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アンソロピック、クロードへの蒸留攻撃で取られる推論データを初期計測で約90〜99%削減

2026.10.15
アンソロピック、クロードへの蒸留攻撃で取られる推論データを初期計測で約90〜99%削減

アンソロピック(Anthropic)は、自社の対話型AI「クロード(Claude)」の思考過程を盗んで、別のモデルに写す攻撃を抑える方法を発表しました。思考過程とは、答えを出す前にモデルが書き出す途中の考えです。同社はこれを推論の書き起こしと呼びます。同社の初期の計測では、攻撃側が取れた推論データの量は約90〜99%減ったとしています。

この記事は、同社が2026年10月12日に研究ブログに書いたものにもとづきます。数字や説明はすべて同社の発表で、外の人による確かめはありません。

何が起きたか

蒸留攻撃とは、許可なく、あるモデルの能力を大量の答えから抜き取り、別のモデルに教えることです。攻撃側は偽のアカウントの網を使い、普通の利用者のように見せます。抜き取りにいちばん役立つのは、最終の答えより、途中の思考の書き起こしだと同社は見ています。

同社は以前、思考を要約してから利用者に見せる対策を入れました。同社の試しでは、上位モデルの全文の書き起こしで教えたモデルは、プログラムの課題集「SWE-bench Verified」で80.4%でした。要約した書き起こしで教えた場合は71.8%でした。ただ、攻撃側は「前の思考を一字一句そのまま出せ」などと頼み、要約をすり抜けようとしました。ある研究所は、すり抜け方を1万2000通り試しています。

どう変えたか

同社は、次の三つの層で攻撃を止めようとしています。

  1. 思考の行き先を制限する。 最新の上位モデル(クロード・フェイブル5.1〔Claude Fable 5.1〕など)では、「保存された思考(preserved thinking)」を入れました。2026年8月31日以降に作った新規のAPIアカウントは、クロードのこれまでの文脈を編集できません。弱い防御の古いモデルへ思考を渡すことも防ぎます。一部のモデルでは、思考の書き起こしを読めるのは、その要求を出した組織だけにしました。
  2. 抜き取りの頼みを検知して止める。 二段の分類器で、思考を引き出そうとする要求を見つけます。生物兵器の手伝いを止める防御と同程度の強さで、誤って止める割合は0.1%未満です。いま広く使える上位のモデルに載せており、今後の強いモデルにも載せる予定です。
  3. 繰り返しを難しくする。 蒸留に使うと分かったアカウントは、利用の上限を厳しくし、続く場合は停止します。2026年9月24日からは、誤検知率が0.1%未満の領域で、モデルが答える前に止めた要求にも課金を再開しました。

何が変わったとするか

新しい分類器を入れたあと、同社の仕組みの上で攻撃側が取れた推論トークン(思考の文章を細かく区切った単位で、量の目安)は、導入前の10分の1から100分の1以下になりました。少なすぎて測れない日もあったとしています。蒸留に関係するアカウントは数万件止め、始めてから2時間以内に止めた例もあります。9月の報告で挙げた抜き取りの手法は、いまいちばん強い一般向けモデルでは、分類器がすべて捉えます。

一方で、正規の利用者にも影響があります。保存された思考のため、開発者は連携の直しが要ることがあります。分類器が誤って止めることもあり、その割合は0.1%未満です。止めた要求への課金も再開しました。攻撃とのいたちごっこは続く見込みで、高度で粘り強いすり抜けはまだ十分には見ていない、と同社は認めています。

公表された説明と、確かめられていないこと

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
取れたデータは約90〜99%減。推論トークンは10分の1から100分の1以下初期の計測 ⚠️ 他社のクラウド経由で取られた量(数えたのは自社の仕組みの上だけ)
⚠️ 基準にした日や数え方
⚠️ 外の人による再計測
要約した思考で教えると、SWE-bench Verified が80.4%から71.8% ⚠️ 試しの回数や、使うデータの範囲
分類器の誤検知は0.1%未満。9月報告の手法はすべて捉える ⚠️ 評価用の問い合わせの中身と件数
数万アカウントを停止。2時間以内の例もある ⚠️ 停止の内訳と、止め漏れの量
正規利用者に連携直し・誤検知・ブロック課金がある ⚠️ 影響を受けた正規利用者の人数や割合

凡例:📢=同社が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
数字と説明は、すべて同社の研究ブログ(2026年10月12日)による。

誰に関係するか

APIや社内向けのチャットで、途中の手順まで外に出しうる仕組みを運用している会社に関係します。

たとえば、従業員100〜200人規模の金型メーカーが、取引先向けに加工条件を答えるAIを出しているとします。返すのは「この材料ならこの条件」という答えだけにし、社内の条件表をどう引き、どう決めたかの途中の考えは外に出しません。途中の考えをそのまま出させようとする問い合わせは見つけて止め、繰り返す相手は使える量を絞ります。

まとめ

アンソロピックは、クロードの思考過程を盗んで別モデルに写す攻撃に対し、行き先の制限・検知と停止・繰り返しの阻止の三層を入れました。同社の初期の計測では、攻撃側が取れた推論データは約90〜99%減ったとしています。数えたのは自社の仕組みの上だけで、正規利用者への影響やいたちごっこが続く見込みも残ります。

参考文献

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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