ENTRY

◀︎ AI NEWS TOPへ

OCLC、図書館の共同目録で重複した記録をAIで見つけてまとめ、2025年7〜12月の半年で約620万件

2026.10.19
OCLC、図書館の共同目録で重複した記録をAIで見つけてまとめ、2025年7〜12月の半年で約620万件

米国に本部を置く図書館の非営利団体OCLCは、各国の図書館が持つ本などの記録を1つに集めた目録「ワールドキャット(WorldCat)」を運営しています。この目録には、同じ本の記録が別々の図書館から二重に入ることがあります。OCLCは、司書が「同じ資料かどうか」を答えた約3万4000組を手本に機械学習のモデルを作り、この重複を見つけてまとめています。2023年8月に使い始め、2025年2月には全言語・全種類の資料に広げました。OCLCの報告によると、2025年7〜12月の半年でモデルがまとめた記録は約620万件でした。

何が起きたか

ワールドキャットの記録は2026年2月1日時点で約6億2253万件です。世界の図書館から、毎日たくさんの記録が届きます。同じ本の記録が2つあると、目録づくり、本探し、図書館どうしの貸し借りがやりにくくなります。

OCLCは1990年代から、決まりにもとづいて重複を見つけて自動でまとめる仕組みを使っています。2023年の時点で、手作業で取り除く記録は月に平均約1万1000件、自動で取り除く記録は月に約100万件でした。それでも重複は残っていました。決まりにもとづく仕組みは、記録が新しく入ったときや直されたときにしか動きません。

そこでOCLCは、2022年から機械学習で重複を見つける取り組みを始めました。手本づくりには、会員の図書館の司書が協力しました。画面に2つの記録を並べ、違う項目に色を付けて見せます。司書は2つが同じ資料かどうかを「はい/いいえ/分からない」で答えます。2022年11月〜2023年4月中旬に、300人を超える人が約3万4000組に答えました。

最初のモデルは2023年8月に動き始めました。対象は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語の印刷の本です。このモデルで、540万件を超える重複を取り除きました。

2025年2月に始めた第2版では、対象を全言語・全種類の資料に広げました。始める前には、17の図書館がアラビア語・中国語・日本語などの記録の組を確かめました。その声をもとに、わずかな違いが大事になりうる組は外すなど、より慎重なやり方に変えています。1830年より前に出た本や、貴重書・文書館の資料は、今も対象外です。

モデルは1〜2週間ごとに、目録のすべての記録を調べます。しばらく直されていない古い記録も対象になります。間違ってまとめた記録は多くの場合もとに戻せます。

まとめた件数

OCLCの報告書には、重複をまとめた方法ごとの件数が載っています。OCLCの年度は7月から翌年6月までです。

まとめた方法 2023年7月〜2024年6月 2024年7月〜2025年6月 2025年7〜12月
🤖 機械学習のモデル 545万4229件 356万2998件 619万5872件
🧰 決まりにもとづく自動の仕組み 469万8453件 594万5913件 635万9609件
👥 OCLCの職員の手作業 5万6282件 4万4289件 3万9588件
👥 協力する図書館の手作業 8万65件 8万1293件 3万5257件

出典:OCLC Report to CCDA, Midwinter 2026。2025年7〜12月のモデルの件数は、報告書の表では1051万3886件ですが、翌日にOCLCの担当者が誤りだと直したため、直したあとの数字を載せています。

📢 公表されている説明 ⚠️ こちらで確認できていないこと
2025年7〜12月にモデルがまとめた記録は619万5872件 まとめたうち、別の資料だったものの割合
最初のモデルで、540万件を超える重複を取り除いた モデルの種類。手法の名前は書かれていない
第2版の前に、17の図書館が記録の組を確かめた 外の人による確かめ
間違ってまとめた記録は、多くの場合もとに戻せる もとに戻した件数

凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:OCLCの報告書(2026年2月)、会議の資料(2025年2月)、告知(2025年)、ブログ(2023年8月)

誰に関係するか

複数の院を持つ動物病院の受付にも使えます。同じ飼い主とペットが、院ごとに二重に登録されることがあります。電話番号が変わったり、ペットの名前がひらがなとカタカナで違ったりするためです。過去にスタッフが「同じ/別」と判断した登録の組を手本にすれば、新しい組をモデルに判定させられます。同じ名前の兄弟のペットのように、違いが大事になりうる組は、自動ではまとめずに外します。まとめた履歴を残し、あとから戻せるようにしておくことも必要です。

まとめ

OCLCは、世界の図書館の共同目録で同じ資料を指す記録の重複を、司書が答えた約3万4000組で学ばせたモデルで見つけてまとめています。2025年7〜12月にモデルがまとめた記録は約620万件で、決まりにもとづく自動の仕組みの約636万件とほぼ同じです。まとめ違いの割合とモデルの種類は公表されていません。

参考文献

Tags

タグ一覧へ ▶︎

Kamone
著者 Kamone

30歳で学者志望からITエンジニアに転身。通信・金融業界におけるインフラ領域を中心に、オンプレミスからクラウドまで幅広く経験。AWS学習コミュニティでは公認メンターとして教材制作や講師を務める。現在はリツアンSTCにて事業推進に携わり、AI活用とエンジニア支援の高度化に取り組んでいる。

Kamone
著者 Kamone

株式会社リツアンSTC社員。

1984年 東京都中野区生まれ。

大学中退後、工場や警備員などを経て、何もスキルが身についていないことに危機感を覚える。
2014年 何か手に職をつけなければと思い、電子専門学校からエンジニアになった弟を見て「コイツにできるなら俺もできる」と安易な考えで未経験からIT業界に飛び込む。
そこは「まともな案件に入れなければ営業としてこき使われるか中国に送られるらしい」と恐ろしい噂が飛び交う会社だった。
「とんでもないところに来てしまった…」と戦慄するも、運よく大手新聞社系のインフラチームから声がかかり、エンジニアとしてのスタートを切る。

その後、SESを転々としながら通信・金融業界のオンプレ・クラウド案件を中心にインフラエンジニアとして経験を積む。

2021年 AWS学習サービス「Cloudtech」に参加し、公認メンターとして書籍出版プロジェクトや教材制作・講師などのコミュニティ・サービス運営に関わる。

2023年 ゆとりーマンのYoutube動画で新興SESの闇とリツアンの存在を知り、転職。(当時所属していたSES企業が動画で紹介されていた特徴に当てはまっていて愕然)
その後、CloudTechとリツアンの橋渡し役を担い、合同プロジェクト「テラコヤテック」の運営に関わる。
2025年 リツアンの「エンジニアに一円でも高い報酬を」「会社は社員に使われるためにある」「出入り自由」といったスタンスに共鳴。エンジニアから転向し、リツアンの事業推進に参画。
現在に至る。

他人の文体を真似たり、他人が書いた文章を手直しするのが得意、という若干嫌な気持ちにさせる特技を持つ。
AI活用を鋭意研究中。
(リツアンいいとこ一度はおいで。)

今すぐわかる。報酬シミュレーション