ヴィンテッド(Vinted)は、リトアニアに本社を置く、古着などの売買サイトです。同社は、検索窓に文字を打つと出る入力候補を、利用者ごとの行動の記録で並べ替えるAIのモデルを作り、5回の試験を経て利用者の全員に広げました。同社の技術者のブログ(2026年4月22日)によると、全員同じ並びと比べた試験で、候補のクリック率が約8%高くなりました。
この事例で分からないこと
ヴィンテッドは2008年にリトアニアで生まれ、今は25を超える市場で使われています。入力候補は24の言語、50を超える国と言語の組み合わせで出しています。候補のもとになる検索の言葉は、1億2500万あります。
候補の並びは2段で決めます。1段目では、売れ行きやクリックの多さに、人が決めた重みを掛けて点数を付けます。この点数は同じ市場の利用者なら全員同じです。その市場の「平均的な利用者」の好みに合わせた並びです。
2段目で使うのがAIです。1段目で上位に残った候補(検索を受け持つ機械1台ごとに20件)を、1文字打つたびに、学習したモデル(LightGBM。簡単な判定の木をたくさん重ねて、順番を決めるやり方)で並べ替えます。学ばせたのは、打ちかけの文字ごとに、どの候補が出て、どれが押されたかの記録です。モデルが見る項目は63個あります。
たとえば英国で「sh」と打つと、全員同じ並びでは「shoes(靴)」「shirt(シャツ)」などが上に来ます。男性向けの品をよく押す人には「shoes men(男性の靴)」、女性向けの品をよく見る人には「shoulder bag(肩掛けのかばん)」などが上がります。並べ替えで並びが大きく変わるのは、1〜3文字しか打っていないときです。
作る途中では、次の2つの直しで並べ替えがよくなりました。1つ目は、1〜4文字の時点で押したことにされていた記録を、学習から外したことです。まだ打っている途中だからです。2つ目は、並べ替えるのを、打った文字で始まる候補だけにしたことです。打ち間違いを見込んで広めに拾った候補は、並べ替えから外しました。
試験では、利用者を2つに分け、全員同じ並びのままの組と、並べ替える組を比べました。ふつう1週間以上かけます。
| 📢 公表されている説明 | ⚠️ こちらで確認できていないこと |
|---|---|
| 候補のクリック率が約8%、候補を使った検索の割合が約4%高い | どの試験の数字か。時期・人数・日数。もとの値に比べた増え方か、ポイントの差か |
| 長めの入力でのクリック率は最大16%高い | 全員に広げたあとの数字 |
| スポーツ用品の分野で、1人あたりの取引数が約0.91%増えた | 売上全体への影響 |
| 見た候補の平均の値段が約5%上がった | 外の人による確かめ |
凡例:📢=当事者が公表している説明 ⚠️=出典に書かれておらず、こちらで確認できていない点
出典:ヴィンテッドの技術ブログ(2026年4月22日)
候補を使う検索の割合は数年前の8%未満から、今は20%を超えています。この伸びの多くは、AIの並べ替えを入れる前に、1段目の点数の付け方と候補の作り方を変えた段階で出ていました。
この2段の並べ方は、建材や配管の部材を売るお店で、職人さんの電話注文を受けて品名を打ち込む担当にも使えます。同じ「エル」と打っても、大工さんならL字の金具、配管工さんなら管の向きを変える継手(エルボ)が欲しいことがあります。まず店全体の「よく出る順」で候補を絞り、そのうえで、その職人さんが過去に頼んだ品で並べ替えます。確かめるときは、打った文字の長さごとに、上に出た候補が選ばれた割合を、並べ替える前と比べます。
ヴィンテッドは、検索の入力候補を、全員同じ点数で上位に絞ったあと、利用者ごとの行動の記録を使うモデルで並べ替える仕組みを全員に広げました。全員同じ並びと比べた試験では、候補のクリック率が約8%、長めの入力では最大16%高くなりました。試験の時期・人数と、全員に広げたあとの数字は書かれていません。