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オーストラリアの有機ワイナリー。空中の胞子を顕微鏡とAIで数え、散布を決める

2026.09.18
オーストラリアの有機ワイナリー。空中の胞子を顕微鏡とAIで数え、散布を決める

オーストラリアのタンバレイン・オーガニック・ワインズ(Tamburlaine Organic Wines)は、畑の空気中に漂う病原菌の胞子を調べる装置バイオスカウト(BioScout)を入れています。自社ブログ(2026年2月6日)によると、12か月の試験のあと、ハンターバレー(Hunter Valley)とオレンジ(Orange)の畑へ合わせて3台まで増やしました。

葉に病斑が見える前に、空中の胞子を顕微鏡の画像とAIで数え、有機栽培での散布のタイミングを絞ります。

何が起きたか

タンバレインは、オーストラリア最大の独立系有機ワイン生産者と自社で説明しています。バイオスカウト側から12か月の試験提案を受け、結果を見て本導入に進みました。

装置は、風見鶏(かざみどり)で常に風上を向く形で空気を吸い、胞子をカートリッジに集めます。集めた粒子をその場の顕微鏡で撮り、画像をクラウドへ送り、AIが読みます。胞子の種類と、平方メートルあたりの数(ブログ表記。square meter)を出し、リスクの予測にも使います。現場では信号機のような表示で見ます。緑は低リスク、黄は注意、赤はすぐ対応、という分け方です。

主に見るのは、うどんこ病とべと病です。加えて、ユティパ(Eutypa)やボトリオスフェリア(Botryosphaeria)にも触れます。目に見える症状の前に動けるので、予防の散布を減らし、水や資材の使い方を抑えられる、と自社は説明します。散布回数や収量の前後比較の数字は、このブログにはありません。

クラウディ・ベイ(Cloudy Bay)が同じ仕組みを3〜4年使っており、気候の違う畑での読み方をやり取りしている、とタンバレインは書いています。この点はタンバレイン側の記述です。

なお、バイオスカウトの別ケース(ニュージーランド・マールボロ(Marlborough)の匿名畑、ベンダー公開)では、べと病の散布を6回から3回へ減らし(50%減)、散布関連コストは約40%減、2季合計で隣接畑より1ヘクタールあたり731.52NZドル(約6.5万円前後。記事時点の目安換算)安かった、とベンダーは示しています。これはタンバレインの畑の数字ではありません。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
12か月試験後、ハンターバレーとオレンジで計3台(自社ブログ) 試験中の散布回数・発病率の生データ
吸引→顕微鏡→クラウドAIで胞子数/m²(平方メートルあたり。ブログ表記)とリスク予測 機種ごとの検出下限、誤分類率の独立試験
信号機表示。主対象はうどんこ病・べと病 赤表示から散布までの社内手順の公開
見える症状の前に対応し、予防散布を抑えられる(自社説明) タンバレイン固有の散布回数・コストの前後比
クラウディ・ベイが3〜4年利用、知見交換(タンバレイン側の記述) クラウディ・ベイ公式の一次確認
マールボロ匿名畑で散布50%減・コスト約40%減(バイオスカウトのケース) タンバレインへの外挿。ベンダー自己報告の監査

誰に関係するか

リンゴやイチゴのうどんこ病、ホップや野菜の空気伝染病害など、カレンダー散布になりがちな栽培でも使えます。空気を定期的に採取して画像で数え、リスクが高い日だけ散布や見回りを厚くする使い方が考えられます。食品工場のアレルギーの原因になる物質(アレルゲン)監視や、きのこ栽培の空気中の胞子の多さ(胞子負荷)でも、空気を採取して画像で数え、多い日だけ対応を厚くする使い方が考えられます。

まとめ

風上の空気を吸い顕微鏡で撮り、クラウドのAIで胞子を数えて信号機表示にし、見える症状の前に散布や見回りを決めます。3台への拡大はタンバレインの自社発表です。散布50%減などの数字は、別の畑のベンダーケースであり、このワイナリーの実測ではありません。

参考文献

  • Embracing Innovation: How BioScout is Revolutionising Disease Management at Tamburlaine Organic Wines(Tamburlaine)、https://tamburlaine.com.au/blogs/on-the-grapevine/embracing-innovation-how-bioscout-is-revolutionising-disease-management-at-tamburlaine-organic-wines 、確認日 2026-09-18
  • BioScout(製品サイト)、https://www.bioscout.com.au/ 、確認日 2026-09-18
  • Case Study: Cutting Sprays, Cutting Costs(BioScout・Marlborough匿名畑)、https://www.bioscout.com.au/case-study/cutting-sprays-cutting-costs 、確認日 2026-09-18

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)