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英国の採石場。発破の岩サイズをドローン画像AIで測り、破砕を合わせる

2026.09.16
英国の採石場。発破の岩サイズをドローン画像AIで測り、破砕を合わせる

英国イングランド・レスターシャー(Leicestershire)のマウントソレル採石場(Mountsorrel Quarry)で、建材大手ターマック(Tarmac)は、発破後の岩の大きさを測るAIツールを試しています。英国採石協会(Institute of Quarrying)のケース(2024年8月9日)と、AI開発会社ニュー・グラディエント(New Gradient)の事例ページで紹介されています。

発破後の岩の大きさの分布をドローン画像のAIで測り、予測モデルとコンベア監視で、破砕と運搬の無駄を減らします。

何が起きたか

マウントソレルは、ターマックの主力の採石場です。生産量が大きいため、効率が少し上がるだけでも、二酸化炭素(CO2)とコストへの影響が大きくなります。新しい一次破砕プラントへの投資も、試験のきっかけでした。

プロジェクトは、英国採石協会のエメラルド・チャレンジ(Emerald Challenge)の助成を受けています。地盤工学のギアーズ(GEARS)とニュー・グラディエントが、ターマックと組んで進めました。ギアーズの調査前提では、英国の硬岩採石では、トンあたりおよそ2.5〜4キログラムのCO2が出ます。主な要因は、ディーゼルの積載・運搬と、エネルギーを多く使う処理プラントです。

ツールは三つあります。フラグマップ(FragMAP)は、ドローンで撮った発破山の画像から岩のかたまりの大きさを測り、機械学習で岩の境界を決めて、古い写真解析が影に頼っていた不確かさを減らす狙いです。ブラストフラグ(BlastFRAG)は、岩盤の地質と発破の設計から発破山の岩サイズを予測し、フラグマップの実測と比べて設計を近づけます。アッグカム(AggCAM)は、コンベア上の粒度をカメラ画像で継続監視し、ゴープロ(GoPro)級のカメラでも動くように作られてハード費用を抑える狙いです。

マウントソレルには、アッグカムの本格稼働プロトタイプが初めて入りました。ターマックのプロセス技術者オリバー・キブル(Oliver Kibble)氏は、クラウド上のアッグカムデータから一次処理の非効率を見つけ、積載・運搬の見直しにつなげました。発破山の表面しか測れないフラグマップを補うため、破砕の入口と出口でも粒度を見る、という流れです。

協会ケースの初期観察では、発破の質をフラグマップ、ブラストフラグ、アッグカムで把握すれば、硬岩採石のCO2を最大でおよそ13%減らせる可能性があります。ダンプの積載は最大でおよそ10%増え、プラントの出力は最大でおよそ15%増える可能性があります。背景研究では、生産コストをトンあたりおよそ1ポンド(約190円。記事時点の目安換算)まで下げられる可能性もあります。データ収集と最適化はまだ初期段階です。

ニュー・グラディエントの事例ページは、別の数字を出しています。採石・発破最適化のページでは、CO2を21%減、コストを6%減、二次破砕を25%減、破砕のエネルギーを18%減、と書いています。プロセス最適化(アッグカム系)のページでは、見えないダウンタイムが稼働時間の5〜10%あることを特定し、ダウンタイムを8%減らし、仕様内の製品を15%増やした、としています。こうした非効率は、年間最大で約3,800万円(記事時点の目安換算)かかっていました。協会ケースは初期段階の可能性として最大約13%などを置き、ベンダーページは21%や25%などを置いています。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
エメラルド・チャレンジ助成。ギアーズ+ニュー・グラディエント+ターマック・マウントソレル(協会ケース 2024-08) 助成額、試験期間の終了日
英硬岩採石のCO2は約2.5〜4 kg/t(ギアーズ調査の前提) マウントソレル単体のベースライン実測表
フラグマップ:ドローン画像で発破山の岩サイズをAI計測。境界を機械学習で定義 境界誤差、過大塊・微粉の独立試験
ブラストフラグ:地質と発破設計から岩サイズを予測し、実測と比較 予測誤差、設計変更の回数と効果の監査
アッグカム:コンベア粒度をAI監視。ゴープロ級の想定。マウントソレルに初の本格稼働プロトタイプ。キブル氏が非効率を特定→積載・運搬最適化(協会ケース) 積載・運搬変更の前後KPI表
協会ケース初期観察:CO2最大約13%減の可能性。ダンプ最大約10%増、プラント出力最大約15%増。コスト最大約190円/t級の可能性。初期段階と明記 実測の確定値、第三者監査
ベンダー(採石・発破最適化ページ):CO2 21%減、コスト6%減、二次破砕25%減、破砕エネルギー18%減 協会ケース初期観察との対応関係、測定条件
ベンダー(アッグカム系):見えないダウンタイム5〜10%を特定、8%減、仕様内品15%増、非効率最大約3,800万円/年 対象期間、マウントソレル以外を含むか

誰に関係するか

鉱山以外でも、上流のばらつきが下流のエネルギーと手戻りを増やす現場に近いです。スクラップ金属の破砕前サイズ管理、木材チップのふるい前監視、コンクリート二次製品の原料投入など、入口の粒度を画像で見て、破砕や選別の設定を合わせる使い方が考えられます。

まとめ

発破のあと・破砕の入口出口で粒度を見比べ、積載と破砕の設定を合わせます。協会ケースは初期段階の可能性として最大約13%などの数字を置き、ベンダーページは21%や25%などを置いています。

参考文献

  • Case Study: Blasting Down CO² at Mountsorrel Quarry(Institute of Quarrying)、https://www.quarrying.org/iq-news/blasting-down-co2 、確認日 2026-09-16
  • AI-Driven Blast Optimisation for Quarry Operations(New Gradient)、https://www.newgradient.com/cases/quarrying-ai 、確認日 2026-09-16
  • Computer Vision Optimises Quarry Aggregate Production(New Gradient)、https://www.newgradient.com/cases/ai-process-optimisation 、確認日 2026-09-16

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)