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衛星レーダーと深層学習で洪水の広がりを地図にする。ケニアでは農地約7万5000ヘクタールを見積もった

2026.10.15
衛星レーダーと深層学習で洪水の広がりを地図にする。ケニアでは農地約7万5000ヘクタールを見積もった

欧州の衛星センチネル1号(Sentinel-1)に積んだ、雲を通し昼も夜も使えるレーダー(合成開口レーダー、SAR)の画像を、深層学習で前後比べする仕組みが報告されました。マイクロソフトのAIフォーグッド研究所(Microsoft AI for Good Lab)などの研究者は、2014年10月から2024年9月までの約10年分に当てはめ、過去に浸水したことがある場所の地図を作りました。光学衛星の既存地図より、全球で約71%、エチオピアでは約194%広い範囲を拾ったとしています。2024年春のケニアの大洪水では、農地約7万5000ヘクタールが浸水したかその近くにあったと見積もり、政府公表の約6万8000ヘクタールに近い値でした。2025年の学術誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)の論文にもとづく内容です。

何が起きたか

光学衛星は雲があると水面が見えません。洪水のときは雲が多いことが多いです。SARは雲を通し、水の面は電波が鏡のように跳ねて暗く写ります。研究チームは、同じ見え方の前後のSAR画像をペアにし、画像の判別でよく使われる軽いモデル(MobileNet)を土台にした変化検出モデルで「乾いていた場所が水になった画素」を見つけます。学習にはパキスタン、ギリシャ、モザンビーク、エチオピア南東部などの洪水事例の人手ラベルを使いました。

誤って水と見なす場所(砂漠の暗い地表、山の影、凍結と融解など)を減らすため、土壌水分・標高・気温・土地被覆などの別データを後から当て、都市・急傾斜・乾燥地などは「信頼しにくい」と示す排除マスクを付けています。モデルと予測データは公開しています。

何が変わったか

📢 論文の数字 ⚠️ こちらで確認できていないこと
過去の浸水検知範囲は、光学系の既存地図より全球で約71%、エチオピアで約194%広い 増分のうち、本当の見逃し回収と、残った誤検知の割合。別チームによる同じ10年分の再計算
ケニア2024年春で農地約7万5000ヘクタール。政府公表は約6万8000ヘクタール 見積もりの定義(「ごく近く」の幅)と政府統計の定義の一致。第三者の現地測量。政府や支援団体が実際の対応に使ったか
変化検出モデルは、43の洪水を集めた公開の試験データ(クロシオ、Kuro Siwo)で、見落としの少なさとまちがいの少なさを合わせた点(F1)は約0.77 現場の毎日運用での見逃し・誤報の件数

📢=当事者が公表している説明(左の列)。⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点(右の列)。数字は開発側の論文(Nature Communications 2025)。

論文は、短い時間で終わる洪水や、建物が密集する都市の浸水は苦手だと書いています。稲作のように意図的に水を張る場所も「浸水」として出ます。年に数パーセントずつ増える傾向も見えますが、10年分では気候の変化との因果は分けられません。この地図を政府や支援団体が実際の対応にどう使ったかは、論文には書かれていません。

誰に関係するか

職員100人前後の土地改良区で、大雨のあと「どの水路とどの田が先に手当てか」を決める仕事に当てはまります。雲の多い日でも使えるレーダー衛星の前後ペアで浸水した画素を塗り、過去の浸水の重なりと農地の図を重ねます。排除マスクで信頼しにくい地形は外し、現地の巡視は重なりの多い区画から回します。

まとめ

センチネル1号のレーダー画像と、前後を比べる変化検出のモデルで、過去約10年の洪水の広がりを地図にする研究です。光学の既存地図より広い範囲を拾い、ケニア2024年春では農地約7万5000ヘクタールを見積もりました。政府公表の約6万8000ヘクタールに近い値です。数字は開発側の論文で、外の再測定はありません。

参考文献

  • Misra A, White K, Fobi Nsutezo S, Straka III W, Lavista J「Mapping global floods with 10 years of satellite radar data」Nature Communications 16(2025-07-01)、https://doi.org/10.1038/s41467-025-60973-1 、確認日 2026-10-15

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Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

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