中国税関総署(GACC)は、コンテナや荷物のX線・CT画像をAIで自動に見分け、禁止品や申告と違う中身の疑いを画面に出す仕組みを、全国の非破壊検査(NII)装置に載せています。見分けには、たくさんの過去の画像で学習したAI(深層学習)を使い、写っている物の種類と位置を当てます。税関総署が成熟した見分けのアルゴリズム(以下、モデル)を全国に配りつつ、各税関が現場のリスクに合わせて「使うモデル」を選ぶ運用にしたところ、大型装置では精度が約5%上がり、誤報は約8%減りました。以下は、税関総署が世界税関機構(WCO)向けに2024〜2025年に書いた説明にもとづく内容です。
中国税関は1991年から、コンテナや車両を開ける前にX線などで中身を見る大型の検査装置を使ってきました。貨物が増える一方で人手は限られるため、2014年から画像の自動識別を研究し、2017年に清華大学と共同で、過去のNII画像(数百万枚規模)から学習した最初のモデルを出しました。その後、試験導入を経て、対象になる大型スキャナとCTに順に広げています。
WCO向けの記事によると、仕組みはすでに数百台の装置に入っています。対象は、コンテナやトラック向けの大型X線、乗用車・列車向けの装置、手荷物や郵便向けのCTです。禁止品は銃や弾薬、一部の薬物、象牙など約100種類、貨物の種類は果物・肉・粉ミルクなど2000種類超を見分けられるとしています。申告の内容と画像を突き合わせたり、車両のエンジン周りや車体に隠した空間を見つけたりする機能もあります。
見分けのモデルは、大型の装置向けとCT向けにそれぞれ1000本を超えます。
最初は、認識精度が95%を超えた成熟したモデルを全国の装置に一律で載せていました。ただ、同じ品目コードでも見た目が違う貨物が多く、関係のないモデルまで動かすと誤報が増えました。そこで税関総署は、全国で必ず使う成熟した差し止め用のモデルと、各税関が自分の港のリスクに合わせて選ぶモデルを分けました。ある港で要らない、または精度が足りないモデルは外し、直してから戻します。
| 📢 税関総署が公表している数字 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| この選別のあと、大型装置の自動画像分析の精度は約5%上がり、誤報は約8%減った。CTでは精度が約6%上がり、誤報は約5%減った | 選別の前の精度・誤報の絶対値。「5%」が割合の差か、もとの値に対する比率か。第三者による同じ物差しでの再測定 |
| 2022年以降、警報をきっかけに、税関総署が「密輸の試み」と呼ぶものが2万件超見つかった | 「試み」が、確定した密輸件数なのか、警報の件数なのか |
| 一部の現場では、画像分析の精度が経験2〜3年の職員並みになり、現場の必要人員が57%減った | どの港・どの工程での数字か。「一部の現場」の記載で、全国の平均ではない |
| 禁止品約100種類、貨物2000種類超、装置は数百台 | 営業資料などの後年の拡大数字(本稿では使っていない) |
📢=当事者が公表している説明(左の列)。⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点(右の列)。数字はすべて税関総署が世界税関機構(WCO)向けに書いた説明。
運用は、一部の税関で「機械が先に見て、専門家が補う」試験の段階です。
従業員100〜200人規模の中古家電の買い取り・輸出の会社で、コンテナに詰める前に、箱の写真と申告の品目を突き合わせる仕事に当てはまります。本社で学習した見分けのモデルを全拠点に配り、拠点ごとに誤報の多い品目のモデルだけ外して直します。
中国税関は、コンテナなどのX線・CT画像を深層学習で見分け、港ごとに使うモデルを選ぶ運用にしました。税関総署の説明では、大型装置で精度が約5%上がり誤報が約8%減りました。2022年以降は、警報をきっかけに、税関総署が「密輸の試み」と呼ぶものが2万件超見つかりました。数字は税関総署の公表で、外の再測定はありません。