ENTRY

◀︎ AI NEWS TOPへ

ドイツの銅加工。反射する丸物の見た目の欠陥を深層学習で見る

2026.09.29
ドイツの銅加工。反射する丸物の見た目の欠陥を深層学習で見る

ヴィーラント・グループ(Wieland Group)はカプジェミニ(Capgemini)と組み、銅と銅合金の半製品の見た目検査に深層学習の画像判定(コンピュータビジョン)を入れています。カプジェミニ公式の顧客事例が、この導入を紹介しています。

何が起きたか

ヴィーラントは、銅と銅合金の半製品では大手のひとつです。従業員は約9,500人、拠点は80を超えます。機能だけでなく見た目の品質も重視しており、人手の目視検査に大きな労力をかけてきました。

難しさは二つあります。一つは被検体が丸いこと。もう一つは、銅特有の金属光沢で光が反射することです。規則ベースの画像処理だけでは、欠陥の見え方が安定しにくい条件です。

共同チームはまず実現可能性を調べました。実世界の制約をいったん外し、光学的な表面欠陥を深層学習モデルが拾えるかを確認しました。ここで標本(欠陥品のサンプル)が足りないことが分かりました。そこでデータ拡張(data augmentation)で学習用画像を人工的に増やし、狙いの欠陥を見分けられる見込みを得ました。

次に、現実のライン条件へ落としました。ネットワークや基盤が落ちても動き続けられるよう、応答の速いエッジコンピューティングを選びました。カメラ角度や背景も調整し、実地で認識が使えることを確認しました。既存の計測システムのプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)とロボットによる材料供給は、工場の機械同士でデータをやり取りする仕組み(OPC UA)でつなぎ、エッジ装置へ部品を渡します。クラウドは、分析とAIの管理の土台になります。

大規模に広げる段階では、カプジェミニの「クレア(CLEA:Check Live Easy & Automatized)」を使いました。画像判定の器として、現場ごとのAIモデルを載せ替えられる枠組みです。ハード、エッジ、クラウドの設定まで含め、ヴィーラント側が自分たちで他の検査セルや製品へ広げられる状態を目指しました。

検査セル20超・製品50超へ広げられる可能性があります。週あたり100万個を検査でき、スクラップ率は1.5%、という数字が事例にあります。最高戦略責任者のミヒャエル・デマー(Michael Demmer)は、AIと機械学習による自動検査で生産性を一段上げたとコメントしています。オペレーション担当のヴィオラ・ゴールドバッハ(Dr. Viola Goldbach)は、反射する銅表面でも成熟した自分で学び直せる仕組みが他工程へ広げられる、とコメントしています。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
深層学習ビジョンで銅半製品の外観検査を自動化(カプジェミニ事例) 導入前後の見逃し率の独立測定
丸物+金属反射が課題。データ拡張で標本不足を補う(同) 拡張手法の詳細と元標本数
エッジ推論、OPC UAでPLCとロボット供給を連動(同) レイテンシ実測の公開ログ
20超セル・50超製品へ広げられる。週100万個、スクラップ率1.5%(同) スクラップ率の定義と監査
CLEAを他セル・製品へ広げる器として利用(同) 工場ごとの展開完了数の一覧

誰に関係するか

メッキした締結部品や、鏡面に近い化粧品の容器など、光が回り込む曲面を全数目視しきれない現場があります。欠陥の写真が少なくても画像を増やして教え、判定はライン脇、モデルの入れ替えはクラウド側、という分け方が使えます。

まとめ

丸くて光る部品の見た目は、規則の画像処理より学習モデルで見ます。足りない欠陥画像は人工的に増やして教え、判定はライン脇の装置、広げ方の枠はクラウド上のクレアに置きます。

参考文献

Tags

タグ一覧へ ▶︎

Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)