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テクコム証券のキロ。仕様先行のエージェント開発で機能納品を約25%短縮などとする

2026.10.01
テクコム証券のキロ。仕様先行のエージェント開発で機能納品を約25%短縮などとする

テクコム証券(Techcom Securities、通称TCBS)は、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のエージェント型ソフトウェア開発環境「キロ(Kiro)」を、エンジニア組織全体へ導入したと発表しました。発表は2026年9月29日付のAWS米国プレスセンターで、以下の数字はいずれもテクコム側の説明です。キロは、開発者の意図に合わせてエージェントがコードの作成・テスト・直しを進めます。コードを書く前に仕様を書き、検証してから生成に入る「仕様ベース」の進め方を使います。改修の待ち一覧(バックログ)から製品リリースまでの時間を約25%短くした、生成コードの約70%が初回のレビューを通った、といった数字も同発表にあります。

何が起きたか

テクコムはベトナムのデジタル証券会社で、ブローカー手数料ゼロの資産運用技術(WealthTech)を掲げています。発表によれば、2020年からAWS上でクラウド中心の基盤へ作り直し、その後4年でアクティブ顧客は約9倍、株式売買の市場シェアは約4倍、2024年以降は機械学習と生成AIを顧客接点へ組み込み個別化体験の顧客はほぼ倍増し、組織のAI利用はおおよそ8倍、金融リサーチの生産性は約8倍になったとします。

キロの利用者はスタッフ460人を超えます。エンジニア全員が使い、利用者のうち非技術の役割はおよそ40%です。自社取引(プロプライエタリ取引)のチームは、研究から本番まで、パイソン(Python)の取引戦略を速く載せ替える用途の一例です。アクティブ投資家は130万人を超える、とします。

ソフトウェアエンジニアリング責任者のヴォ・キム・ゴック(Vo Kim Ngoc)氏は、発表のなかで、開発者と品質エンジニアを一つの「エンジニア」職へまとめ、コードからテスト・本番への載せ(配備)までを一人が通して持つ形にしたと述べています。受け渡し待ちを減らし、人数を減らさずに届けられる量を増やす狙いです。同じ四半期に主要3機能を予定より早く出せた例として、アプリ上のオンライン新規公開株(iPO)、外国人機関投資家向けの事前入金なし取引(Non-Prefunding)、目標に合わせた資産形成のTCWealthが挙がります。

品質の数字も同発表にあります。生成コードのおよそ70%が初回レビューを通過し、落ちた分はエージェントの繰り返し直し(ループ)へ戻して直し、同時に仕組みの改善にも使います。これまでに、AIが書いたコードが原因とされた本番障害はなく、基盤の稼働は99.9%だとします。安全面では、アマゾン・ベッドロック(Amazon Bedrock)ですべてのAIのモデルへの問い合わせ(推論呼び出し)をリスク分析し、AWSセキュリティハブ(AWS Security Hub)で監視し、個人を特定できる情報(PII)は処理前にマスクします。

何が変わったか

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
2026-09-29、AWS Press CenterでKiro全面採用を発表 第三者による納品時間・初回通過率の再測定
利用者460人超。全エンジニア利用。利用者のうち非技術約40%(同) 役割別の利用率・継続率の内訳
仕様を先に書き検証してからコード生成(同) 仕様書の書式・必須項目の公開テンプレート
改修の待ち一覧(バックログ)→リリースの開発時間を約25%短縮(同) 短縮前後の日数分布、対象リポジトリの範囲
生成コードの約70%が初回レビュー通過。失敗はループへ(同) レビュー基準、重大欠陥の見逃し率
AI生成コード起因の本番障害ゼロ。稼働99.9%(同) 障害分類の定義と監査期間
開発者と品質エンジニアをエンジニア職へ統合(同) 統合後の人員構成と教育工数
同一四半期でiPO/事前入金なし取引/TCWealthを予定前に納品(同) 各機能の開発工数に占めるキロ寄与の切り分け
金融リサーチの生産性は約8倍(同) 第三者による生産性の再測定
Bedrockで推論リスク分析、Security Hub監視、PIIマスク(同) 拒否・マスク件数など運用指標の公開値

約25%短縮や初回通過約70%、障害ゼロ、金融リサーチの生産性約8倍は、発表側の社内測定です。AWSのプレスでもあるため、独立した第三者の再測定はありません。

誰に関係するか

従業員100〜200人規模の卸やメーカーでは、発注連携や在庫画面の小さな改修を、仕様を短く書いてから生成し、担当者が初回レビューで通す流れにできます。接骨院や整形外科の予約・レセプト周りの社内ツールでは、個人情報をマスクしたあとで画面項目だけをエージェントに直し、人が確定します。ビジネスホテルや旅館では、料金表や空室ルールの変更手順を仕様にしてから実装し、落ちたケースだけ夜の処理で戻します。商店街の共同サイトでは、非エンジニアの担当が欲しい一覧の条件を仕様に落とし、エンジニアがレビューと本番への載せだけを持つ形に寄せられます。

まとめ

仕様を先に固めてからエージェントにコードを書かせ、初回レビューで通し、落ちた分だけループに戻します。納品の短縮や通過率は発表側の数字として残し、個人情報のマスクと推論の監視を入れたうえで、自前のリリース基準で確かめてから広げます。

参考文献

  • TCBS Goes All-In With Kiro, Amazon Web Services’ Agentic Coding Environment(AWS Press Center、2026-09-29)、https://press.aboutamazon.com/aws/2026/9/tcbs-goes-all-in-with-kiro-amazon-web-services-agentic-coding-environment 、確認日 2026-10-01
  • TCBS Deploys AWS to Enable AI-Powered Software Development(Channel Drive、2026-09-30)、https://channeldrive.in/software-solutions/tcbs-deploys-aws-to-enable-ai-powered-software-development/ 、確認日 2026-10-01

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)