ノルウェー北部のトロムソの地方紙イートロムソ(iTromsø)は、市が公開する建築の許可の書類を毎日集め、AIが要約して「記事になりそうな順」に並べる仕組みを使っています。並べ方は、記者が「記事になる」「ならない」と付けた印で学ばせています。仕組みの名前はジン(Djinn)で、新聞社がIBMやベルゲンのIT会社ビジト(Visito)と2023年に作りました。以下は、報道の業界団体の事例紹介(2024年と2025年)、開発会社の説明、新聞社と開発側が書いた論文の要旨(2024年)にもとづく内容です。
イートロムソは、記者など20〜25人の新聞社です(2024年と2025年の紹介)。建築の許可の書類には、店の開店や隣どうしのもめごとなど、地元の記事の種が入っています。ただ、書類は一度に何百件も出ることがあり、記者は市の文書の置き場で、毎日2〜3時間ほど探していました。題名だけを頼りに探すので、見落としもありました。
ジンは、次の順で動きます。
新聞ごとに自分の市町村向けのモデルを持ち、別に中央の並べ役もあります。開発会社の2024年6月の説明では、記者は今も印を付け続けています。
時間の数字は、新聞社の担当者と開発側の説明です。出典ごとに少しずつ違うので、並べて書きます。
| 公表されている説明 | こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 記者は書類を探すのに1日2〜3時間かけていた。ジンを使うと、記事の候補を見る時間は1日10分ほどになった(業界団体の紹介、2024年8月) | 何人の記者の、どの期間の記録か |
| 新聞社のジンの担当者は「2時間かかっていたのが5分になった」と話した(2025年11月)。開発会社は「90〜120分が10〜15分、80%減」とする(2024年6月) | 5分・10分・15分のどれが近いか |
| 使い始めて1週間で、ジンが手がかりになった1面の記事が6本出た | 記者が付けた印と、実際に記事になったかの当たり具合 |
| 2023年8月にグループ内で広げ始め、2024年2月までに35の編集部が使うようになった。運用費は月約75万円(5000ドル。1ドル150円で換算) | 論文の「記事の数と読者の反応が大きく増えた」の具体的な数字 |
市によっては、建築の書類がそもそも見られない、または請求しないと見られない状態でした。新聞社が市と話し合い、見られるようにしてから広げています。開発側は、記者の代わりにすることも、記事を書かせることも、はじめから考えていなかったと書いています。
特許事務所で、毎日出る特許の公報を読み、顧問先に関係する他社の出願を探している仕事に当てはまります。AIに公報を要約させて「関係ありそうな順」に並べ、所員が上から読んで「関係ある」「ない」の印を付けます。その印で並べ方を学ばせれば、業種の違う顧問先ごとに、並び順を変えられます。
イートロムソのジンは、市の建築の書類をAIが要約し、記者が付けた印で学んだモデルが記事になりそうな順に並べる仕組みです。書類を探す時間は1日2〜3時間から数分〜15分ほどになったと新聞社と開発側は説明し、2024年2月までに35の編集部に広がりました。ただ、時間の数字は出典ごとに違い、第三者が測った数字はありません。