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韓国のヌリメディア、論文PDFから著者名や参考文献を手で写す作業を、ページの配置を読み取るAIに替えた

2026.10.23
韓国のヌリメディア、論文PDFから著者名や参考文献を手で写す作業を、ページの配置を読み取るAIに替えた

韓国の論文サイトを運営するヌリメディア(Nurimedia)は2025年1月、論文PDFから著者名や参考文献を手で写す作業を、ページの配置を読み取るAIに替えました。AIを作った会社と大学の論文は、精度が97%を超えたとしています。ただし、何を正解にしてどう測ったかは書かれていません。

この事例で分からないこと

  • 「精度97%」は、何を正解として、どの書類で測ったのか(人が手で写したときとの比べもない)
  • 費用や時間の数字の実際(「1ページ40秒」などの仮定から計算した数字で、手作業を測ってはいない)
  • 外の人による確かめ(書いたのはAIを作った会社と大学で、ヌリメディア自身の発表はない)

何が起きたか

ヌリメディアは韓国最大の論文サイト「ディービーピア(DBpia)」を運営しています。約1138の学術誌、89万本を超える論文を載せ、毎月1万本を超える論文が加わります。大学や公的機関など1100を超える機関が契約しています。

著者で探す、関係する論文をすすめる、といった機能には、論文ごとの題名・著者名・要旨・参考文献のデータが要ります。以前は職員が論文のPDFを1本ずつ開き、項目を写し、参考文献を打ち直していました。管理者の一人は、12ページで表が3つ、図が2つ、参考文献が25本ある論文だと、20分以上かかることもあったと話しています。

市販の文字読み取り(OCR)と言語モデルの道具も使いました。しかし、図や表のあるページでは読む順番が崩れ、図の説明文の取り違えも起きました。費用が手作業より高くつくこともありました。

AIの使い方

ヌリメディアは韓国の新興企業オールビッグダット(ALLBIGDAT)と慶熙(キョンヒ)大学の研究者が作った「データラックス(DATALUX)」を入れました。ページの画像から部分を見つける方式(DINO)に、文字読み取りで得た文字の情報を合わせ、どこが題名で、どこが参考文献かを見分けます。論文がサイトに届くと、見分けた結果をデータにして、データベースと検索、言語モデルの機能に渡します。

  • 学ばせ方: 公開の見本で基本を覚えさせたあと、ヌリメディアの論文約700本に、題名・著者・図・表・参考文献など20種類の印を手で付けた見本(6万2137か所)で学ばせました
  • 動かす場所: 両社の技術者が社内の機械で動かしています
  • 学ばせ直し: 毎月学ばせ直しても成績が変わらなかったため、新しい書式の論文が出たときだけ学ばせ直すことにしました

発表された数字

📄 論文が書く数字 中身
精度 97%超
手で付ける作業 95%減
過去の論文約30万本の費用 手作業の見込み約8300万円(55万4000ドル)→ 約345万円(2万3000ドル)、24分の1
作業の速さ 1年の作業が6週間(52週÷6週で8.7倍)
手作業の費用の前提 1ページ40秒・1論文8ページ・時給約3000円(19.93ドル)と仮定し、1本約280円(1.85ドル)

出典:論文の「Business Implications」。1ドル150円で換算。

見本のうち試験に取っておいた分では、もとの DINO より、正しく見分けた度合い(mAP)が約2.1%上がりました。これは仕組みどうしの比べで、仕事の成果の数字ではありません。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
精度は97%を超える 何を正解として、どの書類で測ったか。手で写したときの誤りとの比べ
費用は24分の1 手作業の実際の費用(「1ページ40秒」などの仮定から計算)
1年の作業が6週間 何をどう測ったか(52週を6週で割った数字)
職員は繰り返しの入力から離れた 職員の時間の実際の変化
開発した会社と大学の論文 ヌリメディア自身の発表。外の人による確かめ

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:Kim ほか、AAAI-26 の論文(2026年)

誰に関係するか

申込書や報告書、カタログなどのPDFから、項目を社内のデータベースや表計算ソフトに手で写している事務の仕事なら、次のように進められます。写す項目の種類を先に決め、過去の書類で「どこがどの項目か」に印を付けた見本を作ります。見た目と文字の両方を見るAIに見分けさせ、人が確かめてから入れます。始める前に、手で写したときの1件の時間と誤りを実際に測っておくと、あとで比べられます。学ばせ直しは、毎月ではなく新しい書式が出たときだけにします。

まとめ

AIの仕事は、ページの各部分が題名か、図か、参考文献かを見分けることです。そのために、ヌリメディアの論文約700本に人が手で印を付け、見本にしました。精度も費用も開発した側の論文の数字で、手作業の時間と誤りを実際に測った数字はありません。

参考文献

  • Min Chan Kim、Yeonkyung Kim、Jae Won Lee、Ki Hwan Kim、Ji Woo Kwak、Jae Hong Park「Layout-Aware Document Parsing with Visual-Linguistic Fusion: The DATALUX with Academic Content Service Provider」Proceedings of the AAAI Conference on Artificial Intelligence 40(47), 40035–40044、2026-03-14、https://ojs.aaai.org/index.php/AAAI/article/view/41438 (doi:10.1609/aaai.v40i47.41438)、確認日 2026-10-23

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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