スペインのプロロンゴ・ファクサ(Prolongo-Faccsa)は、乾燥ソーセージと生ハムの工程で、オムロン(OMRON)の画像処理装置「エフエイチ・シリーズ(FH Series)」を使った人工知能(AI)検査を入れています。拠点はマラガ(Málaga)近郊のカルタマ(Cártama)です。スペインの産業技術開発センター(CDTI)が承認し、費用を出して支えた研究計画「アリメンテ21(ALIMENTE21)」です。オムロンの顧客向け導入事例(PDF)が、この導入を紹介しています。
乾燥からスライス、包装まで、工程ごとに見るべき点が違います。枝肉の汚染確認や熟成の見極めは、長いあいだ人の目と経験に頼っていました。スライスした生ハムの層のあいだに隠れた骨片や、加工面に残る細菌の膜(バイオフィルム)は、ふつうの自動化では拾いにくい対象でした。
アリメンテ21では、オムロンのFHシリーズを共通の土台にし、用途の異なる検査を同じ制御とソフト、同じAIの枠組みの上に載せました。FH上では、不良の規則をひとつずつ書かず、良品の画像から検査モデルを作る「AIファインマッチング(AI Fine Matching)」があり、わずかな異常を拾います。
スライスの工程では、短波赤外(SWIR)のカメラとAIを組み合わせます。短波赤外は可視光より食品の表面の奥側まで見えやすく、層のあいだに隠れた、およそ10ミリメートルまで小さい骨片を探すのに使います。ラインの速さでは、人の目やふつうの可視光カメラでは安定して拾えません。乾燥室では、別のカメラがソーセージの縮み(サイズや重量の変化)を追い、予測モデルで出荷できる時期を見積もります。熟成の待ち時間とエネルギー使用は減り、庫の回転は早まります。
同じ計画のなかには、枝肉での胆汁や腸内容物の検出、搬送チェーンの電流・振動から摩耗の兆しを見る予知保全、紫外線カメラによるバイオフィルムの見分けもあります。アドバンスト・ファクトリーズ2026(Advanced Factories 2026)で、この取り組みが公開の場で紹介されました。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| アリメンテ21でFHシリーズ上に6用途のAI検査(オムロンの導入事例) | 用途ごとの検出率%の第三者測定 |
| AIファインマッチング(良品画像からのモデル)(同) | 学習枚数と誤検知率の監査ログ |
| 短波赤外とAIでおよそ10ミリまで小さい骨片(同) | 骨片サイズ別の再現試験 |
| 乾燥室の縮み監視と完了時期予測(同) | 短縮日数・エネルギー削減の定量 |
| アドバンスト・ファクトリーズ2026で公開(同) | 会場資料の全文アーカイブ |
板を重ねた乾物や、シートを重ねた電子部品で、表面の奥に欠けや異物が入り、可視光のカメラではライン速度で拾いにくい検査があります。波長を変えたカメラと、良品の画像から覚える検査を一段にし、別のカメラでは縮みや色の変化から、仕上げの時期を予測します。
スライスの層に隠れた骨片は、短波赤外で表面の奥側を見て探します。乾燥室ではソーセージの縮みをカメラで追い、予測モデルで出荷できる時期を見積もります。土台は同じ画像処理のシリーズです。