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台湾の電動スクーター組立。手順どおりかをAIビジョンが駅で止める

2026.09.27
台湾の電動スクーター組立。手順どおりかをAIビジョンが駅で止める

台湾のゴゴロ(Gogoro)は、パワーアリーナ(PowerArena)のAIビジョンを使い、電動スクーターの組立で手順どおりかを駅ごとに見ています。製造実行システム(MES)と無人搬送車(AGV)のOKと揃うまで、次の駅へ進みません。

パワーアリーナ公開の対談(2023年5月)で、ゴゴロのスマートファクトリー基盤責任者チャーリー・ファン(Charlie Huang)が導入の経緯を話しています。アドバンテック(Advantech)の事例(2024年3月)も、同じ現場のAIビジョンを補足しています。

何が起きたか

ゴゴロは、電動スクーターを組み立てる工場で、早い段階からMESを入れていました。機械の動きや工具の締め付け値など、取れるデータは履歴に残ります。それでも、人が正しい順序で作業したか、指定の工具を使ったか、左右の人が同時に進める共同作業を守ったかは、MESだけでは追えませんでした。

現場には、外国人労働者、学生、地元スタッフが混在します。入れ替わりも多く、教育だけでは手順のばらつきが残りました。出荷後、数週間以内に工程起因の不具合が出ることもありました。従来は問題が起きたあと、カメラ映像を巻き戻して原因を探しており、その場では止められません。

そこでゴゴロは、パワーアリーナのAIビジョンをキーとなる作業駅に載せ、対談時点で18駅です。駅では、カメラ映像から手順の抜け、順番の誤り、工具の使い方などを見ます。パワーアリーナの事例ページは、リアルタイムの標準作業手順(SOP)逸脱アラート、映像から見た作業いちサイクルの時間(サイクルタイム)、高リスク時の即時停止を挙げています。

搬送はベルトコンベヤではなく台車型のAGVで、各車両が駅を回ります。MESがトルクや試験の数値(パラメータ)などの「OK」を受け取り、かつAIビジョンが手順を確認するまで、AGVは次へ進みません。左右並列のステアリング周り組立では、以前はMESが左右を別々に見ていました。AIビジョン導入後は、二人の共同作業を映像で同時に確認できます。

不具合を駅の出口で止める考え方は、工程内品質管理(IPQC)です。ファン氏にとって、AIビジョンはこの考え方を現場の動作に落とす手段です。アドバンテック事例では、封止の前にオイルを塗るなど、あとから見えなくなる工程を映像で検証する例もあります。推論にはGPUサーバ(SKY-6系)を使います。

効果について、ファン氏は社内データを見たうえで、当該18駅に紐づく市場側の保証請求がゼロまで減った、と言います。工場全体のゼロや、すべての駅の保証請求ゼロ、という意味ではありません。パワーアリーナの事例ページには「一度で工程を通る割合(first-pass yield)が100%」ともあります。こちらはベンダー側の表現です。ファン氏の保証請求の説明と、数字の取り方が同じかは、公開資料だけでは揃いません。

駅の選び方では、故障モード影響解析(FMEA)を使いました。走行不能やブレーキ力など、起きると重いが現場では見つけにくい項目を優先しています。海外の委託組立へ広げるときも、言葉や背景が違う作業者に同じ手順を守ってもらう基盤にしたい、という意図もあります。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
主要駅にAIビジョン。対談時点で18駅(パワーアリーナ対談) 18駅の工程一覧と対象モデルの公開表
MES+AIの両方がOKになるまでAGVが次へ進まない(同) 停止回数・平均停止時間の独立ログ
左右並列の共同作業を映像で同時確認(同) 共同作業駅の誤検知率
当該18駅の市場保証請求がゼロまで減少、とファン氏(同) 第三者監査と、比較期間・母数の全文
高リスク時は駅で停止。映像再生で原因確認(事例頁/対談) アラート精度の独立測定
封止前オイル塗布など隠蔽工程を検証。GPUサーバで推論(アドバンテック) ハードウェア構成の公開BOM
「100% first-pass yield」との記載(パワーアリーナ事例頁) ファン氏の保証請求ゼロと同一指標か

誰に関係するか

医療機器の組立、厨房機器の最終配線、家具の隠しビス締めなど、記録は残るが人手の手順抜けが出荷後に効く現場があります。駅の通過条件に、映像での手順OKを足す、という使い方がここにあります。

まとめ

キー駅で映像の手順OKとMESの数値OKが揃うまでAGVを止め、左右の共同作業も同時に見ます。駅の選定は、起きると重いが現場では見つけにくい項目をFMEAで優先します。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)