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日立の設計ナレッジシステム。AIエージェントで設計ルールを抽出し、3D CADを形状関数で自動検図

2026.09.23
日立の設計ナレッジシステム。AIエージェントで設計ルールを抽出し、3D CADを形状関数で自動検図

日立製作所(Hitachi)は、製造業の設計業務を支援する「設計ナレッジシステム」を、次世代AIソリューション群「エイチマックス・インダストリー(HMAX Industry)」の新たなラインとして、2026年9月10日付の自社プレスで発表しました。提供開始の時期は、二次報道のクラウドWatch(2026年9月11日)で2026年7月と伝えられています。中心は、熟練者の判断を設計ルールとして蓄え、三次元形状の設計データ(3D CAD)の検図を機械で先に回す仕組みです。100%抽出などの数字は、いずれも日立側の説明です。

何が起きたか

設計の現場では、熟練者の経験、技術文書、過去の不具合、三次元の形状データなど、ばらばらの情報を踏まえて判断します。知見が人に寄り、確認に時間がかかり、見落としや手戻りが起きやすくなります。

設計ナレッジシステムでは、まず人工知能(AI)のエージェントが、熟練者のノウハウや過去トラブルなどの技術文書をもとに、言葉にしにくい経験をルールへ直します。プロンプト(指示文)を都度書かなくても、テキストや図表から設計ルールを抜き、設計ナレッジとして一か所に蓄えます。蓄えた内容は、チャットボットから自然言語で検索できます。

次に、蓄えたルールからチェック用のプログラムを自動で作り、日立独自の「形状認識関数データベース」と組み合わせます。部品の穴、曲げ、距離などを取る関数があらかじめ入っており、製造業でよく使う標準形式(STEP形式)の三次元形状モデルを対象に、ルール違反の箇所を画面上で示します。設計者が自然言語で書いたルールからも、生成AIと連携して形状チェック用のプログラムを作ります。

自ら最初の利用者になる「カスタマーゼロ」として、株式会社日立ハイテク(Hitachi High-Tech)でプロトタイプを試しました。対象は板金・製缶図面の検図です。過去3年分の検図記録のうち、すでに不備と分かっている案件に対し、曲げや打ち抜き・切断が難しい箇所、寸法の不備などを、プロトタイプが自動で100%抽出しました。注記では、当該不備案件に対する結果だと書かれています。

位置づけとしては、設計者向けの空間コンセプト「ディーアイダブリュー(DIW、Design Insight Workspace)」の中核です。品質保証向けの品質ナレッジシステム(2026年6月4日発表)に続く、設計側の製品です。将来は製造部品表(BOM)や製造工程表(BOP)の自動生成、類似形状の試作検証などへ広げます。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
2026-09-10発表。提供開始は2026年7月(クラウドWatch。日立プレス本文は開始を述べるが月の明示なし)。エイチマックス・インダストリーの新ライン(日立プレス) 価格、対応CAD製品の一覧、導入社数
AIエージェントが技術文書から設計ルールをプロンプト不要で抽出(同) 抽出精度の全体指標、誤抽出率、対象文書の件数
チャットボットから自然言語でナレッジ検索(同) 検索の適合率・再現率の公開値
ルール由来プログラム+形状認識関数でSTEPの三次元CADを自動チェックし違反を可視化(同) 他社CAD・他フォーマットでの再現手順
自然言語ルールからチェックプログラムを生成AI連携で自動生成。穴・曲げ・距離などの関数を内蔵(同) 生成プログラムのレビュー手順、失敗時の人手介入率
日立ハイテクのカスタマーゼロ。板金・製缶の検図記録(3年分)の不備案件で、困難加工箇所・寸法不備等を100%抽出(同※4) 不備案件以外の全図面での見逃し率、本番運用の継続測定
ディーアイダブリューの設計向け中核。品質ナレッジシステム(2026-06)に続く(同) 両システムの連携手順の詳細公開

100%は、既知の不備案件に対するプロトタイプ結果です。すべての新規図面での見逃しゼロを、ここだけで確定はできません。

誰に関係するか

建築設備の改修図面では、ダクト干渉や寸法抜けのルールを先に登録し、一次洗い出しだけを機械に寄せます。造船の配管レイアウトでは、客先公差を短いルールにして出図前チェックに回します。金型や治具の受託では、客先ごとの寸法公差を短いルールとして登録し、出図前の自動検図に回します。自治体の公共工事の図面確認では、寸法表記の抜けや干渉の一次洗い出しだけを機械に寄せ、最終の合否は人が行います。いずれも、ルール化→形状チェック→人の最終判定、の順です。

まとめ

技術文書から設計ルールを先に抜き、形状チェック用の関数と組み合わせて三次元CADの違反を可視化し、最終の合否は人が判断します。

参考文献

  • 日立、熟練ノウハウを形式知化し、設計業務の効率化と品質向上を支援する「設計ナレッジシステム」をHMAX Industryとして提供開始(日立製作所プレスPDF、2026-09-10)、https://www.hitachi.com/content/dam/hitachi/global/ja_jp/press/files/2026/09/0910.pdf 、確認日 2026-09-23
  • 同上(日立製作所プレス案内ページ、2026-09-10)、https://www.hitachi.com/ja-jp/press/articles/2026/09/0910/ 、確認日 2026-09-23
  • 日立、ノウハウを形式知化して設計業務の効率化と品質向上を支援する「設計ナレッジシステム」を提供(クラウドWatch、2026-09-11)、https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/2139855.html 、確認日 2026-09-23

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)