人なら、宣伝の言葉と開発者向けの説明書を並べて読み、できることを確かめる手順を提案に入れられます。プリズムでは、宣伝は「話す前に点検できる」と言い、説明書は「話す前に変えられない」と書いています。

まとめ

ライムは声の調子を聞いて返事を決め、話す前に文字に書く電話向けの音声AIを公開しました。自ら測った試験では、すぐに答えるオープンAIとグーグルのモデルより高い成績で、話し始めるのも速いとしています。ただ、話す前に返事をどこまで止めたり変えたりできるかは、宣伝と説明書で書き方が違います。数字はどれもライム自身が測ったもので、ほかの機関による確認はまだありません。

参考文献

  • Introducing Prism: the first composable speech-to-speech model(Lily Clifford、Rime、2026-10-28)https://www.rime.ai/resources/prism-first-speech-to-speech-for-enterprise
  • Prism | Speech-to-speech for enterprise conversations(Rime、製品ページ)https://www.rime.ai/prism
  • Prism vs. OpenAI GPT-Live-1(Rime、比較ページ)https://www.rime.ai/compare/prism-vs-gpt-live
  • Prism(Rime Docs、開発者向けの説明書)https://docs.rime.ai/docs/prism/overview
  • Build a voice agent(Rime Docs)https://docs.rime.ai/docs/voice-agents
  • Rime Launches Prism: The First Fine-Tunable Frontier Speech-to-Speech Model(PR Newswire、2026-10-28)https://www.prnewswire.com/news-releases/rime-launches-prism-the-first-fine-tunable-frontier-speech-to-speech-model-302922665.html

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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