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デンマークの機械工場。列車の自転車ホルダー溶接を、AIビジョンが溶接コーディネーター判定に近づけて見る

2026.09.22
デンマークの機械工場。列車の自転車ホルダー溶接を、AIビジョンが溶接コーディネーター判定に近づけて見る

デンマーク・ビボーのヨハネス・ペデルセン・マスクインファブリク(Johannes Pedersen Maskinfabrik)は、ディープビス(Deepvis)のAIビジョンで、列車用自転車ホルダーの溶接を見ています。製造業アカデミーのメイド(MADE)とデンマーク産業連盟のDI Produktionが紹介しています。

溶接の見た目検査が人手のままでは、受注が増えるほど追いつきません。ディープビスのカメラが溶接面の写真を撮り、溶接コーディネーター(溶接の品質をまとめる担当)と同じ判定に近づけます。検査の詰まり(ボトルネック)を減らし、より大きな受注を取れる、と購買担当のファルコ・チューセン(Falko Thuesen)氏は話します。

何が起きたか

ヨハネス・ペデルセンは1975年創業で、本社はビボーにあります。自動車向けのボディ部品、排気、タンク(クラシックカー向けを含む)と、列車産業向け部品を作ります。Sトウ(S-tog。デンマークの通勤列車)などの自転車ホルダーもそのひとつです。会社はジェイピー・グループ・ホールディング(JP Group Holding)傘下で、加工と組立の拠点を持ちます。

溶接の確認は人手です。自転車ホルダー1本だけでも、溶接は最大で約12か所あります。現場の作業者(オペレーター)が約5,000個を見るととても疲れます。受注が増えると圧力が上がり、納期に間に合わなくなります。

解決のきっかけは、北ユランのデジタル化ハブ、アドスマート(AddSmart)のネットワーク会合でした。そこでチューセン氏はディープビスと出会いました。ディープビスの仕組みは、当時まだ金属産業では試験されていませんでした。両社はメイドのキックスタート(短期間の実証支援)に応募し、溶接検査で試すことになりました。

ディープビスは2024年、マッズ・ファーゲルンド(Mads Fagerlund)とカール・ファーゲルンド(Carl Fagerlund)の兄弟がオールボーで創業しました。家系のプラスチック工場キファ・プラスト(Kifa Plast)で、再生プラのコップなどの不良を手で選別していた経験から、カメラと人工知能で欠陥を見つける仕組みを作り始めました。いまは再生プラスチックと金属向けのAIカメラ検査を手がけます。

現場では、ビジョン装置が黒い箱に入り、レール上の滑り台で管の上を前後に動きます。箱の穴から管の上へ滑らせ、写真を撮って欠陥を探します。カール氏のデモでは、管の継ぎ手付近(ブッシュ)の写真を撮った段階で欠陥を見つけました。

学習は、良い溶接と悪い溶接の画像を集め、会社の溶接コーディネーターの判定と比べる形です。システムは溶接コーディネーターと同じ判定を90.2%のケースで出しました。無い欠陥を誤って付けることはなく、判定が分かれたケースの一部では、人手が見逃した欠陥をAIが拾いました。この90.2%一致は、DIが伝える試験の説明です。

いま25本の金属管で学習しています。多くの判定では信頼度(確信度)が約95%です。低いときは約75%まで下がり、承認が難しい重要な溶接として示します。

月産は400〜500本で、最初の約14日で画像が増え、モデルがさらに正確になる見込みです。

学習の仕方も特徴です。欠陥カタログを逐一足すのではなく、良い部品の見え方を学び、それからのずれに反応します。溶接はひとつひとつ見た目が違い、小さな差は許容されることが多いです。良い部品を定義しておけば、新しい欠陥種をその都度設定しなくてよい、とカール氏は説明します。

いま装置は、ノルジュスク・スヴァイセ・コントロール(Nordjysk Svejse Kontrol)で認定向けの評価を受けています。認証された溶接検査員と同じレベルの検査として承認する、前向きな回答がすでに出ています。認定の線引きは次の表にまとめます。

溶接コーディネーターという検査の詰まりがなくなり、より大きな受注を取れる、というのがチューセン氏の見方です。品質がそろい、小さな穴を目で追う重い作業から検査員を休められます。次の試験は曲げ管の溶接と、目が届かない溶接内部の欠陥です。そのあと実装へ進み、「列車が走る」と語っています。

なおDIは、ディープビスの最初の支払顧客としてAVKプラスト(AVK Plast)に触れます。本記事の中心は、ヨハネス・ペデルセンでの溶接試験です。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
1975年創業・ビボー。列車自転車ホルダー、自動車ボディ等。JP Group Holding(MADE) 従業員数・売上の公開表
1ホルダー最大約12溶接。約5,000個で現場の作業者が疲れる(チューセン氏) 5,000個の期間・ライン条件の定義
AddSmartで出会い。MADE Kickstartで試験 キックスタートの助成額の詳細
ディープビス2024創業・オールボー。再生プラと金属のAIカメラ(MADE/DI) 創業時資金・人員の別紙
レール上の黒箱+カメラで管の溶接を撮影(MADE) 装置寸法・サイクルタイムの公開仕様
溶接コーディネーターと90.2%一致。無い欠陥は付けず。不一致の一部は人手見逃しをAIが拾った(DI) 90.2%のサンプル数・試験プロトコルの独立論文
25本で学習。信頼度多く約95%、低いとき約75%で要確認(MADE) 25本以降の精度推移の第三者測定
月産400–500本。最初の約14日で精度向上見込み(MADE) 14日後の実測一致率
良品の見え方を学ぶ方式(カール氏) 欠陥カタログ方式との定量比較表
Nordjysk Svejse Kontrolで評価中。認証検査員レベル承認の前向き回答(MADE) 認定完了の公示・有効日
大きな受注を取れる/品質均一化・負荷軽減(チューセン氏) 受注額・工数の前後比較の独立数値
次は曲げ管と溶接内部、その後実装(MADE) 内部欠陥検査の方式詳細

誰に関係するか

再生プラ片の異物と正規材、布のシミと柄、果実の傷と自然な斑、コルクやシール表面の欠陥選別など、見た目がばらつき許容されつつ人手検査が詰まる現場でも使えます。良品の見え方を基準に学習し、信頼度の低い件だけを人が再確認する、という使い方です。

まとめ

レール上のカメラ箱で溶接面を撮り、良品の見え方を基準に学習します。溶接コーディネーターとの一致率を測り、信頼度の低い件だけを人が再確認します。90.2%一致はDIが伝える試験の説明で、認定は前向き回答の段階です。

参考文献

  • AI-løsning fjerner flaskehals på maskinfabrik – kan nu tage større ordrer(MADE)、https://www.made.dk/videoer/ai-loesning-fjerner-flaskehals-paa-maskinfabrik-kan-nu-tage-stoerre-ordrer/ 、確認日 2026-09-22
  • Brødre blev trætte af manuel kvalitetskontrol. Nu automatiserer de den for andre(DI Produktion)、https://www.danskindustri.dk/brancher/di-produktion/nyheder/Udsendelser/2026/maj/brodre-blev-tratte-af-manuel-kvalitetskontrol.-nu-automatiserer-de-den-for-andre 、確認日 2026-09-22
  • Brothers Got Tired of Manual Quality Control — Now They Automate It for Others(Deepvis)、https://deepvis.ai/blog/post-8/ 、確認日 2026-09-22

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)