英国イングランド・レスターシャー(Leicestershire)のマウントソレル採石場(Mountsorrel Quarry)で、建材大手ターマック(Tarmac)は、発破後の岩の大きさを測るAIツールを試しています。英国採石協会(Institute of Quarrying)のケース(2024年8月9日)と、AI開発会社ニュー・グラディエント(New Gradient)の事例ページで紹介されています。
発破後の岩の大きさの分布をドローン画像のAIで測り、予測モデルとコンベア監視で、破砕と運搬の無駄を減らします。
マウントソレルは、ターマックの主力の採石場です。生産量が大きいため、効率が少し上がるだけでも、二酸化炭素(CO2)とコストへの影響が大きくなります。新しい一次破砕プラントへの投資も、試験のきっかけでした。
プロジェクトは、英国採石協会のエメラルド・チャレンジ(Emerald Challenge)の助成を受けています。地盤工学のギアーズ(GEARS)とニュー・グラディエントが、ターマックと組んで進めました。ギアーズの調査前提では、英国の硬岩採石では、トンあたりおよそ2.5〜4キログラムのCO2が出ます。主な要因は、ディーゼルの積載・運搬と、エネルギーを多く使う処理プラントです。
ツールは三つあります。フラグマップ(FragMAP)は、ドローンで撮った発破山の画像から岩のかたまりの大きさを測り、機械学習で岩の境界を決めて、古い写真解析が影に頼っていた不確かさを減らす狙いです。ブラストフラグ(BlastFRAG)は、岩盤の地質と発破の設計から発破山の岩サイズを予測し、フラグマップの実測と比べて設計を近づけます。アッグカム(AggCAM)は、コンベア上の粒度をカメラ画像で継続監視し、ゴープロ(GoPro)級のカメラでも動くように作られてハード費用を抑える狙いです。
マウントソレルには、アッグカムの本格稼働プロトタイプが初めて入りました。ターマックのプロセス技術者オリバー・キブル(Oliver Kibble)氏は、クラウド上のアッグカムデータから一次処理の非効率を見つけ、積載・運搬の見直しにつなげました。発破山の表面しか測れないフラグマップを補うため、破砕の入口と出口でも粒度を見る、という流れです。
協会ケースの初期観察では、発破の質をフラグマップ、ブラストフラグ、アッグカムで把握すれば、硬岩採石のCO2を最大でおよそ13%減らせる可能性があります。ダンプの積載は最大でおよそ10%増え、プラントの出力は最大でおよそ15%増える可能性があります。背景研究では、生産コストをトンあたりおよそ1ポンド(約190円。記事時点の目安換算)まで下げられる可能性もあります。データ収集と最適化はまだ初期段階です。
ニュー・グラディエントの事例ページは、別の数字を出しています。採石・発破最適化のページでは、CO2を21%減、コストを6%減、二次破砕を25%減、破砕のエネルギーを18%減、と書いています。プロセス最適化(アッグカム系)のページでは、見えないダウンタイムが稼働時間の5〜10%あることを特定し、ダウンタイムを8%減らし、仕様内の製品を15%増やした、としています。こうした非効率は、年間最大で約3,800万円(記事時点の目安換算)かかっていました。協会ケースは初期段階の可能性として最大約13%などを置き、ベンダーページは21%や25%などを置いています。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| エメラルド・チャレンジ助成。ギアーズ+ニュー・グラディエント+ターマック・マウントソレル(協会ケース 2024-08) | 助成額、試験期間の終了日 |
| 英硬岩採石のCO2は約2.5〜4 kg/t(ギアーズ調査の前提) | マウントソレル単体のベースライン実測表 |
| フラグマップ:ドローン画像で発破山の岩サイズをAI計測。境界を機械学習で定義 | 境界誤差、過大塊・微粉の独立試験 |
| ブラストフラグ:地質と発破設計から岩サイズを予測し、実測と比較 | 予測誤差、設計変更の回数と効果の監査 |
| アッグカム:コンベア粒度をAI監視。ゴープロ級の想定。マウントソレルに初の本格稼働プロトタイプ。キブル氏が非効率を特定→積載・運搬最適化(協会ケース) | 積載・運搬変更の前後KPI表 |
| 協会ケース初期観察:CO2最大約13%減の可能性。ダンプ最大約10%増、プラント出力最大約15%増。コスト最大約190円/t級の可能性。初期段階と明記 | 実測の確定値、第三者監査 |
| ベンダー(採石・発破最適化ページ):CO2 21%減、コスト6%減、二次破砕25%減、破砕エネルギー18%減 | 協会ケース初期観察との対応関係、測定条件 |
| ベンダー(アッグカム系):見えないダウンタイム5〜10%を特定、8%減、仕様内品15%増、非効率最大約3,800万円/年 | 対象期間、マウントソレル以外を含むか |
鉱山以外でも、上流のばらつきが下流のエネルギーと手戻りを増やす現場に近いです。スクラップ金属の破砕前サイズ管理、木材チップのふるい前監視、コンクリート二次製品の原料投入など、入口の粒度を画像で見て、破砕や選別の設定を合わせる使い方が考えられます。
発破のあと・破砕の入口出口で粒度を見比べ、積載と破砕の設定を合わせます。協会ケースは初期段階の可能性として最大約13%などの数字を置き、ベンダーページは21%や25%などを置いています。