オーストラリアのタンバレイン・オーガニック・ワインズ(Tamburlaine Organic Wines)は、畑の空気中に漂う病原菌の胞子を調べる装置バイオスカウト(BioScout)を入れています。自社ブログ(2026年2月6日)によると、12か月の試験のあと、ハンターバレー(Hunter Valley)とオレンジ(Orange)の畑へ合わせて3台まで増やしました。
葉に病斑が見える前に、空中の胞子を顕微鏡の画像とAIで数え、有機栽培での散布のタイミングを絞ります。
タンバレインは、オーストラリア最大の独立系有機ワイン生産者と自社で説明しています。バイオスカウト側から12か月の試験提案を受け、結果を見て本導入に進みました。
装置は、風見鶏(かざみどり)で常に風上を向く形で空気を吸い、胞子をカートリッジに集めます。集めた粒子をその場の顕微鏡で撮り、画像をクラウドへ送り、AIが読みます。胞子の種類と、平方メートルあたりの数(ブログ表記。square meter)を出し、リスクの予測にも使います。現場では信号機のような表示で見ます。緑は低リスク、黄は注意、赤はすぐ対応、という分け方です。
主に見るのは、うどんこ病とべと病です。加えて、ユティパ(Eutypa)やボトリオスフェリア(Botryosphaeria)にも触れます。目に見える症状の前に動けるので、予防の散布を減らし、水や資材の使い方を抑えられる、と自社は説明します。散布回数や収量の前後比較の数字は、このブログにはありません。
クラウディ・ベイ(Cloudy Bay)が同じ仕組みを3〜4年使っており、気候の違う畑での読み方をやり取りしている、とタンバレインは書いています。この点はタンバレイン側の記述です。
なお、バイオスカウトの別ケース(ニュージーランド・マールボロ(Marlborough)の匿名畑、ベンダー公開)では、べと病の散布を6回から3回へ減らし(50%減)、散布関連コストは約40%減、2季合計で隣接畑より1ヘクタールあたり731.52NZドル(約6.5万円前後。記事時点の目安換算)安かった、とベンダーは示しています。これはタンバレインの畑の数字ではありません。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 12か月試験後、ハンターバレーとオレンジで計3台(自社ブログ) | 試験中の散布回数・発病率の生データ |
| 吸引→顕微鏡→クラウドAIで胞子数/m²(平方メートルあたり。ブログ表記)とリスク予測 | 機種ごとの検出下限、誤分類率の独立試験 |
| 信号機表示。主対象はうどんこ病・べと病 | 赤表示から散布までの社内手順の公開 |
| 見える症状の前に対応し、予防散布を抑えられる(自社説明) | タンバレイン固有の散布回数・コストの前後比 |
| クラウディ・ベイが3〜4年利用、知見交換(タンバレイン側の記述) | クラウディ・ベイ公式の一次確認 |
| マールボロ匿名畑で散布50%減・コスト約40%減(バイオスカウトのケース) | タンバレインへの外挿。ベンダー自己報告の監査 |
リンゴやイチゴのうどんこ病、ホップや野菜の空気伝染病害など、カレンダー散布になりがちな栽培でも使えます。空気を定期的に採取して画像で数え、リスクが高い日だけ散布や見回りを厚くする使い方が考えられます。食品工場のアレルギーの原因になる物質(アレルゲン)監視や、きのこ栽培の空気中の胞子の多さ(胞子負荷)でも、空気を採取して画像で数え、多い日だけ対応を厚くする使い方が考えられます。
風上の空気を吸い顕微鏡で撮り、クラウドのAIで胞子を数えて信号機表示にし、見える症状の前に散布や見回りを決めます。3台への拡大はタンバレインの自社発表です。散布50%減などの数字は、別の畑のベンダーケースであり、このワイナリーの実測ではありません。