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米国のバイオプティック、薬の競合を洗い出すAIを投資ファンドの過去の調査メモで測り、専門家が挙げた競合の83%を見つけた

2026.10.23
米国のバイオプティック、薬の競合を洗い出すAIを投資ファンドの過去の調査メモで測り、専門家が挙げた競合の83%を見つけた

米国のバイオプティック(Bioptic.io)は、薬の競合を洗い出すAIを作り、投資ファンドの過去の調査メモで測りました。論文によると、メモで取り上げた時期が新しい50の病気で、このAIは専門家が挙げていた競合の薬のうち83%を見つけました。同じ50の病気を OpenAI のディープリサーチ(Deep Research)で調べると、65%でした。ただし、正解にした専門家の一覧には漏れもあり、主観も入ります。論文の書き手は、AIを開発したバイオプティックの人たちが中心です。

何が起きたか

薬の開発会社に投資したり、薬の権利を買ったりする前には、調べもの(デューデリジェンス)をします。最初にするのは、その薬が狙う病気で競合する薬を、すべて挙げることです。

この作業に要る情報は、有料のデータベース、臨床試験の登録、論文、会社の発表に散らばっています。同じ薬が開発中の番号や国ごとの商品名など、いくつもの名前で出てきます。何を競合とみなすかも投資家によって違います。そのため今も、専門家が手で調べ、表計算ソフトにまとめることが多い、と論文は書いています。

AIの使い方

まず正解集を作りました。非公開のバイオ投資ファンドが2019〜2025年に書いた調査メモ73本をAIに読ませ、病気ごとの競合の薬の一覧にしました。メモを読み取るAIは、指示文を作るときに使わなかった10本のメモで、書き手が挙げた薬・病気・競合の組み合わせをすべて抜き出せました。整理すると105の病気になり、新しい順に50を試験用、次の50を調整用にしました。

競合を探すAIは次の手順をくり返します。

  1. それまでの結果を見て、足りない所を考えます
  2. 検索の言葉を決めて、ウェブを調べます
  3. 見つかった薬を一覧に足します

同じ探し方を3つ並べて動かし、結果を合わせます。そのあと、別のAI(判定役)が、臨床試験や承認の記録をウェブで調べ、「本当にこの病気の競合か」を判定して誤りを外します。判定役の指示文は、メモの書き手が正誤を付けた例を使って直しました。

結果

📊 時期が新しい50の病気 専門家が挙げた競合のうち見つけた割合
バイオプティックのAI 83%
OpenAI のディープリサーチ 65%
パープレキシティ・ラボ(Perplexity Labs) 60%
gpt-4o(ウェブ検索つき) 56%

出典:論文の表2。判定役が誤りと判定した薬を外したあとの割合。ディープリサーチとパープレキシティ・ラボは、公開の画面から手で実行した。

専門家が正誤を付けた試験用の例で測ると、判定役は本当の競合のうち85.7%を競合だとしました。競合だとした薬のうち、正しかったのは90.4%です。

実際の仕事では、アナリストが画面で一覧を見直す形で使っています。1つのファンドの事例では、アナリストが1つの薬の競合を調べる時間が約2.5日から約3時間になった、と論文は書いています。専門家の一覧になかった薬も見つかり、アナリストは、それらが正しい競合で判断に役立つと確かめました。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
専門家が挙げた競合の83%を見つけた 正解の一覧には漏れもあり、主観が入る(論文自身の説明)。薬の別名を同じ薬とみなすかの判定も言語モデルが行う
調べる時間が約2.5日から約3時間 何件をどう測ったか(1つのファンドの事例で、測り方は書かれていない)
一覧になかった薬も見つけた その件数と、誤りだった件数
判定役で誤りを外し、正しさを保つ AIが挙げた薬のうち正しかった割合(表2には出ていない)
開発した会社の人が中心の論文 外の人による確かめ

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:Vinogradov ほか、AAAI-26 の論文(2026年)

誰に関係するか

小さな特許事務所や調査会社、メーカーの新規事業の担当で、ある製品や技術の競合を一覧にまとめている人なら、この進め方が使えます。過去に人が作った調査レポートを正解集にすれば、AIの調べものが人の挙げた項目のうち何割を見つけたかを数えられます。新しいものほど大事なら、新しい順に50件ほどを試験用に取っておきます。AIには検索と見直しをくり返させ、当てはまらない候補は別のAIに判定させて外します。最後は人が結果を確かめ、もとの一覧になかった候補が正しいかも数えます。

まとめ

AIに任せたのは、競合の候補集めと、誤りの除外までです。83%からは、AIが実際に挙げた薬のうち何割が正しかったかは分かりません。判定役の「90.4%」は、試験用の例で測った数字です。約2.5日が約3時間になったのは1つのファンドでのことで、何件をどう測ったかの説明もありません。

参考文献

  • Vlad Vinogradov、Alisa Vinogradova、Dmitrii Radkevich、Ilya Yasny、Dmitry Kobyzev、Ivan Izmailov、Katsiaryna Yanchanka、Andrey Doronichev「LLM-Based Agents for Competitive Landscape Mapping in Drug Asset Due Diligence」Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence 40(47), 40118–40127、2026-03-14、https://ojs.aaai.org/index.php/AAAI/article/view/41447 (doi:10.1609/aaai.v40i47.41447)、確認日 2026-10-23

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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