メキシコのフォード・メキシコ(Ford Mexico)は、板金スタンプの工程選定を、アルテア(Altair)のナレッジ・スタジオ(Knowledge Studio)という機械学習のソフトで支援する取り組みを進めています。本社はメキシコシティ(Mexico City)です。2020年の業界記事の説明で、2025年に同内容が再掲されています。記事にある使い方は、成功した生産実績を数年分ため、新規部品のルートを先に絞る、というものです。
板金スタンプでは、順に型を送る工程(プログレッシブ)、工程間でワークを移す工程(トランスファ)、複数のプレスを一列にした工程(タンデム)があります。材料の種類、板厚、幅、表面の仕上がりなどで、どの工程が合うかが変わり、従来は工程エンジニアの経験と試行錯誤のトライアルで確かめていました。多くの自動車工場では、材料の利用率がおおよそ6割で、残り約4割が廃棄物、という前提です。
フォード・メキシコは、5年にわたり成功したスタンプ工程を記録し、将来の要件に近い3000を超えるプロセスを学習データに使いました。ナレッジ・スタジオは15種の機械学習モデルを用意しています。サブセットで試したところ、条件で枝分かれして分類する手法(決定木)が最も安定し、モデルの精度は90%を超えていました。いちばん大事だったのは、完成部品の全体寸法と板厚です。単独では足りませんが、他のデータ点と合わせると、モデルの精度はほぼ100%に近くなりました。
工程選定の多くを自動化できたため、難しい部品に人の時間を回せます。予測上のスループットは3倍になり、初回通し率(FTT)の改善で手戻りも減りました。人や設備を増やさずに進めた、としています。社内のノウハウをモデルに残し、新人教育の立ち上がりを速める効果もあります。
左は業界誌の説明です。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 5年・3000超の成功プロセスを学習。条件の枝分かれ(決定木)のモデル精度は90%超 | 交差検証の手順と独立監査 |
| 寸法と板厚が最重要。他の特徴と合わせほぼ100%近い | 「ほぼ100%」の定義と母数 |
| 予測上のスループットは3倍。初回通し率の改善。人や設備は増やさない | 実測のスループットと期間 |
| 社内知識の継承と新人教育の加速 | 教育効果の定量 |
樹脂成形では、過去にうまくいった型と材料の表から、新しい図面の工程を先に出します。トライアルの回数を減らす使い方ができます。
成功した板金スタンプの実績を表データとして学習し、決定木で新規部品の工程ルートを示します。試行錯誤のトライアルを減らすのが狙いです。