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アレフ・アルファのコリブリ。資料に答えがなければ「分からない」と返すよう訓練し、資料の誤りを正す力は低いと自ら示す

2026.10.06
アレフ・アルファのコリブリ。資料に答えがなければ「分からない」と返すよう訓練し、資料の誤りを正す力は低いと自ら示す

ドイツのAI企業アレフ・アルファ(Aleph Alpha)は、2026年10月3日に言語モデル「コリブリ(Kolibri)」を公開しました。モデル本体のデータ(重み)を配布しているので、使う会社は自分のサーバーで動かせます。対応する言語は、ドイツ語と英語の二つです。

同社が力を入れたのは、資料を渡して質問に答えさせる使い方で、資料に答えがないときに「分からない」と返す動きです。同社の技術報告では、資料に答えがない質問で答えを控えた割合は85.6%でした。前の版の73.9%から上がっています。

一方で、資料に誤りが混じっているときに、それを正せるかを見る試験は34.0点でした。技術報告は、この試験をコリブリの弱い項目の一つとして挙げています。

何が起きたか

アレフ・アルファは、ドイツのハイデルベルクに本社を置く会社です。2019年に創業し、従業員は約200人です。行政や製造業など、規則の厳しい現場で使うAIを作っています。

コリブリは、全体で781億個の数値(パラメータ)を持ちます。ただし、文字のかたまり(トークン)を1つ処理するときに動くのは、そのうち約35億個だけです。データの大きさは約78GBで、動かすには、データセンター向けの画像処理装置(GPU)が最低でも1〜2枚要ります。配布条件は、商用でも使えるものです。

同社は、答えを控える動きを学習の段階で教え込みました。まず、正しい答えが「分からない」になる質問を学習データに入れました。さらに、質問に添えた資料から答えの根拠を自動で抜き取り、その場合は答えを控えることだけを正解にしました。当てずっぽうで答えが合っても、根拠を抜いた資料では正解になりません。根拠が残った資料では、正しく答えることを求めます。

規制のある業界の顧客にとって、答えを控えられるモデルかどうかは、試しに使う段階で終わるか、本番で使うかの分かれ目になります。同社はブログでこう書いています。

モデルの説明書(モデルカード)が想定するのは、人が出力を確かめてから使う用途です。判断を下す役には置きません。

何が変わったか

左の列は、アレフ・アルファのブログ、技術報告、モデルカードに書かれている内容です。数字はすべて、同社が自社の評価の仕組みで出したものです。

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
資料に答えがない質問で、答えを控えた割合は85.6%。前の版は73.9%。比較した他の12モデルのうち、85.6%より高いのは3モデル 社内文書のような実際の資料でも、同じ割合で控えるか
資料に誤りが混じったとき、それを正す試験は34.0点。比較した他の12モデルのうち、11モデルが34.0点を上回る(53.0〜90.0点) 実際の業務で、資料の誤りをどのくらい見逃すか
資料を渡さずに知識だけで答える試験では、比較したモデルの中で最も低い 同社以外が測っても、同じく最も低くなるか
知識を問う試験で、間違える代わりに答えを控えた割合は44%。前の版は15% 控えたぶん、答えられる質問が減っていないか
自動車部品、半導体、ドイツの行政など5業種の社内試験で、前の版より点が上がった(例: 航空宇宙は0.14から0.59)。顧客のデータでは学習していない 社内試験の問題を、外部の人が同じ条件で確かめられるか
最初の大きな学習(事前学習)で使った文章のうち、ドイツ語は2割強 資料ごとに21.3%、23.4%、23.9%、約23%と数字が揃っていない理由

誰に関係するか

マンションの管理会社では、管理規約や使用細則をもとに、住民からの「ペットは飼えるか」「工事の届け出はいつまでか」といった質問にAIで答える使い方が考えられます。規約に書いていない質問は答えさせず、担当者へ回します。規約を改めたのに古い版が残っていると、AIはその古い条文で答えてしまうので、規約が変わった日に資料を差し替える担当を決めておきます。

学習塾では、自前の教材や解説をもとに、生徒の質問へAIで答える使い方が考えられます。教材にない問題は答えさせず、講師へ回します。教材の誤植や古い解き方はAIでは正しにくいので、誤りを見つけた講師が直す正誤表と、その反映日を先に決めておきます。

まとめ

同社自身の評価では、答えを控える力は上がった一方、資料の誤りを正す力は比べたモデルの中で低い結果でした。使うときは、資料にない質問を人へ回す決まりと、資料を直す担当を一緒に用意します。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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