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英国の刑務所・保護観察庁、面談の記録をAIで要約する道具を約1万1000人の職員に広げ、約11か月で160万回の面談に使った

2026.11.02
英国の刑務所・保護観察庁、面談の記録をAIで要約する道具を約1万1000人の職員に広げ、約11か月で160万回の面談に使った

英国の刑務所・保護観察庁は、保護観察官が面談のあとに書く記録を、AIで書き起こして要約する道具を作りました。名前は「ジャスティス・トランスクライブ(Justice Transcribe)」です。2026年3月までに全国の約1万1000人の職員に広げ、約11か月で160万回を超える面談に使いました。国の会計検査院が2026年10月14日に出した報告に書かれています。数字は庁と司法省が会計検査院に出したもので、会計検査院は自分で確かめていません。減った時間も庁の見積もりで、実際に測った数字はまだありません。

何が起きたか

刑務所・保護観察庁(HM Prison and Probation Service)は、イングランドとウェールズで、刑務所と保護観察を担当する国の役所です。保護観察官は、刑務所を出た人や、刑務所に入らずに社会の中で刑を受ける人と定期的に面談します。

面談は1年に約370万回あります。面談の記録は、周りの人の安全を守ることや、決められたことを守っているかを追うのに使います。これまで保護観察官は、手書きでメモを取るか、覚えておいて、あとで記録の仕組みに打ち込んでいました。書くのに時間がかかり、記録が不正確になるおそれもありました。

人手も足りていません。2026年6月末に、保護観察官の席の74%しか埋まっていませんでした。

道具の案は現場の保護観察官から出ました。AIで書き起こして要約できないかと考え、売られている道具を調べていました。

AIの使い方

庁と司法省は、道具を一から作りませんでした。政府のデジタルの部署が作っていた、会議を書き起こして要約する道具「ミニット(Minute)」を、保護観察向けに直しました。中では言語モデルが要約を書きます。

次のような所を直しました。

  • 保護観察の記録の型に合わせた要約のひな形を作った
  • 面談で出た国民保険の番号のような細かい情報も、要約に残るように指示の文を直した
  • 画面を簡単にし、Wi-Fiのない場所やオンラインの面談でも使えるようにした
  • 保存の前に、職員が要約を読み直して直すように促す表示を入れた

使い方は次の順です。保護観察官が面談の始めに録音を始め、終わりに止めます。道具が書き起こしと要約を作ります。保護観察官が要約を読み直して直し、全国の記録の仕組みに保存します。

録音は、書き起こしと要約ができたら消えます。書き起こしと要約の下書きは30日で消えます。正式な記録は職員が読み直して保存したものです。

発表された数字

📊 項目 数字
試験の人数(2025年5〜7月) 40人(最後の調査に答えたのは30人)
記録を書く時間(試験の職員の答え) 平均73%減り、読み直して直す5分に
面談で相手とよく向き合えたと答えた人 30人中25人
記録の中身がよくなったと答えた人 30人中29人
抜き取った最後の記録で不正確な所があった割合 20%(主に人や機関の名前の書き間違い)
全国に広げた職員(2026年2〜3月) 約1万1000人
使われた面談(2025年10月7日〜2026年9月14日) 160万回を超える
減った時間(庁の見積もり) 約26万6667時間
見込まれる費用(2025〜2028年度) 790万ポンド

出典:英国会計検査院「Productivity improvement: The Justice Transcribe AI‑enabled transcription tool」(2026-10-14)

試験では、なまりを聞き違えることや、男性と女性の声を取り違えることも報告されました。

庁は1年に約45万時間を減らせると見込んでいます。1回の面談で平均10分減り、1年の面談の70%で使うという前提の計算です。

公表された説明と、確かめられていないこと

会計検査院は、政府から独立して国のお金の使い方を調べる機関です。この報告は、庁と司法省の文書を読み、職員に話を聞いてまとめたものです。AIのモデルや指示の文、出力そのものは調べておらず、報告された結果を自分で確かめてはいないと書いています。そのうえで、まだ足りない所も書いています。

📢 公表されている説明 ⚠️ 確認できていない点
記録を書く時間が平均73%減った(試験の職員の答え) 時計で測った時間
約26万6667時間を減らした(庁の見積もり) 実際に減った時間
記録の中身がよくなった(30人中29人の答え) 書き起こしの正しさと、最後の記録の質を測った数字
職員は保存の前に要約を読み直す 読み直さずに保存している人がどれだけいるか
面談で相手とよく向き合える 面談の中身が変わったかを測った数字
数字は庁と司法省が報告したもの 庁と司法省の外の人による確かめ

凡例:📢=庁・司法省・職員が述べ、報告に書かれている説明 ⚠️=報告に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:英国会計検査院の報告(2026-10-14)。報告は、実際に減った時間のデータも、書き起こしの正しさを確かめる仕組みもまだないと書いています

庁と司法省は、2026年に全国での使い方の評価を始めました。書き起こし、AIの要約、最後の記録を見比べて、職員が間違いを直しているかを確かめる予定です。

誰に関係するか

役所の相談の窓口や学校の面談のように、話を聞いたあとで記録を書く仕事なら、録音して、AIに書き起こしと要約を作らせ、担当者が読み直して保存する、という順で進められます。

報告はほかの組織への教えとして、次の3つを挙げています。

  • 現場の職員の困りごとから始めた
  • すでにある道具を、自分たちの記録の型に合わせて直した
  • 保存の前に人が読み直すよう、道具の中で促した

一方で、減った時間を見積もりで終わらせず、実際に測ることが要るとも書いています。

まとめ

庁と司法省は、この道具を刑務所や裁判所の仕事にも広げることを考えています。2026年9月24日には入国と難民の審判所の全ての裁判官に使えるようにしたと発表しました。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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