イタリアの農業向け技術会社、アフラボックス(Aflabox)は、トウモロコシなどの穀物に混じるアフラトキシンを、持ち運べるスキャナでその場で見る装置を出しています。仕組みは、紫外線と白色光で撮った画像を、現地向けに調整した機械学習モデルで読むことです。資金調達の発表(FinSMEs、EU-Startups、2026年8月)では、国連世界食糧計画(WFP)向けにケニアで20台を渡したこと、ナイロビに地域の拠点があることが書かれています。ケニア側の窓口はアフラゼロ(Aflazero)です。展示の様子はKBC(2026年4月15日)の取材でも報じられています。
実験室の化学検査だけに頼っていた確認を、光と学習モデルの携帯スキャナによる現場スクリーニング(その場での一次チェック)に移し、買い付けや保管の判断を早めます。
アフラトキシンはカビが作る毒素で、トウモロコシなど主食の安全と輸出に関わります。アフラボックスは2024年7月創業で、共同創業者で社長のルカ・アリノヴィ(Luca Alinovi)博士、共同創業者にファブリツィオ・カルディロ(Fabrizio Cardillo)氏がいます。本社はイタリアのサッスオーロ(Sassuolo)です。
従来の検査は、専用ラボや卓上装置、有資格者、数時間から数日かかることが多く、農村や集荷点では判断が遅れやすい、というのが会社の見立てです。
アフラボックスの装置は、サンプルを入れると紫外線画像と白色光画像を取り、機械学習で結果を出します。資金調達記事では結果は90秒未満とされ、KBCの展示取材ではアリノヴィ氏が、操作はボタンが中心で、おおよそ30秒から60秒で汚染の有無が出る、と話しています。ケニアの法定上限は、同記事の説明では10 ppb(10億分の10)です。
各スキャンは位置情報付きの記録になり、品質や汚染リスクの地図にも使います。利用者の想定は、農家、集荷・仲買、加工・輸出、行政や国際機関などです。シード調達(創業初期の資金調達)は135万ユーロ(約2.2億円前後。記事時点の目安換算)で、フードシード(FoodSeed。イータブル・アドベンチャーズ=Eatable Adventuresが運営)とファーミング・フューチャー(Farming Future)などが参加しました。資金の使い道には、認証、小型製造拠点、AIの強化、イタリア・ケニア・ナイジェリアでの販路拡大が挙がっています。
ケニアでは、2026年4月頃にナイロビのサリット・エキスポセンター(Sarit Expo Centre)で開かれた穀物製粉業者協会(CMA)の技術会議で展示されました。CMAの社長パロマ・フェルナンデス(Paloma Fernandes)氏は、製粉、農場、集荷のいずれでも使える可能性に触れていました。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 紫外線と白色光の画像+現地向け機械学習でアフラトキシン等を検知(会社説明) | 感度・特異度、ラボ法との一致率の独立試験 |
| 結果は90秒未満(資金調達記事)。取材では約30〜60秒とも | 実地での中央値・失敗率 |
| WFPケニアへ20台供給済み(資金調達時の会社説明) | WFP公式の導入効果レポート |
| ナイロビ拠点。アフラゼロが現地代表 | 稼働台数の最新内訳、有料契約数 |
| スキャンが位置付きデータになりリスク地図に使う | 地図の公開範囲、精度の第三者評価 |
| シード調達135万ユーロ。認証・製造・販路に充当予定 | 認証の完了日、量産単価 |
| ケニア法定上限10 ppb(KBC記事内の説明) | 装置の定量下限と公定法の対応表 |
乳業の受乳、飼料原料の受け入れ、乾物のロット判定などでも、光と学習モデルの携帯測定で一次スクリーニングし、怪しいロットだけラボへ回す使い方が考えられます。穀物の集荷や製粉・輸出でも、正式なラボ結果の前に仕分けだけ先に進めたい場面や、多拠点の原料リスクを地図で見たい場面に当てはめられます。
ラボ待ちの前に光と学習モデルで一次仕分けし、買い付けと保管の判断を前倒しします。90秒未満やWFPへの20台は、資金調達時の会社説明です。