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ドイツの返却瓶ビール。水滴と傷をニューラル網で分けて空瓶検査する

2026.09.27
ドイツの返却瓶ビール。水滴と傷をニューラル網で分けて空瓶検査する

ドイツのビットブルガー(Bitburger)は、クローネス(Krones)のリナトロニックAI(Linatronic AI)で、返却瓶の空瓶検査をしています。洗浄あとに残る水滴や泡と、汚れ・欠け・ひび・残液などを、人工ニューラル網(ANN)が分けます。本当に落とすべき瓶だけを外し、使える瓶の誤棄却を減らします。

クローネス公式の事例記事(2024年6月)が、共同開発から受入試験、現場運用までを伝えています。

何が起きたか

ビットブルガーは、ドイツ南部アイフェル地方に本拠を置くビール会社です。従業員は約1,500人で、1日におよそ400万本を充填し、その約90%が返却瓶です。返却瓶を長く回し続けることが、同社の取り組みの柱のひとつです。洗ったあとの空瓶を、充填機の直前で検査し、汚れや欠け、残液などを落とす必要があります。

従来の空瓶検査は、画素の明るさなどを規則で比べる方式が中心でした。水滴や泡が欠陥に見えやすく、使える瓶まで落ちることがありました。クローネスの製品発表(2020年11月)でも、誤棄却の多くは水滴です。

2020年、クローネスがビットブルガーに、深層学習を使うリナトロニックAIの共同開発を持ちかけました。技術・持続可能性責任者のヨハネス・ハンケス博士(Dr. Johannes Hankes)は、品質を上げる新しいやり方に開いていました。両社は1970年代から取引があります。

ちょうど、2007年に入れた検査機(0.33リットルのガラス瓶を毎時5万本扱う線)の更新時期でもありました。現場はまず、従来機能のリナトロニックを使いながら、AI向けの準備を進めました。準備の本体は写真の注釈です。クローネスの検査チームが数万枚を1枚ずつ見て、泡か汚れか、使えるか棄却かを付け、そのラベル付きデータで教師あり学習のANNを作ります。

2022年11月、醸造と飲料の研究教育機関であるVLB(ベルリン)が、このニューラル網の検証と受入試験を行い、合格しました。その後、ビットブルガーでAI機能が本番稼働しています。電気保全責任者のベルント・クール(Bernd Köhl)は、「確実に棄却すべき瓶だけを落とせるようになった。以前は、まだ使える瓶まで外していた」と言います。

充填機の直前に、複数のカメラとセンサが並びます。輪郭・高さ・色・擦れを見、側壁を360度で撮り、口金と底の欠けを調べ、残液は高周波と赤外で見ます。欠陥と判定した瓶は、破片がラインに入らないよう封じられた排出シュートへ落とします。運用では、5万本を見るごとに、QRコード付きのテスト瓶を流し、想定した欠陥を検出できるかを確認してから通常生産へ戻します。

インタビュー時点で、8本あるボトリングラインのうち3本にリナトロニックAIが入っています。将来のラインにも載せる予定です。再調整の手間が減り、操作する人の負担も下がっています。

なお、クローネス製品発表の「水滴と他異常の区別で信頼性99.9%超」は、製品側の一般説明です。ビットブルガー固有の検出率%としては書いていません。バイエルンのホーフブロイハウス・フライジング(Gräfliches Hofbrauhaus Freising)も別の早期導入例です。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
2020年から共同開発。注釈付き数万枚でANNを学習(クローネス事例) 注釈基準表とクラス定義の全文
2022年11月、VLBが検証・受入試験で合格(同) 受入試験の測定条件と生データの公開
「棄却すべき瓶だけを落とす」とクール氏(同) 導入前後の誤棄却率%の独立測定
8ライン中3ラインに導入。将来ラインにも予定(同) 残り5ラインの導入日程
日産約400万本、返却瓶約90%。対象更新線は毎時5万本(同) ライン別の実測スループット日誌
5万本ごとにテスト瓶で検出確認(同) テスト不合格時の停止時間の独立記録
水滴と他異常の区別で信頼性99.9%超(クローネス2020製品発表) ビットブルガー固有KPIとしての99.9%

誰に関係するか

給食センターの返却食器、クリーニングの返却ハンガー、レンタル機材の返却点検など、洗ったあとに水滴や汚れが残り、無害な見た目と欠陥が混ざる現場があります。注釈で見分けを教え、第三者の受入試験を挟む使い方があります。

まとめ

洗った返却瓶を、注釈付き写真で教えたニューラル網が水滴・泡と欠陥に分け、棄却を本当に必要な瓶だけに絞ります。第三者の受入試験を挟み、本番後もテスト瓶で検出を確かめます。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)