ドイツ・ラインヘッセン地方のオストホーフェン(Osthofen)にあるネッスル・ヘルスサイエンス(Nestlé HealthScience)の工場では、成人向け栄養粉末の缶に入れる透明な計量スプーンを、深層学習のカメラで見つけています。実装はシック(SICK)のピコカム(picoCam)/ピコカム2(picoCam2)と、ディースタジオ(dStudio)です。色の画素を数える古いやり方では、リサイクル向けの透明スプーンをアルミ箔の上で見分けられなくなったのがきっかけです。
粉末を詰める前に、計量スプーンを空の缶へ落とします。完成後はアルミ封のすぐ下にスプーンが来ます。自動化担当のマルクス・カウフ(Marcus Kauf)氏の説明では、人の目なら有無は分かるが、毎分80缶超では誤りなくはできません。ビジョン・システムズ・デザイン(Vision Systems Design)では毎分40から80缶、1ラインでおよそ13の品目(SKU)を回し、オプティファイバー(Optifibre)やリソース(Resource)、シックン・アップ(Thicken Up)などが並びます。
以前は色付きスプーンの画素を数えていました。リサイクルのため無色透明へ替えると、灰色がかった透明体が凹凸のある反射アルミ箔の上に載ります。古典的な画像処理は明暗の画素数えに近く、二つの灰色を分けられませんでした。導入直後はシフトごとに人が欠品缶を抜いていました。導入側のアルマンド・シモーニ(Armando Simoni)氏は、1時間もすると厳しいと振り返ります。
シックの案は二次元スナップショットカメラとディースタジオ上のニューラルネットです。さまざまな姿勢のスプーン画像で学び、判定をカメラへ移します。クラウス・カイテル(Klaus Keitel)氏は研究室と現場の双方で試験しました。設計は2021年4月、本番は2022年6月です。照明はプラニスター(planistar)の矩形LEDバックライトで、判定結果をジーメンス(Siemens)のラインを動かす制御装置(PLC)へおよそ50ミリ秒で渡します。
初回学習だけでは足りず、落下位置のばらつきを増やす二巡目が要りました。缶径ごとにニューラルネット(学習モデル)を分け、直径73ミリと99ミリ用と、140ミリ用の二本です。誤り率はゼロに近い、欠品識別はほぼ100%、と導入側・ベンダーは説明しています。当初は欠品でラインを止め、補充後に自動再開しました。2023年には欠品缶を押し出す装置を足し、停止を減らしています。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 透明スクープ×反射アルミ箔で画素カウントが破綻。picoCam/picoCam2+dStudio(SICK/業界誌) | 旧システムの誤判定件数の生ログ |
| 40–80缶/分(業界誌)。80缶/分超では人手不可、とカウフ談(SICK)。約13品目(業界誌) | 品目別の実測タクトと欠品率 |
| 多姿勢学習。学習モデルは73/99mm用と140mm用の2本。カメラ→PLC約50ms(業界誌) | 学習枚数と、どの誤りが何件あったかの内訳表 |
| 誤り率はゼロに近い(SICK)。欠品識別はほぼ100%(シモーニ/業界誌) | 独立監査済みの検出率 |
| 設計2021-04、本番2022-06。2023に排出器追加(業界誌) | 他拠点への展開範囲 |
化粧品の透明パウチや、洗剤・サプリの透明計量パーツなど、反射する封の上で色に頼れなくなった包装・充填では、姿勢のばらつきを含めて有無だけをニューラルネットに覚えさせ、カメラから制御へ結果だけ返す使い方ができます。
多姿勢の画像で有無だけをニューラルネットに教え、判定はカメラ上で行い制御へ返します。欠品缶は線を止めず押し出す構成にも進め、毎分数十缶の速度に載せます。