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三菱UFJ銀行の海外事務。業務の言葉と関係を先に決めて生成AIに業務フロー図を描かせ、手間は11人日から1人日に減る見込み

2026.10.10
三菱UFJ銀行の海外事務。業務の言葉と関係を先に決めて生成AIに業務フロー図を描かせ、手間は11人日から1人日に減る見込み

三菱UFJ銀行は、海外の支店ごとに違う事務の手順をそろえる準備に、生成AIを使っています。手順書から業務フロー図を作らせると、最初は手順書にない手順が入り、使えませんでした。そこで、業務の言葉と、その間の関係を先に決め、AIにはその範囲でだけ描かせる形にしました。図を作り、比べ、直す手間は、1支店1手順あたり11人日(1人で11日分の作業)から1人日に減る見込みだと、銀行は話しています。

以下は、銀行の溝口直樹さん(執行役員 国際事務企画部長)の2026年6月の講演を報じたITmediaの記事(同年8月)と、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が10月8日に出したブログにもとづく内容です。講演の場はAWSの催しで、AWSは銀行と一緒にこの仕組みを作りました。

何が起きたか

三菱UFJ銀行の海外事務は、約30か国で1日約20万件の取引を扱い、3000人を超える人が働いています。件数の86%は送金です。20年あまり海外の事業を広げるあいだに、支店ごとに本店の手順を少しずつ変えた手順ができました。事務をインドの集中センターに集める取り組みも、進んだのは約1割でした。

手順をそろえるには、まず支店ごとの手順をフロー図にし、ほかの支店や本店の手順と比べ、直す必要があります。この準備には、1支店1手順あたり約11人日かかるとされていました。

2025年5月まで、手順書を生成AIに読ませてフロー図を作る試作をしました。図の出来は回ごとにばらつき、元の手順にない手順をAIが黙って足すため、支店どうしを比べても信用できませんでした。何人かで受け持つ事務を「1人」と読み違えることもあった、と溝口さんは話します。生成AIだけで作った図は、使えるものになりませんでした。

どう直したか

溝口さんは、何も教えていない生成AIを、業務の知識をまったく持たない新入社員にたとえます。そこで、AIに描かせる前に、業務を教えるための二つのものを用意しました。

一つは、業務の設計図です。まず生成AIが、本店の手順書を「担当者が・送金を・実行する」のような、「だれが・何を・どうする」の組に分けました。その組を、業務に詳しい行員が見て、誤りを直し、抜けを埋めました。こうして約2万件の組を作り、どの支店にも当てはまる送金手順の形にしました。

もう一つは、支店ごとの手順を、この設計図に当てはめたデータです。アメリカ、イギリス、アジアの大きな支店の手順を入れました。

フロー図を作るときは、AIがまずこのデータから関係する部分を取り出します。描いてよい手順と分かれ道はその範囲に限り、図の一つ一つの手順に、どのデータを根拠にしたかを付けます。

何が変わったか

銀行の講演資料では、1支店1手順あたりの手間は次のように減る見込みです。

作業(1支店1手順) 前 後(見込み)
フロー図を作る 10人日 0.5人日
ほかの支店と比べる 0.5人日 0.25人日
図を直す 0.5人日 0.25人日
合計 11人日 1人日

比べ方も変わりました。前は1支店と1支店を比べていましたが、今は1支店を複数の支店と一度に比べられます。

手順をどうそろえるかを決めるのは、今も事務の担当者と各地域の関係者です。関係者との話し合いには1件1〜2人月(1人で1〜2か月分)かかり、これは変わりません。AWSのブログによると、2026年3月からは、新しいシステムを受け取る前に確かめる項目づくりにも、同じ仕組みを使い始めました。

公表されている説明 こちらで確認できていないこと
1支店1手順の手間は11人日から1人日に減る見込み(銀行の講演)。AWSのブログは同じ数字を「見込み」とも「前と比べて測った結果」とも書き、比べる・直すは「数分」とする 実際に測った件数と期間。比べる・直すの後が0.25人日か数分か
生成AIだけの試作は、手順を足したり読み違えたりして、使える図にならなかった 誤りがどのくらいの割合で出たかの数字
設計図とデータの範囲でだけ描かせ、根拠を示す(AWSのブログ)。2025年6月以降は、生成AI自体の向上も重なって図の精度が上がった(銀行の講演) 精度の改善のうち、設計図とデータによる分と、生成AIの向上による分の内訳。本番での誤りの数
設計図は約2万件の組で、業務に詳しい行員が直して作った(銀行の講演) 作るのにかかった人手と期間(手間の表には入っていない)

誰に関係するか

地方の葬儀社で、宗派ごとに違う式の段取り表を生成AIで作る場合が考えられます。先に、宗派、役割、道具の名前と、「だれが、何を、どうする」の関係を一覧にしておきます。AIにはこの一覧の言葉だけで段取りを書かせ、各行の根拠を示させれば、その宗派にない作法をAIが足しても、人が見つけやすくなります。

まとめ

三菱UFJ銀行は、生成AIに業務フロー図を描かせる前に、業務の言葉と「だれが、何をするか」の関係を業務に詳しい行員と決め、その外の手順は描かせない形にしました。11人日から1人日は銀行の見込みで、測った件数と期間、生成AI自体の向上による分は示されていません。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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