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ベルギーの美術館の図書館。手書きの値段や買い手の名前が入った古い競売カタログを、AIで読み取って表にする試み

2026.10.10
ベルギーの美術館の図書館。手書きの値段や買い手の名前が入った古い競売カタログを、AIで読み取って表にする試み

ベルギーのアントワープ王立美術館(KMSKA – Royal Museum of Fine Arts Antwerp)の図書館が、手書きの書き込みが入った19世紀の競売カタログを、文字を読み取るAIで書き起こし、表にする試みをしました。以下は、美術館の職員2人が2025年5月にブリュッセルの研究データの催しで発表したポスターと、その説明文にもとづく内容です。

何が起きたか

図書館には、1738年から1935年までの競売カタログが4800冊あります。約半分には、売れた値段や買い手の名前が手で書き込まれています。絵がだれの手を渡ってきたかや、当時の値段を調べる手がかりになります。

2023年に、助成金でブックスキャナーを買い、1830年から1870年のブリュッセルの競売カタログのうち、書き込みのある65冊をスキャンしました。

2024年には、スキャンした画像の文字を、エスクリプトリウム(eScriptorium)というソフトで読み取る試みをしました。最初は、19世紀のフランス語向けに学ばせてあったモデルを使いました。印刷の字はそれなりに読めましたが、手書きは読めませんでした。次に、最初のモデルの出力を人が直した60ページを正解にして、2つ目のモデルを学ばせました。最後に、表にしたい5つの項目(ロット番号、作家名、作品名、買い手、値段)の文字だけで学ばせたモデルを作りました。このモデルのほうが、印刷の字にも手書きにも効率よく働いた、と図書館は書いています。何がどれだけ良くなったかを示す数字はありません。

読み取った文字がどの項目かを決める作業も試しました。ページの中を枠で囲んで項目を決める方法では、文字と項目を結びつけられませんでした。行の下の線(基準線)ごとに項目を決める方法のほうが良く、こちらを使いました。読み取って項目に分けた結果は、Python の小さなプログラムで Excel の表に出しています。

何が変わったか

左は、図書館が出した説明です。

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
5項目だけで学ばせたモデルのほうが、印刷にも手書きにも効率よく働いた 何がどれだけ良くなったか。字の誤りの割合などの数字。3つ目のモデルを何ページで学ばせたか
65冊をスキャンし、書き起こしを試した 65冊のうち、何ページを書き起こしたか。人の直しがどれだけ要ったか
結果を Excel の表に出す 表がいま公開されているか。人の打ち直しと比べて時間がどれだけ減ったか

ポスターは、今後の見通しとして、読み取りと項目分けのモデルをさらに良くすること、ほかのソフトも試すこと、アメリカのゲッティ研究所(Getty Research Institute)と組んで、データを広く使えるようにすることを挙げています。

誰に関係するか

従業員100人ほどの地方の運送会社で、手書きの配送伝票を毎日表に打ち直している場合が考えられます。全部の文字を読ませるのではなく、届け先、品名、個数、日付のように表の列にする項目だけにしぼり、人が直した数十枚を正解にして読み取りモデルを学ばせる、という順で試せます。

まとめ

図書館は、読み取らせる項目を表に入れる5つにしぼると、手書きにも前より合うモデルになった、と報告しています。ただ、どれだけ良くなったかの数字はなく、65冊のうち何ページを読み取らせたかも書かれていません。

参考文献

  • Sakina El-Haruati, Ingrid De Pourcq「Digitisation and automated transcription of historical auction catalogues」(ポスター、Zenodo、2025-05-22)、https://zenodo.org/records/15730134 、確認日 2026-10-10

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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