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ブラジルの公立高校。入試の作文の練習にAIの添削を入れた学校では、練習の作文が約3割増え、本番の点は1000点中約17点上がった(2019年の試験)

2026.10.12
ブラジルの公立高校。入試の作文の練習にAIの添削を入れた学校では、練習の作文が約3割増え、本番の点は1000点中約17点上がった(2019年の試験)

ブラジル南東部のエスピリトサント州は2019年、大学入試に使う全国試験の作文の練習で、生徒が作文を出すとその場でAIが直す点を返すサービス「レトルス(Letrus)」を公立高校110校に入れました。入れない68校とはくじ引きで分け、その年の本番の点を比べています。AIを入れた学校では、練習の作文が約3割増え、本番の作文の点は1000点中約17点上がりました。以下は、サンパウロの大学の経済学者が2021年にまとめた論文と、貧困対策の研究機関J-PALの紹介にもとづく内容です。

何が起きたか

ブラジルの全国高校試験(ENEM)は、多くの大学が入試に使う試験です。作文は1000点満点で、公立と私立の生徒の点の差のうち、いちばん大きな部分を作文が占めています。作文の力を伸ばすには何度も書いて直してもらう必要がありますが、国語の先生は採点に長い時間を取られていました。

レトルスは、生徒が書いた作文から文章の特徴を言語処理で取り出し、学習したモデルで点を予測します。誤字やくだけた言い方などは、出したその場で返します。

州が選んだ公立高校178校(3年生約1万9000人)を、研究者がくじで3つの組に分けました。

  • 人の採点つきの組(55校): その場でAIから誤字などの指摘と、おおよその出来の目安を受け取る。AIの点は見せず、約3日後に会社が雇った採点者の点とコメントが届く
  • AIだけの組(55校): AIが予測した点と、用意された直し方の例をその場で受け取る
  • 比べる組(68校): レトルスを使わない

レトルスを使う組では、1年間に5回、本番と同じ形の作文の練習を出しました。

何が変わったか

左は論文とJ-PALの説明です。数字は、比べる組との差です。

公表されている結果 こちらで確認できていないこと
練習の作文は、比べる組の平均4.9本に対し、人の採点つきで1.4本(29%)、AIだけで1.6本(32%)多かった 練習の数が増えたことと、点が上がったことの関係の強さ
先生が生徒と1対1で作文について話した数は、どちらの組も約35%増えた 先生が採点から浮いた時間を、実際に何に使ったかの記録
本番の作文の点は、どちらの組も1000点中約17点(0.09標準偏差)上がった。公立と私立の差の約9%にあたる 大学に受かる人が増えたか
先生が「時間がとても足りない」と答えた割合は、人の採点つきの組で23%から9%に下がった。AIだけの組ではほぼ変わらなかった AIだけの組の先生の負担が、どこで増え、どこで減ったか

人の採点者を足しても、点の伸びはほとんど変わりませんでした。J-PALの要約は、AIだけの組の先生は、ふだんの仕事を増やさずに採点の一部を自分で引き受けていた、と見ています。

その後、州は2022年に、AIだけの版を州の全3年生に広げると決めました。J-PALの2024年の紹介では、2020年からの利用者は10万人を超えています。

誰に関係するか

従業員100〜200人規模の信用金庫で、新人が書く稟議書や訪問の報告書を、先輩が1件ずつ赤ペンで直している職場に当てはまります。誤字や決まった書き方の抜けはAIにその場で返させ、新人には何度も書いて出してもらいます。先輩は、空いた時間で中身について1対1で話す形にできます。

まとめ

エスピリトサント州は、入試の作文の練習にAIの添削を入れる学校と入れない学校をくじで分けて比べました。AIを入れた学校では、練習の作文が約3割、先生と1対1で話した作文が約35%増え、本番の点は1000点中約17点上がりました。ただ、試験は2019年の1年分で、大学に受かる人が増えたかはまだ分かっていません。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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