スコットランドのファームレイ(Farmlay)は、2024年11月、サノボ・テクノロジー・グループ(SANOVO TECHNOLOGY GROUP)の人工知能(AI)ビジョン等級機に約4.7億円(約240万ポンド。2024年11月時点の概算換算)を投じる計画を明らかにしています。建屋の改修も含みます。
フード・マニュファクチャー(Food Manufacture)、アバディーン・アンド・グランピアン商工会議所(AGCC)、ラーダー・マガジン(Larder Magazine)が、同月に導入計画を報じています。経営責任者はイアン・チャップマン(Iain Chapman)です。新機はオランダのサノボ工場から出荷し、2025年1月に設置する予定です。
鶏卵を高解像の画像で撮り、深層学習が割れ・色・質感・形を分けます。従来は卵に触れて割れを見る検査が多く、新機は触らない画像検査へ切り替えます。
拠点はアバディーンシャーのコックミュア農場(Cockmuir Farm)です。アルディ(Aldi)、リドル(Lidl)、モリソンズ(Morrisons)、スパー(Spar)向けに卵を供給しています。フル稼働後は、処理量の増加に合わせて約10人の新規雇用を見込んでいます。
需要が増えるなか、既存の等級機を長時間回す案もありました。チャップマンは、バックアップがなく故障時のリスクが残るため、長く続ける手ではないと判断しています。
現行の等級機は1時間あたり約500ケース(梱包の単位)、新しい機は約400ケースです。AGCCとラーダーでは、チャップマンが「二つ合わせて出力がほぼ倍になる」と説明しています。フード・マニュファクチャーは、新機の400ケースを「現行出力のほぼ倍」とも書いており、言い回しに差があります。
高解像の画像を深層学習で解析し、割れと正常な卵を分けます。色・質感・形の差も見て、新しいデータで学習を続けます。
機器側の技術説明は、エマージェント・ビジョン・テクノロジーズ(Emergent Vision Technologies)のサノボ事例にあります。これは製品技術の説明であり、ファームレイ固有の稼働後の数字ではありません。従来の割れ検知は卵に触れて力を測る方式が多く、割れを広げたり、良い卵を誤って捨てること(誤棄却)を増やしたり、汚れが別の卵へ移ること(交差汚染)を起こしたりするおそれがあります。サノボは触らない多カメラ方式へ切り替えています。
サノボ製品側の説明では、18列の等級構成で21台のカメラが卵1個あたり最大16枚を撮ります。上面・側面・下面を取り、殻全体の見え方をそろえます。画像は光ファイバー経由で、エヌビディア(NVIDIA)のGPUを載せた産業用PCへ流れます。深層学習が欠陥を分類し、結果を機械の制御へ渡して、割れや下位等級の卵を自動で外します。高能力構成では、1時間あたり最大約25万5000個まで対応します。誤棄却はこれまでで最も低い水準、とサノボ側は説明しています。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 約4.7億円(建屋改修含む)。2025年1月設置予定。フル稼働で約10人の新規雇用(Food Manufacture/Larder、2024-11) | 設置後の実稼働日・雇用の確定数 |
| 現行約500ケース/時、新機約400ケース/時。合わせてほぼ倍、とチャップマン(AGCC/Larder) | ケース定義の監査。稼働後の実測スループット |
| Food Manufactureは新機400ケースを「現行のほぼ倍」とも記述 | 現行出力の定義がソース間で一致するか |
| 深層学習で割れ・色・質感・形を分け、新データで学習を続ける(各紙) | 検出率%・誤棄却%の独立測定(Farmlay稼働後) |
| サノボ製品:卵1個あたり最大16画像・21カメラ。最大約25万5000個/時。誤棄却はこれまで最低水準、とサノボ(Emergent事例) | 上記がファームレイ導入機の実測であることの確認 |
| 接触式割れ検知の汚染・割れ拡大・誤棄却リスクを、非接触で下げる狙い(Emergent事例) | 接触式との並列比較の第三者試験 |
薬のソフトカプセルのピンホール検査、びん詰めラインの微細ヒビ、種やナッツの殻の欠け仕分けなど、触ると傷や汚れが増えやすい曲面を、止めずに等級したい現場があります。力センサではなく多視点の画像と深層学習で、外観の差を分けます。
卵に触れず多視点の画像を深層学習で見て、割れと色・質感・形を同じ流れで分けます。既存機と並行して処理量を増やす計画です。